地震保険の必要性【全損と一部損との補償の違い】

多くの犠牲を生んだ東日本大震災から4年が過ぎようとしています。日本は有数の地震大国であり、ここ20年でいえば他にも阪神大震災や新潟中越沖地震など甚大な被害を及ぼす大地震が数回起こっているということもあり、日本人にとって地震は大変身近な自然災害なのです。

しかしながらそんな身近な自然災害であるにも関わらずそれに対するリスクヘッジの手段としての地震保険については世帯加入率は3割を切っており芳しくありません。

地震保険の現状:加入率が低いのはなぜか?

地震保険は各損害保険会社から販売されていますが、いかに世帯加入率が上がろうとも実は保険会社には少しの利益も入ってきません。というのも地震保険は政府管掌事業のひとつであり、ひいては国もこの地震保険の普及に力を入れているというくらいに、地震に対する備えというのは重要であるのにもかかわらず、どうして世帯加入率は良くないのでしょうか。

果たして地震保険とは必要なのでしょうか。必要であるにも関わらず加入率が悪いのは、必要性が認知されていないのかそれとも商品内容が良くないのでしょうか。地震保険の商品内容を見ていきたいと思います。

地震保険の商品内容:不十分な補償と割高な保険料

地震保険は単独で加入することは出来ず、必ず火災保険に付帯する形での加入となり、保険金額は建物および家財いずれにおいても火災保険の保険金額の50%が上限と定められております。保険金支払いについては他の損害保険商品とは大きく異なります。損害保険は基本的には実損填補であり、損害を受けた分の補償となるのですが、地震保険はそうではありません。

地震によって被った被害に応じて「全損」「半損」「一部損」と3つに分類され、それぞれ保険金額の100%、50%、5%が補償されます。全損であれば定めた保険金額の全額がでますが、一部損であった場合は5%しか出ないということになるのです。

全損扱いの基準も厳しく地震保険を付加したからといって必ずしも満額出るとは思わない方がよいでしょう。

また保険料は住んでいる(建物がある)都道府県や建物の構造でその料率が異なってきます。また築年数や耐震診断、耐震等級によっても割引率などが変わってきます。地震の発生しやすく、建物の密度などで被害が大きくなりそうな都道府県(東京都・大阪府・神奈川県・愛知県など)かつ木骨造・木造などの建物であれば、実際には相当に保険料は高くなってしまいます。

このように補償内容の面から言っても大地震で甚大な損害を被ったケースの場合しか想定しておらず、さらに保険料の面からも条件によっては高くなってしまうというような商品になっています。では一見すると不十分な補償で割高な地震保険であってもそれでも加入必要性はあるのでしょうか。

地震保険の必要性:地震大国の最低限の準備

以上に述べた地震保険の内容から判断するに、はっきり言うと地震保険だけではそもそも損害全額をカバーできません。そもそも火災保険の保険金額はその対象物である建物の評価額から計算され、さらに地震保険はその半額が限度となるので仮に3,000万円の評価額の建物が地震により全損した場合でも、地震保険からは最高1,500万円までしか補償されません。

阪神大震災を契機に施行された被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援制度の支援金が最大300万円給付されますので1,800万円はカバーできるということになります。これを十分とみるか不十分とみるかはその人次第ですが、少なくとも地震保険に入っていなければ300万円だけの補償であることを考えると地震保険には加入しておいた方がだいぶましだということがわかります。地震大国日本においては最低限準備しておくべき保障の一つなのではないでしょうか。

参考:地震保険について【液状化、噴火、津波など自然災害全般が対象】

           

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