保険の税務について【知って得する税のお話】

保険契約とはお互いの合意のうえで成立するという双務諾成契約にあたりますが、もっとわかりやすくとらえるなら月の保険料を払えば保険事故の際保険金が支払われるという性格のもので、極論を言ってしまえばただ単に顧客と保険会社間のお金のやりとりにすぎなのです。

そしてのやりとりには必ず税務というものが絡んできます。まず保険会社より支払われる死亡保険金・入院手術給付金・満期保険金・年金などの税務上の取り扱いについて述べたいと思います。

 保険と税金の関係①:死亡保険金

まず死亡保険金の税務についてですが、保険料を支払う契約者と保険金を受け取る保険金受取人との関係でその税金の種類が異なります。まず契約者と保険金受取人が同一人物の場合は所得税が課されますが、その受け取り方が一括払いなら一時所得になり年金払いなら雑所得となります。

また契約者と受取人が異なる場合で、契約者自らが自分に保険を掛けていた場合だとその保険金は相続財産となるため受取人には相続税が課されますし、契約者が別の者に保険を掛けていた場合だと贈与財産となるため受取人には贈与税が課されます。(参考:生命保険と贈与)

どの種類の税金かによって全く計算方法とその納付金額が異なりますので、保険の加入時から注意が必要です。ただし死亡保険金については相続財産とはなりますが、相続時には非課税枠というものがあるので相続財産とはいえ保険金だけで多額の相続税を納付しなければならないということはありません。

  保険と税金の関係②:入院手術給付金

次に入院や手術など医療保険の給付金ですが、通院やがん診断、特定疾病、介護などいわゆる医療の給付金については税制上のメリットがありすべて非課税となります。受け取り金額にかかわらず非課税となるため特段申告等は必要ないのですが、医療費控除の申告をする際はかかった医療費から受け取った給付金額を控除する必要があるのでその点だけ注意が必要です。

 保険と税金の関係③:満期保険金・年金

そして満期保険金や年金を受け取った場合についてですが、これらは保険料を自分で払って自分で受け取った時と同様に所得となります。満期保険金の方は一括払いが多いので一時所得となり、年金の場合は雑所得となります。

ここで注意ですが、一時所得には50万円の特別控除がありますが雑所得には特別控除といったものはありません。同額の満期保険金と年金を受け取った場合だと受け取った年だけで言えば満期保険金の方が所得が増えるため納付税額も多くなりますが、トータルでいえば満期保険金の方が特別控除分所得が低くなるため結果的には納付税額もやや少ないのでその点注意が必要です。また雑所得で受け取ると当然その年の給与等と同じくコンスタンスな収入と見なされるため、所得に応じて納付額の変化する住民税ですとか介護保険料、厚生年金保険料も増えることになるのでこちらも注意が必要です。

 税制上のメリットについて:生命保険料控除

以上のように保険金や満期保険金等を受け取る際はどうしても税務上所得と見なされ申告が必要となってしまうケースがありますが、税制上のメリットもあります。生命保険の保険契約者は払い込んだ保険料の金額に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれる生命保険料控除という制度があるのです。

つまり生命保険料を必要経費とみなし、ある程度所得から控除することで所得税の納付額を減らすことが出来るのです。この生命保険料控除は数年前に法改正があり、従前の一般的な生命保険料の控除と年金保険料の控除に加え、介護保険料の控除の枠が新たに新設されました。これにより保険契約者にとっては享受できる税制上のメリットの幅が広がったことになります。

もちろんこの生命保険料控除制度を利用する際も当然確定申告が必要となってきます。保険と申告は切っても切れない関係にあると言えるので、保険に加入の際は頭の片隅に必ず申告をしなくてはいけないという認識が必要となります。

           

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