専門職業人賠償責任保険について【保険で補う職責の重圧】

現代の多様化したライフスタイルや企業活動の変化に応じて保険も様々な形へ進化してきました。とりわけ損害保険については新たなリスクの発生とともにそれらをヘッジするさまざまな保険が生み出され、日々の生活や企業活動の一助となっています。

専門職業人賠償責任保険とは

一般の企業においてはその営業活動や企業活動において他人や他人のモノに損害を与えるリスクも少なくありません。企業総合賠償責任保険はほとんどの企業で加入されており、企業の事業内容ごとに細分化されあらゆる企業活動におけるリスクをヘッジした商品です。

しかしそういった一般の企業よりもさらに高度の技術を要求される、たとえば業を執り行うのに国家資格を必要とする医師や弁護士、公認会計士、宅地建物取引主任者などはそのリスクは一般企業の有するリスクよりも高く、より高度な注意義務が発生します。

むしろこういった高度な専門職業人は一般の企業やその他の職業に比べて、社会的責任が高いがゆえに、その過失や過誤による経済的損失に対する賠償責任を負う可能性は高いと言えます。そういった専門的職業に従事する者が業務を遂行していくうえで他人の身体もしくはモノに損害を与え法律上の損害賠償責任を負った際にそれを填補するのが専門職業人賠償責任保険なのです。

専門職業人の訴訟例:弁護士・公認会計士・医師

専門職業人の中でも特に司法試験・公認会計士・医師の3大難関資格を必要とする専門職業人を例に見ていきます。

弁護士

たとえば弁護士などは民事訴訟や刑事等訴訟においてたとえば上告等上訴を行う際においては2週間という起源が法律上定められていますが、これを渡過し敗訴が確定してしまった場合や、類似した事例において敗訴の判例があるにもかかわらず勝訴を軽信し、訴訟を行ったものの敗訴してしまった場合など、業務上の賠償責任が発生します。しかし訴訟等におけるミスにもなれば、ともすれば人の一生を左右するようなミスであって、一般人の一般的な職務上のミスでは済まされないような多額の大きな賠償責任を背負う可能性があります。

公認会計士

他にも企業の決算時等において会計監査を行い、企業の財務書類の適正性を公に証明するという業務を行う公認会計士においても、たとえばその粉飾決算を看破できなかった場合など監査上の注意義務を怠ったことにつき業務上の損害賠償が発生する場合がありますが、ステークホルダーを多数有する大企業等の会計監査においては、その賠償額も数億単位の莫大な金額となります。

医師

また近年では医療過誤により訴訟を起こされるケースの多くなった医師などにおいてもその賠償額は年々増加しており、1回の敗訴により病院経営が破たんしてしまうような賠償額になってしまうこともすくなくありません。

莫大な賠償額:職責の重圧を軽減し職務に打ち込む

専門職業人が職務を行うにあたり相当な注意を払うことを怠った過誤ともあれば当然信用問題に発展するため一概に保険加入だけではカバーしきれないこともありますが、それでも安心して職務に打ち込むための一助にはなるでしょう。

ただもちろん専門職業人賠償責任保険があることにより、たとえば専門職業人はその職務に対する緊張感が緩んでしまい、ミスを誘発してしまうといった問題があります。もちろん保険に頼ることなく常に慎重な職務を執り行ってほしいという思いもありますが、しかしながら専門職業人の従事する職務においては専門的かつ高度であるがゆえに、過誤による賠償額も莫大なものであるので、そういったプレッシャーの中でも職務においても保険は大きな助けとなっているのです。

一般の企業にお勤めの方にはなかなか縁のない保険ではありましたが、こういった専門職業人の方は多大なる重責とともに日々の職務に従事しており、保険もその専門職業人の職責の手助けに一役買っているということです。
(参考:保険の歴史)

           

お役に立てましたらシェアお願いいたしますm(__)m