保険にまつわるクレームについて②【年金保険】

前回お話した保険にまつわるクレームについて【適切なフォローで信頼関係を築く】に引き続き、今回は、年金保険にまつわるクレームについて、事例を交え解説させていただきます。
保険と言えば目に見えずわかりにくい商品であるためクレームが多い商品と言われております。そのため保険加入の際はセールスマンのしっかりとした説明とその後のきめ細やかなフォローは言うまでもありませんが、顧客の方としてもしっかりとした理解のうえで加入すべきであると考えます。

クレームの事例:年金保険の盲点

保険に関するクレームと言えば多いのが加入時の説明不足により顧客が不利益を被ったことに端を発する場合が多いのですが、その中でもこういった事例があります。

顧客はバブル期の頃の非常に利率の良かった時代に年金保険に加入しました。今では考えられませんが、当時は良いもので掛けた保険料の2~3倍になって満期時には年金として還ってくるといった商品もあり、その顧客はそういった年金保険に加入しました。そしていざ年金が実際に支払われた際毎年相当な金額になっていました。

ここまでは顧客目線でいうとうれしいことではあるとは思うのですが、その顧客はそうではなかったのです。毎年支払われる年金は税法上は雑所得という分類になり、給与所得などと同様にれっきとした収入となります。収入であるということは当然それに基づいて計算を行う所得税や住民税などの税金、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料は所得比例の部分もあるため、正しく確定申告を行えば当然のようにそれらの金額は上がります。

このクレームの顧客は年金が多すぎたため住民税および介護保険料の額がはねあがってしまったが、それらの額があがるということについては保険加入時には一切聞いていない、聞いていないのでそれらの住民税・介護保険料の上がった部分を保険会社が肩代わりしてほしいとの主張をしました。

税金など様々な角度で考える

保険加入時には勧めている保険商品についての商品内容や契約の内容ばかりではなく、それにかかる税金などについても説明義務が発生します。

たとえば年金保険に加入する際は年金を受け取ると雑収入になるため控除証明書を持って確定申告を必ず行う旨の説明をしなければなりません。また当然に受け取った年金は雑収入であるため収入そのものが増えることにつき、税金や社会保険料の金額が上がる可能性があるという旨も説明しなくてはならないのでしょう。

掛けた分の保険料以上の年金額が支払いになり、住民税や介護保険料の増加分を差し引いてもまだ年金保険を掛けていた方が利益は大きく顧客にとって得であるにも関わらず、そういったクレームが起こってしまうということがあるのです。

顧客にとってデメリットこそ説明が必要

やはりその商品のメリットについてはもちろんのこと、デメリットこそ倍以上の時間をかけてしっかりと顧客に理解した上での加入でなければならないので、加入時の説明は何よりも大切なのですが、年金保険などは一般的な10年物の定期保険とは異なり、20年~30年も保険料を支払うという類の商品であり、加入当時のセールスマンは年金手続時には退職しているというケースがほとんどですので、どういった説明を行ったかどうかはもはや誰も知る由はありませんでした。

年金保険などはこういった面からも加入時の説明は他の保険よりもおよそ大切になってくると言えます。というのも年金保険はスパンの長い商品であるため、経済情勢の変化により当初の年金額が支払うことが出来なかったりというケースが多いからです。

心を尽くす大切さ

今回の顧客については、受け取った年金について受け取った時点で顧客の雑収入となり、また確定申告を行っているため、住民税と介護保険料は顧客に課せられたものであり、それについては保険会社には支払う理由はない旨を伝えなんとか収まりましたが、これが加入時の説明がしっかりしていれば、もしくはそうでなくとも加入後のフォローがしっかりなされていればあるいはこういった不満を表明することはなかったのではないかと感じました。

           

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