経営者の退職金づくりにおすすめの逓増定期保険のメリット

逓増定期保険は、法人向けに特化した保険として、主に経営者の退職金づくりに活用されています。逓増定期保険はその活用方法が他の保険と違って特殊であり、また、税務もからむため、活用方法を間違うと思わぬ損をする保険でもあります。

逓増的保険の仕組みと税務について、わかりやすく解説します。

逓増定期保険とは

逓増定期保険は、保険金がだんだん増えていくタイプの生命保険です。保険金は増えますが、保険料は一定です。

逓増定期保険の目的

逓増定期保険の目的は、保険料を損金計上しながら簿外資産を形成し、経営者が退職するタイミングで解約し、解約返戻金を退職金に充てることです。

定期保険よりも効率的

退職金を生命保険で準備する方法は、長らく定期保険を活用して行われてきました。定期保険には、解約返戻金が徐々に増えていき、ピークを迎えた後、徐々に減っていくという特性があります。

経営者の退職のタイミングをそのピークに合わせることで、効果的に退職金の原資を準備するという方法で、定期保険が経営者保険として主に活用されてきました。

逓増定期保険は、定期保険よりも解約返戻率を高め、解約返戻金のピークを早めるために開発されました。保険金が徐々に増えるというのは、ある意味表向きの目的であって、真の目的は、保険金を増やすことで解約返戻率とピークの改善を行うことにあったのです。

たとえば、メットライフ生命の100歳満了定期保険に45歳男性が加入した場合、解約返戻金のピークが来るのがおおよそ85歳で、解約返戻率は一番高いときで約87%です。

いっぽう、損保ジャパンひまわり生命の逓増定期保険を例にとると、50歳男性が72歳満了の逓増定期保険に加入した場合、解約返戻金のピークは12年後、解約返戻率は一番高いときで約93%あります。

逓増定期保険の誕生で、より効率的に退職金の準備ができるようになりました。

保険料の会計処理

逓増定期保険の保険料は、以下のように会計処理が決められています。
損金計上額 保険期間満了時の年齢 計算式
1/4損金 80歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>120
1/3損金 70歳超 契約時年齢+(保険期間×2)>95
1/2損金 45歳超 上記計算式に該当しないもの
全額損金 45歳以下 計算式に関係なく全額損金

たとえば、46歳男性の経営者が75歳満了の逓増定期保険に加入した場合は、
46歳+(75歳-46歳)x2=104>95
となり、1/3損金となります。

同じ人が65歳満了の逓増定期保険に加入した場合は、
46歳+(65歳-46歳)x2=84
となり、120や95よりも下回るため1/4損金や1/3損金には該当せず、また、保険期間満了時の年齢が45歳を越えているため、1/2損金となります。

逓増定期保険を販売している保険会社の多くは

・被保険者の年齢
・解約返戻率
・解約返戻金のピーク
・保険料の会計処理

という4つの要素の組み合わせで、投資効率が最高になるように、保険期間満了年齢を一歳刻みで選べるようにしています。

逓増定期保険のチェックポイント

逓増定期保険の加入目的は、ほぼ100%経営者の退職金積立というように、大変シンプルなため、チェックポイントも「退職予定年齢での解約返戻率」に尽きます。保険会社各社から見積もりをとって、どこが一番解約返戻率が高いかを比較しましょう。

まとめ

逓増定期保険は、経営者の退職金準備に特化した保険です。死亡保険金が徐々に増えていくのが表面的な特徴ですが、実際には、退職年齢に合わせて解約し、解約返戻金を退職金の原資にするというのが、逓増定期保険の活用方法です。

従来の定期保険よりも、解約返戻金の貯まり方が早く、解約返戻率も高くなっています。保険料の会計処理は、保険期間満了時の年齢と計算式によって、1/4・1/3・1/2・全額損金に分かれます。

保険会社では、損金計上の割合や解約返戻率などの組み合わせで最も有利になるプランを設計できるようになっていますから、加入を検討する際は、各社から見積りをとって比較することをおすすめします。

           

お役に立てましたらシェアお願いいたしますm(__)m