2000年より施行された我が国の介護保険制度は施行より15年目を迎えました。公的介護保険制度とは高齢化社会と相次ぐ介護問題に対応するべく施行された社会保険制度の一つです。
介護保険制度とは:介護について知っておこう
介護保険制度においては、市町村が保険事業の運営主体である保険者となり、その自治体に居住している40歳以上の方全員が被保険者となります。被保険者は毎月介護保険料を支払い、所定の要介護状態になった場合はその介護状態に基づいてある一定の介護サービスを受けられるという仕組みになっております。
この公的介護保険制度の主な特徴として二点を挙げたいと思います。
特徴:65歳以上の介護を想定
まず一点目は65歳以上の被保険者を主なターゲットとしていることです。公的介護保険制度が国会にて可決し、施行された背景には当然現在日本が直面する高齢化社会があります。この高齢化社会においては介護とは目をそらすことの出来ない問題であり、高齢者の介護に対応するための施策の一環なので、原則としては65歳以上の高齢の方の介護を想定しているのは至極当然といえます。
しかし被保険者の対象となるのは保険料を支払い始める40歳以上の年齢の方なので、一応40歳~64歳の方も公的介護保険のサービス受給者となり得るわけです。この40歳~64歳の方は制度的には第2号被保険者と呼ばれ、65歳以上の方が第1号被保険者と呼ばれます。
第2号被保険者はいかなる状態の介護状態でもそのサービス受給者となるわけではありません。第2号被保険者においては国の定める16の特定が原因となって介護状態になった場合にのみ、サービスの受給が可能となります。つまりたとえば交通事故で介護状態になったとしても公的介護保険制度の対象外となってしまうということです。
さらに言えばこの第2号被保険者は健保などの医療保険に加入していることが前提となります。健保の保険料に加え、介護保険料も支払うわけなので、制度上不十分な受給しか受けられないのにもかかわらず第1号被保険者よりも高い保険料を払っているのです。
こういった理由から第2号被保険者にとってはただ保険料を払っているだけの不十分な制度と言わざるを得ません。
特徴:サービスの現物支給
そして公的介護保険のもう一つの特徴として、金銭ではなくサービスの現物支給ということです。これは国が定める介護状態の軽重によりランク分けされた2段階の要支援状態、5段階の要介護状態において、その被保険者がどの段階に認定されたかにより受給できるサービスが異なってくるというものです。
このサービスにはホームヘルパー、デイサービス、リハビリ等の通院サービス、福祉用具貸与、短期入所などがあり、認定された段階に応じて受給可能なサービスを組み合わせていくといったものです。
当然ここにも問題点があり、まずは公的介護保険はサービスという現物支給のため、介護に必要とされる金銭的な支給がないということです。当然介護には多額の費用が掛かってきます。
月々のランニングコストは当然ですが、バリアフリーや介護用の車両、その他介護用品の準備など実はまとまったお金というものが必要となるのです。公的介護保険制度ではこういった初期費用には対応できないため、自助努力で用意する必要があります。
介護に対応する備え:今から出来る事は何か
またこれは介護保険制度自体の問題ではありませんが、介護をとりまく情勢として挙げられるのが、この介護保険制度の導入により新たな介護ビジネスというものが生まれたことです。これにより多くの新規事業者の参入があったことによりサービスの質が低下したことも否めません。
お金を持っている人はお金を払ってより良いサービスを受けられますが、そうでない方は公的介護保険制度の枠内でのサービスを受給するほかありません。この公的介護保険制度は補助的なものであると考えます。
まずは介護状態になってしまった時のために今から出来る用意が保険だったり、貯蓄だったりあると思いますが、あくまで介護に対応するためには、それまでの自助努力(参考:自助努力について)も不可欠であるということです。