キャピタル・アセット・プランニングのIPO評価分析 上場後の上昇で売り逃げるのが得策か

複数の大手生命保険会社にシステムを提供している、キャピタル・アセット・プランニング(3965)の東証JASDAQスタンダードへの上場が決まりました。

想定価格は1960円

BB期間は2016年9月20日から9月27日

上場日は10月7日です。

仮条件は9月15日

公開価格は9月28日に決まります。

仮条件や追加の正確な情報は、決まり次第、日本取引所グループのホームページで確認できます。

金融機関と顧客が利用するシステムを開発提供保守するという、事業内容から目新しさは乏しいですが、この企業は保険会社に対するプランニングソフトに関して圧倒的なシェアを持っています。

その点から、長期的に安定した収益は期待できるでしょう。

IPOに関しては、とにかく売り出し規模が小さいので需給要因により初値が上昇するでしょう。

しかし、大株主にはベンチャーチャピタルがズラーッと並んでいるのでロックアップが外れる公募価格から50%上昇した後はガツンと売られる可能性があり、もしそうなると株価は急落します。

もし当選したのなら公募価格から50%辺りで、早々に売却した方が良さそうです。

その辺りを考慮した結果、今回参加お勧め指数は50です。

ここまで読んで「まぁ、良さそうだな、取り合えず参加しようかな?」と思った方、ちょっと待って下さい。是非、自分の目と頭で事業内容や財務諸表を、しっかりと把握してから、参加の是非を決めて下さい。

この記事を読んで、参加の検討を進めて頂ければ幸いです。

キャピタル・アセット・プランニングの事業内容

キャピタル・アセット・プランニングの事業内容は「金融機関等を対象としたシステムの開発、使用許諾(保守・運用含む)及びコンサルティング事業」と有価証券報告書に記載されています。

具体的な業務内容 金融関連システムのカスタマイズ

キャピタル・アセット・プランニングの具体的な業務内容は、自社で開発した金融関連システムを顧客毎の要望に沿ってカスタマイズして提供、そして、そのシステムの保守でも利益を得ています。

主な顧客は生命保険会社です。

有価証券報告書から確認できたところでは、ソニー生命、オリックス生命、朝日生命、クレディ・アグリコル生命保険、プルデンシャルジブラルタルファイナンシャル生命にシステムを提供しています。

具体的な金融関連システム紹介

・ライフプランニング・アセットアロケーションシステム

このシステムでは、まず、顧客の年齢に伴う生涯年収の予測を立てます。そして、その予測に結婚、子供の誕生、マイホーム、退職、老後の生活などのライブイベントを重ねます。これによって、顧客の生涯の資金の流れをシミュレーションする事ができます。

そして、そのシミュレーションを元に仮に顧客が30歳め病気になった場合や、50歳の時に死亡した場合などを想定した際の、最適な保険商品を紹介します。また、保険商品だけでなく、シミュレーションを元に株式や債券などのお勧めの金融商品も教えてくれます。

毎月金融商品を積み立てることで、想定される将来の資産計画も提案してくれます。

このシステムを使うことで、顧客は自分の生涯年収の流れを具体的に見ることができるようになり、普段とは違った視点で保険金融商品について考えることができます。

・エステートプランシステム

このシステムでは、顧客が保有する金融資産をシステムに入力することで、仮に顧客が死亡して相続が発生した場合の、相続人毎の最適な相続額をアドバイスしてくれます。

・生命保険会社向けシステム

保険商品を顧客に提案する際の設計書作成システム、生命保険会社内で保険商品を申し込むシステムの開発も行っています。
生命保険会社向けのシステムは、各生命保険会社の要望に沿ってカスタマイズして提供しています。

金融商品の選択は人工知能の得意分野

貴方は保険や投資などを行う金融商品を選ぶ時には、何を基準に選んでいますか?殆どの方は自分の未来を想像して、その想像を基に必要な金融商品を選んで購入していると思います。

しかし、人間の予測する未来は、公平な観点で予測されません。それは何故か?というと、予測する人の体験や知識を基にして未来を想像するので、予測する人の身に起きた体験は重視され、起きなかった体験は重視されません。

