助産師養成学校での臨床実習について(病院編)

助産師養成校で基礎の授業を受けると夏休み明けより病院での臨床実習が開始されます。

 

臨床実習とは医療従事者を目指す方が学生が実際に患者とかかわり、臨床での診察や治療、コミュニケーションの取り方を勉強する授業の一環です。

 

助産師学生はそこで診断と技術を学ぶための実習を行います。期間は学校により異なりますが2〜3カ月に及びほとんどが病院の寮などで泊まり込みの実習となります。

 

実習の内容

実習の大半は妊娠・分娩・産褥期に置ける保健指導、妊婦健診、分娩介助、産褥ケア、新生児ケアとなります。

 

助産師国家試験を受験するためにはこの臨床実習で助産師、医師の元で分娩介助10件を行わなければなりません。

 

しかし分娩は出産予定日にうまれる事は少なく、いつ自分が介助出来るのか不安と期待の毎日となります。学生皆が同じ条件となりますので、分娩介助を行ったら速やかに記録を仕上げ次の分娩への待機を出来るだけ早く開始することがスムーズに分娩介助を行うポイントです。

 

継続事例実習

分娩介助実習と平行して継続事例実習もスタートしていきます。継続事例とは妊娠中期の正常な経過をたどっている妊婦さんを病院側がピックアップし助産師学生の受け持ちの許可を頂いた方が対象となります。

 

助産師学生は一人に対して妊婦さん一人を妊娠中期から産後の1ヶ月健診まで継続的に受け持ちの妊娠・分娩・産褥期・新生児のケアを学ぶ為の実習です。

 

実際一般の方で妊娠されている方を学校と病院の責任によって学生が受け持つという実習です。分娩介助実習も実際に妊娠されていて出産するタイミングの方を受け持ちますが、継続に関しては妊娠経過を見るための実習も含まれるため妊娠中から担当させて頂きます。

 

その妊婦さんのことを「継続さん」と呼んでいます。
    
継続さんと実習最初の妊婦健診でご挨拶をし、それ以降は毎回妊婦健診を一緒に受診します。

 

学生は継続さんの妊娠経過を把握、アセスメントし何がその方にとって必要かを考えて毎回指導しなければなりません。また妊娠経過に合わせた指導も必要ですので、毎回妊婦健診の結果から必要とアセスメントした内容、妊娠経過から必要と思う内容を合わせた保健指導を展開する必要があります。

 

継続さんと出会った頃は2週間に一度の健診ですが、臨月に入ると週に1回の健診となりますので毎回指導案とパンフレットを作成するのも他の実習と平行しているので大変な作業となりますね。

 

継続さんの出産は妊娠経過から共に過ごしているため特に感動的な出産です。

 

もちろん技術的には学生ですから、いっぱいいっぱいで必死なうちに終わってしまいますが、そこから毎日退院までお母さんと赤ちゃんと関われるので赤ちゃんの可愛さは更に大きくなります。

 

退院に向けて授乳、沐浴、退院指導と毎日目まぐるしく指導案やパンフレットの作成、修正がありお母さんが実施するという流れの中で眠れない1週間となりますが、実習中ここまで深く指導など関われるのは継続さんしかいないので頑張って下さい。

 

分娩介助

先程お話した様に国家試験を受けるためには分娩介助を10件行う必要があります。

 

外来でのリスクのない妊婦さんを助産師と医師がピックアップし陣痛が来たら助産師学生が受け持ち出産まで担当していいか許可を得てくれています。自分にとって人生に数回しかない出産を学生が取り上げてくれるというのは妊婦さんにとっては勇気のいることです。

 

看護師の資格はあるにしても助産師にお産を取り上げて貰えると思っていたのにとおっしゃる方も、もちろんいらっしゃいます。そういう気持ちがありつつも、未来の助産師の為にと託して下さった妊婦さんの気持ちに感謝し学生がついていてくれて本当良かったと思えるケアを提供しなければなりません。

 

許可を得ている妊婦さんが陣痛や破水で入院してくると待機していた学生が病院へ呼ばれます。分娩待機は毎日交代でいつでも呼ばれたら病院へ駆け付けられる様に待機をしています。一度呼ばれたら産まれるでは帰宅できないので辛いですが、それ以上に陣痛は辛く長いのです。

 

私も辛い、大変だと当時は思っていましたが、その長い過程を一緒に過ごし分娩を進行させるためのケアを提供し、声かけや家族とのコミュニケーションを学ぶ大切な時間だったと今では思っています。

 

実習は常に実習担当の助産師がおり、全て助産師にアセスメント、報告を行って許可を得てから産婦さんのケアを行います。学生がだけで産婦さんの所に行ったり、ケアを行うことはありませんので、安心して実習を行うことが出来ると思います。

 

毎日ドキドキな約3カ月ですが、就職してから自信を持って働ける様にたくさんのお産を経験して自分の力に繋げて下さい。

 

 

助産師についてのすべてを大まかに知りたい方は トップページへ