確定給付企業年金【老後の生活資金を働いているうちに確保する】

自己の責任において自ら将来の資産を運用するという自助努力の風潮が高まっている昨今においては、公的年金制度の財源の枯渇とその持続可能性について国民の関心および不信感が高く、公的年金の補完を目的とした私的年金への関心も高まっています。

 確定給付企業年金とは:企業が管理運営する年金制度

つまりいかに私的年金等を用いて老後の生活資金を若い世代のうちに自分で用意できるかがポイントとなります。そこで活用したいのが私的年金であり、ローリスクで確実にリターンが得られるものが好ましいです。今回は確定拠出年金と対になる確定給付企業年金の紹介です。

確定給付企業年金は、確定拠出年金で顕著であった資産の運用利回りに基づくことなく、加入者の勤務期間や給与額などによって算出される年金制度です。この確定企業給付年金は企業が独自に管理運営をし、企業が掛金を負担し、企業がその運営に責任を負うという仕組みになっており、加入者は800万人弱と日本で最も普及している年金制度です。

 規約型と基金型の2通り:労使合意が必用

確定企業給付年金には規約型と基金型の2つのタイプがあり、いずれの場合も労使合意が必要となります。まず規約型とは、労使合意を経た年金規約に基づいて、企業が生命保険会社などの外部機関と契約を結び年金資産の管理や運用を委託します。

また基金型とは、母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、その基金において年金資金を管理や運用します。基金型は300人の加入者要件があります。かつての確定給付企業年金の前身である適格退職年金制度においては、運用悪化とそれをチェックする機能がなかったことから積立不足に陥いり、制度として破綻してしまいました。

 「受給権」の問題:3つのルールでカバー

ここで問題になったのが「受給権」の問題です。受給権とは企業年金や退職金についてはここの制度規定により算出された発生給付額を受け取ることが出来る権利をいいます。その適格退職年金制度での反省を経て確定給付企業年金においては「受給権の保護」が明確に謳われています。ついては以下のように確定給付企業年金制度においては受給権の保護についてそれを遵守するべくルールが明文化されています。

確定企業給付年金は積立に関する長期計画をもとに積立が行われますが、5年に1度の財政検証が行われ不足分があれば積立を見直すという積立義務があります。次に受託者責任といって、規約型企業年金の事業主、基金型企業年金の理事、年金資産運用を行う外部機関に対して法令を順守し、加入者・受給者のために忠実に業務を遂行するよう法で定められています。

そして事業主は加入者に対して年金規約の周知義務および掛金の納付・資産運用・財務状況について情報を提供しなければならない情報開示義務があります。以上の3つのルールにより適格退職年金でなおざりにされていた「受給権の保護」の問題もカバーしているのです。

 税制上のメリット:確定申告の必要がない

確定企業給付年金は確定拠出年金と同様に税制上のメリットがあることも年金制度として優れている点です。適格退職年金制度においては企業が全額負担の場合においては掛金が全額損金算入でき、労使折半の場合は従業員は生命保険料控除の対象となります。

また資産運用で得た運用益は非課税となる税制上のメリットもあります。

年金で受け取る際には年金であれば雑所得、一時金であれば一時所得となりますが、確定給付企業年金は企業年金であるので、確定申告がいらず会社の年末調整時に源泉徴収してくれるので非常に便利です。

以上のように確定企業年金制度について述べました、自分の所属している会社が確定給付企業年金制度が確定拠出年金制度なのかどうかもしっかり確認しておきましょう。最後に今後はこの2つの企業年金制度年金資産運用の柱となっていくと思われ、さらなる制度の拡大と一層の法整備が求められることでしょう。(参考:確定拠出年金の運用形態について【確定拠出年金のメリット】)

           

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