また知識にしても、専門書を読んだことのある分野は的確な知識を持っていても、関連する全ての分野で専門的な知識を持っていることは稀です。人は知らない分野のことは知っている分野の知識を応用して解決を図る傾向があるので、自ずと知っている分野の知識がクローズアップされます。

このように人が予測する未来は、予測する人の体験や知識によって大きく変化するので、現実とかけ離れてしまうことがあります。そして、かけ離れた未来予測を基に金融商品を選択しても思っていたように上手くはいきません。

これは人間が予測する限り解決することが難しい部分です。そこで、この問題を解決する為に、近年人工知能が注目を集めています。

人工知能は実際に起きた過去の実績を基に未来を予測するので、現実的な未来の予測は人工知能の方が、自分の体験や知識を基に予測する人間よりも優れています。

そして、そのメリットを活かして、近年様々な金融機関から人工知能の未来予測を活かしたサービスが提供されています。キャピタル・アセット・プランニングが提供するライフプランニング・アセットアロケーションシステムも、その1つです。

人工知能に金融商品の選択のアドバイスを求める時代は、もう始まっています。

キャピタル・アセット・プランニングの財務情報

売上
2010年3月          2,205,565,000円
2011年3月          2,648,820,000円
2012年3月          2,437,945,000円
2013年3月          2,227,699,000円
2014年3月          1,271,675,000円
2015年3月          3,240,619,000円
2016年6月          2,752,313,000円

経常利益
2010年3月          151,135,000円
2011年3月          130,359,000円
2012年3月          122,700,000円
2013年3月      △106,151,000円
2014年3月          87,991,000円
2015年3月          168,287,000円
2016年6月          110,890,000円

純利益
2010年3月          72,340,000円
2011年3月          71,688,000円
2012年3月          70,766,000円
2013年3月    △108,090,000円
2014年3月          54,920,000円
2015年3月          95,593,000円
2016年6月          61,351,000円

2013年に大きな損失を出していますが、その年以外は安定した業績を上げています。

特に昨年からは大きく業績を拡大させています。個人的に自己資本比率が30%台なのが、ちょっと低いなと感じるぐらいで、それ以外で不安な点は見あたりません。

日本取引所グループから公開されたキャピタル・アセット・プランニングの有価証券報告書

キャピタル・アセット・プランニングの関連銘柄

現在システムを提供保守している、ソニー生命の親会社のソニーフィナンシャルホールディングス(8729)やオリックス生命の親会社オリックス(8591)はキャピタル・アセット・プランニングの関連銘柄です。

これらの企業のシェアの拡大縮小はキャピタル・アセット・プランニングの業績に影響を与えます。また何らかの理由でシステムを他社に切り替えた場合には、大きな損害を受けます。

また、上場はしていませんが、システムを提供している、朝日生命、クレディ・アグリコル生命保険、プルデンシャルジブラルタルファイナンシャル生命にも同じことが言えます。

これらの生命保険会社と継続して関係を持ち続けることがキャピタル・アセット・プランニングの業績を左右します。

キャピタル・アセット・プランニングのIPOは買いなのか?見送りなのか?

キャピタル・アセット・プランニングのIPOは、ベンチャーキャピタルのロックアップが外れる公募価格から50%上昇辺りで早々に売却するのなら買いです。

欲を出して逃げ遅れると、ベンチャーキャピタルからの怒涛の売りによって株価が急落し利益が圧縮されると予想されます。

もし、その辺りのやり取りに不安がある方は、今回のIPOは見送っても良いと思います。

買い要因

  • 上場規模が極小規模

見送り要因

  • 大株主にベンチャーチャピタルがズラーッと並び、ロックアップが外れた後はかなりの売りが出ると予想される

主幹事情報 野村證券

キャピタル・アセット・プランニングのIPO主幹事は野村証券です。

その他の引き受け金融機関は、大和証券、あかつき証券、高木証券、東海東京証券、マネックス証券です。

この中で、ネットから購入の応募ができるのは、大和証券、東海東京証券、マネックス証券です。

まとめ

ちょっと癖がありそうですが、参加して良い案件です。

業務内容としても将来的に振れ幅の少ない安定した業績が期待できるので、長期保有を検討しても良い銘柄です。

ただ、自己資本比率の低さが気になります。

この辺りが気になる方は、次の決算まで様子を見た方が良いでしょう。

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