基本的には物を買う時は一般常識もしくは民法においては一度契約を結んでしまえば一方的にそれを取りやめるということはできません。
しかし消費者の側からすれば業者との知識量の差からしっかりとした理解もなく、また冷静な判断も出来ないままにした契約であればそれは納得して結んだ契約とは言えないでしょう。そうした消費者保護という観点から、契約後一定の期間内であれば消費者の側から一方的に契約を解除できるというクーリングオフという制度があります。
目次
保険商品のクーリングオフ制度について :契約日から8日間
では形の見えない保険契約についてはこのクーリングオフ制度は利用できるのでしょうか。保険契約は形が見えないため他の商品よりも顧客の理解不足に陥りやすく、また勧められて締結することが多いため、当然消費者の立場が弱くこのクーリングオフ制度の恩恵を受けることができます。
法律上ではクーリングオフが出来る期間は契約日の当日を含めて8日間以内と定められており、変額保険等の投資型商品については10日間の特定早期解約が可能です。
適用にならないケース:1年を超える保険契約がベースとなる
しかしすべての状況において必ずクーリングオフ出来るというわけではなく、たとえば第1回保険料を口座引き落としで支払ったり、医師の診査が完了していたり、法人契約の場合はクーリングオフの対象外となります。もう少し細かく保険のクーリングオフ制度について述べていきます。
基本的な考え方として、1年を超える保険契約の場合はクーリングオフ期間が8日間と定められており、これがベースとなります。定期保険や終身保険などの生命保険やがん保険などの医療保険、火災保険や自動車保険といった損害保険などほとんどの商品でこの考え方となります。
よって1年を超える保険商品であればほとんどがクーリングオフ出来ると言っても良いでしょう。
クーリングオフ対象外①:法人契約、強制保険
ただし以下のような例外の場合はクーリングオフの対象外となるので注意が必要です。まずクーリングオフ期間の8日を超えた場合は当然にしてクーリングオフが不可能です。ただし前述した投資型商品についてはこの通りではありません。
次に法人や社団、公共団体が契約者となって締結する保険契約もやはりクーリングオフの対象外です。また強制保険もクーリングオフが出来ません。これは自賠責保険や労災保険、健康保険や介護保険など法律上加入が義務付けられている保険については当然クーリングオフの対象外となります。
クーリングオフ対象外②:自ら加入意志を示して締結した保険契約
そして自ら加入する目的を伝えたうえで、訪問日時を指定し訪問した保険者の営業所において締結した保険契約についてもクーリングオフの対象外です。
営業所のみならず、契約者の側から指定した場所での締結や郵送・FAX・インターネットによる申し込みについてもやはりクーリングオフは利用できません。
また前述の通り、医師の診査が完了した保険契約や第1回保険料を口座引き落としで支払った契約もクーリングオフの対象外となります。以上の様に主に自ら加入意志を示して締結した保険契約は原則的にクーリングオフの対象外となりますので、自ら希望して保険に加入する場合により慎重を期して加入しなければならないということです。
クーリングオフにならない為に:商品説明で納得した上での契約が望ましい
今では保険契約締結時には重要事項のお知らせと併せてこのクーリングオフ制度について説明しなければならないことになっています。もちろん解約前提で加入する人なんてそうそういませんが、クーリングオフ制度というものについても保険契約の内容とともにしっかり理解しておく必要があります。
ただ最も好ましいのがクーリングオフとならないよう、セールスマンがしっかりとニーズ喚起と商品説明を行わなければなりません。(参考:保険募集人になるには【良いセールスマンとは?】)どうしてもこの保険が必要であるということと情熱を持ってすればクーリングオフしなければならないような事態にはならないでしょう。
顧客においても納得に納得を重ねたうえで保険に加入するべきであると思います。