★養育費と学資保険について、離婚した場合の事例を解説しています
養育費とは一般的に「未成年の子供を監護、教育をするための資金」のことを指し、ここでは「離婚時において子供を養育しない片方の親が支払う子供にかかる教育費およびその他関連費用」のことを養育費とします。
なお、ここでは離婚する子供ありの夫婦で、妻が子供を養育し、夫が養育費をねん出するというケースでご紹介したいと思います。
養育費について:全ての親は子を扶養する義務がある
養育費の考え方としては、親が子に対して発生する扶養義務および生活保持義務に基づきます。
したがって親が例え離婚しようとも親には子の扶養義務があり、生活余力に関わらず(自己破産していても養育費の負担義務は発生する)親は子に対し養育費の支払義務があります。
では、親が子供にかける学資保険は満期時に養育費として子供は受け取ることが可能なのでしょうか?
今回は、養育費という観点から親が子供のためにかける保険「学資保険」の取り扱いについて次項において述べたいと思います。
学資保険は離婚後も継続可能だが養育費は減額できない
学資保険は親を契約者、子供を被保険者とし、子供の教育資金のために親が保険料をかけ、満期時に保険金受取人が祝い金として保険金を受け取る積立保険のことです。
一般的な保険から見るとその形態は特殊な形の保険ではありますが、一般的には保険金受取時に贈与税が発生しないように保険金受取人=契約者となっているケースが多いです。
離婚後の学資保険の契約の継続可能性については、民法の戸籍上では夫婦が離婚しても、養育しない側の親と子の親子関係は切れないため、学資保険は離婚後も成立し引き続き継続することが出来ます。
先ほども述べたとおり一般的には学資保険は契約者=保険金受取人であり、たとえば夫が契約者であった場合は、満期時には保険金を受け取ることが出来るのは夫であり、妻側はそれを請求することは困難です。
民法上では離婚時に財産分与つまり結婚生活において共有した財産は夫と妻に分配がされ婚姻後に加入した学資保険も当然分配のできる共有財産に含まれますが、民法に優先する保険約款上では学資保険は契約者が継続するか否かの権利を有するため、特別夫婦間で話し合い等がなければ契約者が契約を引き継ぎ、受取人の権利をそのまま有することになります。
保険契約に限らず、世にある数多の契約においては契約者こそが処分の権利を有するため、子供でも子供の親でも契約者に代わって保険金を請求する権利はありません。たとえ契約者が勝手に中途で解約しようとも抗弁の権利は契約者以外の人は一切有さないのです。
つまり学資保険を継続しているからといって養育費を減らしてもいいということにはなりません。
特段の取り決めがない限り、養育費≠学資保険となり別個のものと考えた方がよさそうです。
学資保険を養育費たらしめるには:きちんとした取り決めが必用
ではどうしたら学資保険を養育費として受け取ることが可能になるのでしょうか。
夫が学資保険の契約者で妻が子供を養育するというケースで見ていきたいと思います。
まずこういったケースにおいては夫婦間の話し合いによるものが第一ですが、たとえば妻の方からすれば保険金を夫に持ち逃げされてしまうリスクを不安視しているのならば、契約者変更により妻が契約者となることで、満期や解約時のトラブルは回避できると思います。
ただ保険料を妻が負担することになるので、そのあたりも夫が養育費と別個で保険料を負担するなどしっかりとした取り決めが必要であると思います。
兎にも角にも、親として子供のためにかけはじめた学資保険ですから、責任を持って子供の成長を想って途切れることなくかけ続け満期時にしっかり受け取れるようにしてあげることもまた、例え離婚してもそれは親の責務であると思います。
参考:返戻率の高いおすすめの学資保険はどこか?税制上のメリットも
※学資保険についての疑問はこちらにまとめました。
⇒学資保険はいつ加入すればいいか?いくらにすべきか?疑問にお答えします。