2016年の1月1日よりマイナンバー制度が施行導入されました。
これにより日本国民は一人ひとりが個人番号を所有することとなり、これによって税や社会保障または災害などの分野において、各機関の持つ個人情報を同一人物の情報であることを確認できるようになるため、結果的に効率的に情報を管理できるようになると言われています。
その運用については今のところ未知数ですが、このマイナンバーについては例えば氏名・住所・生年月日等のいわゆる個人情報よりも、その取扱いについてはより慎重さが求められます。
当然個人情報の紛失よりも重い罰則があり、もちろん損害賠償支給といった民事上の責任も発生します。
さて、このマイナンバーですが施行に伴い、例えば生命保険や損害保険においてどのような影響があるのでしょうか。
マイナンバーと保険
マイナンバー制度と保険との関係についてご紹介したいと思います。
マイナンバー制度が導入されたからと言って、保険の内容が大きく変わることはありません。
あるとすれば、保険会社より保険金を受け取る際にマイナンバーの記載を保険会社より求められる可能性があるというだけです。保険会社は保険金を支払った後に税務署に支払調書をいう書類を提出する義務があり、その書類にマイナンバーを記載する欄があるため、顧客に記載を求めているということなのです。
保険会社の支払調書の提出は所得税法で義務つけられており、100万円を超える死亡保険金や満期保険金、解約返戻金または年額20万円を超える年金の支払いがあった時は保険会社は契約者の氏名や住所、保険金額等詳細に記載する義務があり、ここに今年度よりマイナンバーが加わったということになります。
つまり保険加入者としては、保険金を受け取る際にマイナンバーを記入するようになるというのが、マイナンバー制度導入による保険への影響と言われています。
しかしマイナンバーについては保険会社や加入者についても提出義務はなく、提出拒否をした場合の罰則等も法的にはないため、マイナンバーを提出していないからといって保険金を支払わなかったりということはありません。
もちろん今後提出に際して何等かの罰則等設けられる可能性は大いにありますが、今のところ保険に関しては影響は少ないと言えます。
保険の対象としてのマイナンバー
ではマイナンバーは保険の対象となり得るのでしょうか。つまり仮にマイナンバーを紛失等してしまった場合に際して、保険で補償してくれるようなことがあるのでしょうか。
例えば東京海上日動火災保険の「サイバーリスク保険」はまさにそのマイナンバーに関する事故に対する補償が出来る保険です。個人と言うよりはどちらかというと企業に近いのですが、顧客のマイナンバーもしくは従業員のマイナンバーを紛失した際には損害賠償だけでなく、見舞い品や謝罪広告等の掲載により数億円単位での賠償が必要となることがあります。
したがってマイナンバーの取り扱いはそれだけで企業にとっては多大なるリスクであり、それに対するリスク回避の備えもまた企業にとって必要とされるものであるといえるでしょう。
おわりに
マイナンバーは国や税務署などにとって国民の個人情報を一つの番号のもと一元管理できるというのがメリットです。したがってこれによって日々の暮らしがどうこう変わるというわけではありません。
しかし今後は生命保険や損害保険の分野でも保険金支払い以外でマイナンバーを活かしたサービスというよりは、マイナンバーの提示を求められるということがあるかもしれません。まだ身近なものではありませんが、マイナンバーというものがあるということくらいは認識しておいたほうがよろしいかと思います。