必要保障額の計算について【保険プランニング】

保険に加入したり保険を見直しするうえで、必要保障額を把握しておくことは非常に重要なことです。なぜなら保障額に過不足があってはならないからです。保障が足りなければ万が一の時に困りますし、逆に保障が過多であれば無駄に保険料を払い続けることになるからです。

そういった理由からただ漠然と保険に加入するのではなく、保障額の根拠となりうる必要保障額の重要性を述べたいと思います。

大黒柱に万が一の場合の保障額

まずポピュラーな計算方法としては、平均余命から算出する方法です。たった今一家の大黒柱に万が一のことが起こった場合の必要保障額の算出として以下の算式を用います。

① 現在の生活費 × 12 × 70% × (末子の独立年齢-末子の現在の年齢)

ここでいう70%とは亡くなった大黒柱の分の生活費を抜いた一家の生活費の算出に用います。そして末っ子の独立年齢とは一般的には大学卒業時22歳を用いることがもっぱらです。生活費に関しては各々の家庭により異なりますが、生命保険文化センターによれば地域による物価の上下はあれど2人以上の勤労世帯で約31万円となっています。

この生活費については原料費や燃料費高によりさらに上がっていくものと予想されます。およそですが末子の独立時までには生活費だけでも総額2000~5000万円必要となることがわかります。

末子独立後の妻のみの生活費

続いて末子独立後の妻のみの生活費を算出するには以下の通りになります。

② 現在の生活費 × 12 × 50% × 末子独立時の妻の平均余命

ここでいう平均余命とは女性であれば86歳まで生きると仮定し、その年齢に達するまでの生活費を算出します。およそここでは5000~7000万円必要となります。

遺族年金など支給される金額は控除して

前述の①と②で算出したものをプラスするとおよそ7000~12000万程度の金額となりますが、もちろんこの金額をそのまま用意するだけでは不十分かもしれないし無駄が出てしまうかもしれません。

もう少し厳密に見ていくと、夫死亡時には妻には公的年金の遺族年金が支払われます。厚生年金に加入している方であれば、遺族基礎年金および子の加算分のほかに厚生年金の分も加算され、およそ月に総額14万円が支給されます。ただし遺族基礎年金は末子が18歳に到達するまでの期間しか支払われないので注意が必要です。

しかし末子が18歳を超えた場合は遺族基礎年金は中高齢寡婦加算となり金額は減少するものの妻が64歳まで毎月約10万円が受け取れます。そして65歳以降は妻の老齢年金の支給が始まり、今の試算ではおよそ毎月12万円程度が受け取れるものと仮定します。

ざっくり計算するだけでも年金分だけで総額6000~8000万円は受け取れるとするならば、先ほどの必要保障額からこの妻の年金分は控除して必要保障額を考えるのが良いでしょう。

必用保障額を認識しておくことが重要

ただ必要保障額の計算はあくまで生活費のみの話であり、これに加えて子供の小中高大学入学等の教育費、子供の結婚資金、医療費、住居費用、親の介護費用、その他雑費等がかかってくるので単純にはこの通りとはいきません。

もちろんそれぞれの家庭にはそれぞれのライフプランがあり、正確に算出することは不可能であり、また正確に算出したとしてもライフステージの変化とともに必要保障額も変化していきます。重要なことはライフイベントが想定される時期ではなく、日ごろより必要保障額の概念を認識し、必要に応じて見直し等を繰り返すことです。

参考:保険の見直しについて2【ライフイベント毎に必要な補償を考える】

一生涯を通じての完璧な保険プランというものは存在せず、千変万化するライフステージに対応する保険こそがベストな保険なのです。そのベストな保険に加入するための一材料として必要保障額の算出があります。一度保険に加入する際、もしくは保険の見直しをする際はご自分で必要保障額等を計算されることをお勧めいたします。

           

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