保険に関する法律について【保険契約を交わす際の義務と権利】

民法上では保険契約は有償双務諾成契約というものにあたります。
有償契約とは当事者間に金銭の授受が発生する契約のことをいい、双務契約とは当事者お互いが義務を有する契約のことを言います。

さらに諾成契約とは当事者の申込と承諾という当事者の合意のみで契約が成立する契約のことを言い、特に目的物の引き渡しを必要としない契約にあたります。保険加入には申込書や告知書等さまざまな書類が必要となり、難しく面倒そうなイメージがありますが、諾成契約であるので本来は書類すら必要ないのです。

普通保険約款について:トラブルを未然に防ぐ為に

ただ保険会社と顧客との合意のみで契約が成立するため、また目に見えない金融商品であることからトラブルにならないようお互いの権利・義務について詳細に書面上に定めておく必要があります。この書類のことを普通保険約款といい、保険業法により保険会社は各保険商品について作成し顧客に交付することが義務付けられています。

保険商品とは専門的な金融商品であることから保険会社と顧客の間の情報と知識においては圧倒的な差があります。この差の中で互いの合意のみで契約が成立するのですから、保険会社に有利なように契約を進めやすいです。保険会社はどうしても弱い立場に陥りやすい顧客の保護を図るという目的からさまざまな法律により規制されています。

ではどういった法律により規制されるのでしょうか。

保険業法による規制:違法行為を見極めよう

保険会社は主に保険業法という法律による規制を受けます。

重要な個所でいえば、保険の販売に際して保険会社が禁じられている行為についてです。たとえば虚偽の説明をしたり、伝えるべき重要事項について説明を省いたり、誹謗中傷、脅して加入させるなどといった違法行為とその罰則について明記されています。こういった禁止行為を犯した場合は登録取り消しといった行政処分や刑法に抵触する場合懲役・罰金などの司法処分も受けることがあります。

金融商品取引法による規制:リスクの説明義務

保険商品とは金融商品に他ならないので、金融商品の販売に関する法律の規制も受けます。

金融商品取引法は金融商品の有するリスクについての説明義務について明記された法律であり、当然保険商品もリスクのある金融商品ですので、規制の対象となるのです。この法律では説明義務を怠った場合の罰則というよりは、説明義務を怠ったものへの賠償責任が発生するといった内容なので、どちらかと言えば刑事的というより民事的な内容になっています。

消費者契約法による規制:誤った契約は取消せます

また消費者契約法という法律の規制も受けます。

保険は何しろ目に見えず、難解な商品であるので、たえず顧客は商品に対する誤認を招きがちに決まってます。そういったリスクを回避するため、顧客が保険会社の不適切・不十分な説明などにより保険証について誤認に陥った場合顧客に取消権を与えその保護を図っています。(参考:保険とクーリングオフ)

個人情報保護法による規制:顧客保護の理念

さらに保険の契約は、個人名・生年月日・住所・電話番号だけでなく、その本人の保険金額、月々の保険料、本人や家族の健康状態などあまりにセンシティブな情報を取り扱います。個人情報保護法により保険会社はこれらの個人情報を適切に取り扱い、第三者に漏えいさせてはならないよう個人情報の取扱いを規制されています。

そして保険は金融商品ですので、大金を取り扱うこともしばしばあります。
顧客保護という観点からはずれますが、保険会社は公益事業に近い性格もあるため顧客から集めた保険料等はさまざまな社会的な利益のために使われています。犯罪収益移転防止法ではそういった公益事業の性格を有する金融商品を扱う業者がマネーロンダリング等に利用されてしまうことを防止している法律で、当然に保険会社もこの法律の規制を受けます。

以上のように保険会社はその業務・商品の特性上さまざまな法律による規制を受けます。

ただ保険会社としては法律に規制されているからではなく、真に顧客保護を考え企業活動を行っていく必要があると考えます。

           

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