保険金不払い問題について【加入できたのに、何故支払われないの?】

平成17年ごろ社会問題にまで発展した保険会社の保険金不払いという問題がありました。おおまかな概要としては1社の不払いを皮切りに生損保の監督官庁である金融庁が調査を命じたところ多くの会社で支払うべき保険金を支払っていなかったという事実が発覚したというものです。

 保険金不払い問題について:何故支払われないのか?

国内のほとんどの保険会社で発覚したため大きな問題となったのですが、生命保険・医療保険・損害保険等多種に渡る保険商品についてかつ大量の契約で不払いが発覚したため、世間の保険会社への信頼を著しく不安定なものにした問題でもありました。

私は保険会社入社当時この不払い問題対応の真っただ中にあったため、すぐに対応部署に駆り出されましたが、内部からこの保険金不払い問題を見た者として述べたいと思います。

まず不払いには、事務処理上や手続き上のミスに起因するものと悪意で支払わなかったものの二つに大分できると思います。私が対応したものの多くがこの前者の事務処理上や手続き上のミスに起因するものでした。

 不払いになった主な理由は?:不払いの事例

どういったものかというと具体的には、医療保険に加入している被保険者の特約の内容の確認を怠っていたということや、ある特定の病気がたとえば女性特有の病気にあたることを事務担当者が見落としていたといったものだったり、または被保険者からの請求がなかったため支払いができなかったなどが挙げられます。

こういった事例については保険会社の事務の精度の問題となるのですが、やはり加入時のセールスマンの説明不足による顧客の理解不足、さらに加入後のフォロー不足も少なからず関与していることだと思うので、やはり保険会社全体が保険金を支払う意思があったのかということを疑われていても仕方がないことだと思います。

ましてや被保険者からの請求がなかったから不払いとなってしまったという事例については、明らかに加入時の説明不足と加入後のフォロー不足によるところが大きいと思われます。

 なぜ保険金不払い問題は起きるのか:加入内容を把握することが大切

保険会社の基本的なスタンスとしては、請求があったものだけを支払えばいいという請求主義に立っていますが、顧客サービスの点から言うと極めて不親切そのものであると思います。保険契約は保険会社と顧客との合意によって成り立つ諾成契約ですが、その両者の保険に関する情報・知識量には大きな隔たりがあり、保険会社は常に有利な立場にいます。

その不利な中で保険金の請求が出来ることすら知らなかったという顧客が多いことは事実です。加入時のしっかりとした説明と特に加入後のフォローによる顧客とのコミュニケーションがしっかりしていれば、こういった事例は起きにくいものと思われます。

また、不払いの事例としてもう一つの悪意で支払わなかったものについてですが、実際にこの事例にあたったことはありませんが、こういった契約の予備軍は多数存在していると思われます。

 健康状態はありのままを伝えましょう:安易な勧めには慎重に!

どういったものかというと保険の加入時に被保険者には告知義務というものが発生します。自分の健康状態についてありのまま保険会社に伝えなくてはならず、また健康状態によっては保険に加入出来ないということがあるのですが、契約を取りたいセールスマンにとってはこの告知義務が少なからず成約の妨げとなることがあるのです。

そういう場合に被保険者の正しい告知を妨げ無理に契約を成立させた結果、いざ被保険者が病気にかかった時に既往症等を医師の診察や保険会社の調査で調べた結果、告知義務違反にあたり支払いが出来なかったという事例がしばしばあるのです。残念ながらそういったケースで加入している顧客もいるかと思います。(参考:生命保険支払調査について)

保険会社の顧客のことを考えた説明、フォローは当然のことですが、そういったケースで泣き寝入りしないよう、顧客の側にも正しい知識を身につけることと正しい告知を心がける必要があると思うのです。

           

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