山岳保険【リスクのある登山への備え、マナー】

山ガールの出現:山が危険であることへの認識不足

2013年、世界最高峰エベレスト登頂を世界最高齢の記録で達成した三浦雄一郎さんの影響もあり、登山人気が熱を帯びました。山ガールという言葉もあるくらいに老若男女が登山をレジャーとして楽しむといった具合に登山がにわかにブームになっているとのことです。

ただ登山とはそもそも難しいものであり、登山人口の増加とともに山岳事故が増えているのも事実です。2014年の御嶽山噴火でも多数の死傷者を出したことは記憶に新しいですが、気候の急激な変化による天候不安、高地による酸素不足など山とはそもそも危険なもので、これに登山者の技術不足・知識不足・体力不足などがあいまって登山をいっそうリスクの高いものにしているのです。

遭難した場合、捜索には多大なお金が!:ヘリ1機1時間で数十万円!

もし登山中に遭難などしてしまった場合、家族の方が心配に思い遭難救助を依頼することになるでしょう。この遭難救助というものは多大なコストと手間がかかるもので、例えばヘリコプターを1機遭難救助にあてると1時間あたり数十万円というコストがかかり、また当然依頼する救助隊についても1人頭1日の捜索活動で数万円のコストがかかってしまいます。

もちろん搜索活動が難航し長期化すればそれだけコストがかかってしまい、時に数百万円という多大な金額に及ぶこともあるでしょう。また民間の救助隊に依頼した場合では個人負担となりますが、警察や消防などの捜索の場合については税金で賄われることとなり、厳しい地方自治体の財政においては、「遭難リスクが高いとわかっている登山での遭難にどうして税金を使わなければならないのか」と言った有権者からの批判等があり、地方自治体のこのような税金の使い道について社会問題となっています。

特殊な事態のリスクをカバー:特約として販売されている

遭難救助については、死亡も傷害もしていなければ当然に生命保険や損害保険の保険金は支払われることはないので、費用相当額を自己負担で賄わなければなりません。そのような登山中での遭難という特殊な事態においてもリスクをカバーできる保険があり、山岳保険といいます。

今や山岳保険は登山をする方にとっては加入は必須なものと考えられています。山岳保険とは各損害保険会社から販売されていますが、その多くは入院したらいくら、死亡したらいくらという医療保険や傷害保険に付帯されている特約のことを指すことが多いです。

レジャー保険やレスキュー保険:魅力は保険料の安さ

レジャー保険やレスキュー保険という名前で販売されていることが多く、内容的には登山のみに限らずアウトドアスポーツなどの、日本国内での海を除く野外活動中に遭難事故に遭った場合に、その捜索や救助に要した費用を補填する保険であることが多いです。

レジャー保険やレスキュー保険は日本国内でありかつ海での活動を除けば場所を問わず、また季節や活動形態も問わないので、登山だけでなく幅広いレジャー活動に対応できると言えるでしょう。

補償の大きさとしては保険商品によりますが、メジャーなものであれば、年間保険料が3000~5000円に対して補償額が300万円まで(免責部分あり)といったようなものが多く、低廉な保険料で必要最低限の補償を得られるものと思ってよいでしょう。

特約部分に相当するため保険料はもともと抑えられてはいるのですが、例えば山岳協会の組合員などの共済であればもっと保険料を抑えることもできます。

偶然の事故によるリスクをカバー:保険金が出ないケースも

ただし山岳保険はあくまで山岳を登山中の偶然の事故によるリスクをカバーするものなので、保険金が支払われないケースというものももちろんあり、それは登山とそのリスクには相応の因果関係があったことを立証できない場合に起こります。

参考:保険金不払い問題について【加入できたのに、何故支払われないの?】

例えば山岳中に病気にかかった場合の救助および治療費用なども場合によっては保険金が出ないこともあります。また登山をする際に必ず作成提出する登山届の有無によっても、保険金が出るケース出ないケースがあるので注意が必要です。

もちろん登山の場合の備えとは体力的、知識的、経験的なもののことを指すことが多いですが、もう一つの備えとして保険を用意しておくのも、登山者のマナーであるとも言えるでしょう。

           

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