不動産投資の法人化のメリットとタイミング 〜サラリーマンでも社長に?〜
第十五回では、白色申告と青色申告の違い、青色申告のメリット、そして、青色申告するタイミングについて解説しました。
第15回目はこちら⇒不動産投資は白色申告と青色申告どちらがいい?ステージによって使い分ける確定申告
青色申告するくらいまで事業が大きくなると、次に考えるのは、法人化です。個人で事業を行うよりも、法人にした方が、メリットが出る場合もあります。
今回は、法人と個人の違い、法人化のメリット、そしていつ法人化すればよいのか、について解説します。
法人と個人、不動産投資で違いはあるの?
まず、個人事業主として不動産投資を行うことと、法人で不動産投資を行うこと、いったい何が違うのでしょうか。
法人と個人の大きな違いは、信用の蓄積ができるかどうかです。個人の場合、年齢と言う大きな壁があります。たとえば、50歳で投資を始めるとしても、35年ローンを借りるのは難しいかもしれません。
なぜなら、日本であれば原則65歳で定年を迎えるため、65歳以降、何かあったときにお金を返せるかどうかの保証がないからです。逆に若いときであれば、金融機関は、多少無理してでもお金を貸してくれるかもしれません。なぜなら、働ける期間が長く、その分お金を返せるチャンスが多いからです。
一方、法人の場合は、信用は蓄積できる、というのが大きなメリットです。たとえば、同じ利益を100万円出す会社であっても、2年しか利益を出していない会社と、20年間利益を出し続けた会社とでは、後者の方がお金は借りやすくなります。
なぜなら、その長い期間かけて、会社として信頼を築いてきたからです。法人は個人と違い、取引年月が長ければ長いほど、信頼は蓄積されます。
また、相続の時にも、大きく個人と法人で変わってきます。個人の場合、事業の相続自体はできません。(もちろん不動産の相続はできます。)
しかし、法人の場合、事業ごと相続をすることができます。自分がいないときの話をしても仕方ないかもしれませんが、家族が残されることを考えた場合、個人と法人では異なってくるということを理解しておいた方がよいでしょう。
法人化するメリット、デメリットは?
では、法人化する、メリットおよびデメリットについて見てみましょう。
まず、メリットですが、一番のメリットは、節税ができることです。個人に比べて、法人化すると、経費として使えるものの幅が広くなります。
具体的には、家族等に役員報酬や退職金という形で、給与を支払うことができます。個人の青色申告であっても、ある程度は給与を支払うことができますが、法人化すると、それより幅広い形で、給与を支払うことができるのです。
また、自宅を事務所にすることで、家賃を経費として計上できたり、交際費なども比較的幅広く使うことができます。こういったものを利用することを考えると、法人の方が節税幅が広いといえるでしょう。
また、もう一つのメリットとしては、法人しか受けられないサービスがある、と言う点です。
その最たるものは、法人保険です。法人保険は、その名の通り、法人として掛けることができる保険です。生命保険や積み立て式の保険など、様々な種類があります。
法人保険については、戻り金が大きいというよりも、その保険への支払金額が、一部または全部損金として計上できるのです。これにより、保険をつかった節税が可能になります。
その他にも、保険同様、倒産防止共済など、様々なサービスを活用して、キャッシュを残すことが可能になります。
一方、デメリットについても説明します。
デメリットとしては、やはり手間がかかることです。登記にしろ、決算にしろ、法人の時に比べ、書類の管理や、手続きが面倒くさいことが多くなります。もちろん税理士や会計士に依頼することで、自分の手間がかかることはありませんが、その分お金がかかってしまいます。
また、ランニングコストが発生することも、デメリットでしょう。会社の設立自体は、30万円もあれば設立することは可能です。
しかし、会社を設立すると、法人住民税という税金を毎年払わなければいけません。これは、会社が赤字であろうと、7万円の支払いが必要になります。また、決算のたびに、税理士費用がかかったりします。
では、どのタイミングで法人化するのがベストなの?
法人化は、税務面でのメリットが大きい反面、ランニングコストや手間がかかるという手間があります。
では、どのタイミングで、法人化を検討すべきでしょうか。
実は、法人化は事業を大きくしようとした瞬間に検討した方がよいと言えます。
なぜならば、個人から法人に資産を移動するとき、不動産取得税、および登記費用がかかってしまうからです。
これは実質持ち主が同じであっても、支払わなければなりません。
また、サラリーマンの場合、事業自体が黒字になってくれば、その分はサラリーマンの給与に上乗せされて、高い税率で税金がかかってきます。
たとえば課税所得が900万円を超えると、33%の所得税がかかってきます。
一方、法人の場合、法人税は、不動産の所得が800万円以下なら、約25%ですみます。不動産での課税所得が800万円というのは、かなりの規模になります。
不動産事業が赤字で、還付により利益を得ている場合は、個人でもメリットを受けることが多くありますが、事業自体が黒字になるようだったら、早めに法人化を検討した方がよいかもしれません。
サラリーマンでも社長に?法人化のメリットとタイミング まとめ
不動産事業を拡大していくと、法人化するべきかどうか、という問題にあたることが多くあります。
個人であれば、年齢によって、信用が変わってくる場合があり、必ずしも投資期間が長ければいいというわけではありませんが、法人化した場合、事業によって信頼を蓄積できるため、期間が長くなれば長くなるほど、信頼が生まれ、事業が円滑に進むことが多くなります。
法人化の最大のメリットは、節税の幅の広さです。役員報酬や家賃を経費化したり、また、法人保険などを使うことで、より多くのキャッシュを得ることができます。しかし、ランニングコストがかかることや、手間がかかることはデメリットといってよいでしょう。
法人化するタイミングについては、2つ目安があります。
1つは、事業を大きくすると決断した時です。なぜなら、個人から法人に資産を移すには、お金がかかるので、資産の数が少ない時に決断したほうがよいと言えるのです。
もう1つのタイミングは、事業が黒字になった時です。事業が赤字の場合、サラリーマンの給与と合算できるので、税金の還付があります。
しかし、黒字化した場合、そのメリットもなくなるので、法人化のメリットを取った方がよい、と言えるのです。
もし、あなたが不動産事業を進めていく、と決断した場合、早めに法人化を検討してみてはいかがでしょうか。
次回は法人化の手続きについて
⇒不動産事業で法人化するまでの手続きすべて解説します!

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