年金と聞くと、老後になったらもらえるお金だと思っている人がほとんどではないでしょうか。
確かに間違いではありませんが、それでは100%正解とは言えません。遺族年金や障害年金という万が一あった場合にお金が支給されるのも、年金の大事な役割です。ここでは、最低限知っておきたい年金のしくみについてまとめました。
年金の種類その1
年金を、職業で加入が決まっている制度で分類すると、国民年金と厚生年金に分けられます。
国民年金
国民年金は、商店主や個人事業主といった自営業を営んでいる人が加入する年金です。
毎月16,490円を保険料として払って、65歳以降年額約78万円を年金として受け取れます。
厚生年金
厚生年金は、サラリーマンが加入する年金です。正確に言うと、会社の従業員や役員が対象となります。
厚生年金の保険料は、年収によって異なります。たとえば標準報酬月額が30万円の人なら、保険料は54,900円となり、その半分を会社が、残り半分を自分が負担します。
国民年金と比べた場合、保険料の金額が高かったり、収入が高いほど保険料が高くなったりと、これだけ見ると不利に見えますが、受け取れる年金額が違います。
厚生年金は、国民年金と厚生年金の2階建ての構造になっていて、加入者は両方を受給できるため、国民年金加入者と比べてかなり多くの年金を受け取れます。
年金の種類その2
年金を、受け取れる事由によって分類すると、以下の3つに分けられます。
老齢年金
65歳以降に受け取れる年金です。
遺族年金
配偶者が死亡した場合に受け取れる年金です。
障害年金
所定の障害状態になった場合に受け取れる年金です。
このように、年金は老後のためのものだけではなく、夫(または妻)に万が一のことがあった場合や、失明等の障害を負った場合でも受給することができます。
つまり、民間の生命保険や傷害保険に加入していなくても、万が一のことがあったら国からそれなりのお金は年金として受け取れるわけです。
これを知らずに、自分にもし万が一のことがあった場合に、家族は1億円必要だから、1億円の生命保険に加入すれば、遺族年金の分だけ無駄な保険に加入してしまうことになります。
遺族年金のしくみ
では、遺族年金のしくみや受け取れる金額はどのようになっているのでしょうか。
もらえる遺族年金の種類や受け取れる条件・金額は、国民年金と厚生年金どちらに加入しているかによって異なります。
もらえる年金の種類
国民年金加入者:遺族基礎年金
厚生年金加入者:遺族基礎年金+遺族厚生年金
遺族年金受け取りの条件
国民年金加入者:遺族となった妻に18歳以下の子供がいること
厚生年金加入者:遺族基礎年金受給の条件は、国民年金受給者同様
遺族厚生年金は、子供の有無に関係なく一生涯受取可能
遺族年金の金額
子供3人の期間
国民年金加入者:年額1,302,700円
厚生年金加入者:年額1,816,955円
子供2人の期間
国民年金加入者:年額1,227,900円
厚生年金加入者:年額1,742,155円
子供1人の期間
国民年金加入者:年額1,003,600円
厚生年金加入者:年額1,517,855円
子供0人の期間
国民年金加入者:なし
厚生年金加入者:
妻が65歳未満の期間(夫死亡時に妻が40歳未満の場合)年額514,255円
妻が65歳未満の期間(夫死亡時に妻が40~64歳の場合)年額1,098,755円
まとめ
生命保険の加入時や見直しの際には、必要保障額を計算する必要があります。夫に万が一のことがあった後将来にわたって予想される支出の合計から、すでに準備されている資金を差し引いたものが必要保障額となります。この「すでに準備されている資金」のなかには、遺族年金があることをまず認識しましょう。
自分が国民年金・厚生年金どちらの加入者なのかによって、遺族年金の金額も違ってきます。とくに自営業の方は、サラリーマンに比べて老齢年金も遺族年金も少ないですから、その分別枠で準備しておく必要があります。
年金の詳細は、定期的に送られてくる「ねんきん定期便」に記載がありますが、よくわからない・もっと詳しく知りたい場合は、「ねんきんダイヤル0570-05-1165」に電話するか、全国の年金事務所に相談すると良いでしょう。