家賃保証サービスを展開するイントラスト(7191)が東証マザーズに上場します。
想定価格は630円
BB期間は2016年11月21日から11月28日
仮条件は11月18日
公開価格は11月29日
上場日は12月7日です。
仮条件や追加情報は日本取引所グループのホームページから確認できます。
イントラストは、家を借りる際に必要な連帯保証人の代わりとなる家賃保証サービスを主に行っている企業です。
上場時の売出し規模も少なく業績も好調なので良さそうな案件に見えますが、期限の到来している250円のストックオプションが109万株あります。
仮に、このストックオプションが行使されると、売出し規模226万株+ストックオプション109万株=335万株になり、一気に売出し規模は膨れ上がります。
ストックオプションが行使されるかどうかは、当日になってみないと分からないのですが、危うさを孕んでいる案件だと思います。
そのため、おすすめ指数は20です。
ストックオプションが行使されなければリターンが得られる案件ですが、ストックオプションが行使されると公開価格を下回ることもあり得ます。率直に言うと、私は参加はオススメしません。他にもIPOはありますし、この案件は見送った方が良いでしょう。
以下では、イントラストについて解説していきます。IPOの参考にして頂ければ幸いです。
目次
イントラストの事業内容
イントラストの事業内容は「総合サービス保証事業」と有価証券報告書に記載されています。
イントラストの主な業務は
- 「家賃保証サービス」
- 「介護費用保証サービス」
- 「医療費用保証サービス」
の3つです。
「家賃保証サービス」
この家賃保証サービスがイントラストの主な業務です。賃貸契約を結ぶ際に連帯保証人を用意するのが難しい方に対して、連帯保証人の代わりに家賃保証を行います。
保証はイントラストが担保する場合と、信託会社と提携して担保する場合の2種類があるようです。どちらにしてもイントラストの高い滞納回収率が、事業を支えています。
「介護費用保証サービス」「医療費用保証サービス」
この2つの保証サービスは、基本的に家賃保証サービスと同じサービスを用途を変えて提供している事業です。
事業のキモ 滞納回収率
イントラストの事業のキモは滞納回収率です。滞納回収率が低くなれば倒産してしまうので、ここがどうなっているのか?大変気になるのですが、有価証券報告書には「弁護士と協力してコンプライアンスを徹底して、早期の回収に努める」と記載されているに留まっています。
家賃保証サービスの問題点
今や多くの方が賃貸契約を結ぶ際に、家賃保証サービスを利用しています。
それも仕方ないでしょう。日本では親でもなければ、おいそれとは連帯保証人になってくれないので利用せざるおえない状況だからです。
このように家賃保証サービスは世の中に必要なサービスですので、今後も家賃保証サービスを提供している企業の収益は安定して推移していくでしょう。
さて、この家賃保証サービス、実は優良な利用者の負担が大きいことはご存知ですか?
家賃保証サービスを利用した事がある方なら分かると思いますが、利用する際には契約金が必要です。契約金は家賃の値段にも寄りますが、私が過去に契約した際は5万円の物件で契約金は2.5万円でした。
これが2年に1度掛かります。この値段が高いのか?安いのか?は人によりますが、この値段は優良な利用者が不利な値段設定になっています。
それは何故か?というと、この値段設定の計算式の元となる家賃を踏み倒す確率は、契約者全体の割合になっているからです。ここは本来ならば個別の利用者の信用情報に基づいて計算されるべきです。
でなければ、家賃を踏み倒したことがない方の保険料の負担割合が増えて、結果として家賃を踏み倒した人の分の損失を負担する事になるからです。家賃保証サービス業界が若く信用情報の収集が進んでいないので、このような問題が起こっているようです。
幸いな事に2010年には、業界で資金を出し合い、個別の利用者の信用情報を収集する機関「賃貸保証のデータベース機関LICC」ができて問題は解決へと向かってはいますが、まだまだ情報量が少なく、この問題を解決するには至っていないようです。
イントラストの財務情報
売上
2012年3月 1,285,880,000円
2013年3月 1,851,218,000円
2014年3月 2,131,964,000円
2015年3月 2,845,934,000円
2016年3月 2,650,728,000円
2016年9月 1,306,530,000円
経常利益
2012年3月 −67,645,000円
2013年3月 71,315,000円
2014年3月 9,454,000円
2015年3月 13,823,000円
2016年3月 541,001,000円
2016年9月 269,965,000円
純利益
2012年3月 −80,331,000円
2013年3月 70,020,000円
2014年3月 −3,079,000円
2015年3月 −171,400,000円
2016年3月 524,066,000円
2016年9月 173,862,000円
業績は昨年から急拡大したようです。
早くも売上額は昨年よりも落ちているので、これが継続するのか?はたまた1発で終わるのか、、、分かりません。この財務諸表を見る限り長期保有するのは避けた方が良いでしょう。
⇒日本取引所グループに公開されているイントラストの有価証券報告書
イントラストのIPOは買いなのか?見送りなのか?
イントラストのIPOは悩ましい所ですが見送りを推奨します。イントラストはストックオプションが行使されなければ、リターンを得られそうな案件ですが、ストックオプションの期限が既に到達しているので、本当にいつ行使されるか分かりません。
その点を考慮すると、非常にリスキーな案件だと判断できるので、無理に参加せずに見送った方が良いでしょう。
買い要因
- 好調な業績
見送り要因
- 膨大な数のストックオプション
- 緩いロックアップ
イントラストの関連銘柄
イントラストの関連銘柄は、親会社である株式会社プレステージ・インターナショナル(4290)です。
プレステージ・インターナショナルは、様々な事業をグローバルに行う国際複業企業です。業績は右肩上がりで上昇を続けており株価も上昇を続けています。
プレステージ・インターナショナルはイントラストの大部分の株式を保有しているので、お互い何か起これば互いの業績に大きな影響を与えるでしょう。
イントラスト 初値予想は?ストックオプション次第
イントラストの初値は、ストックオプションが行使されなければ+20%、ストックオプションが行使されれば−40%辺りで落ち着くと予想します。
ストックオプションの株価は1株250円ですので、多少公開価格を下回って売り抜けても儲かります。もし、ストックオプションを全力で売られると、この辺りまで初値は抑えられると思います。
仮に想定価格の630円で公開価格されたとしたら、ストックオプションを行使されなければ756円辺りに、ストックオプションが行使されれば378円辺りで初値は落ち着くと思います。
主幹事情報
イントラストのIPO主幹事はみずほ証券です。
副幹事は、大和証券、SMBCフレンド証券、いちよし証券、今村証券、SBI証券です。
この中でネットから応募できる証券会社は、SMBCフレンド証券、SBI証券、大和証券、みずほ証券です。
まとめ
イントラストのIPOは、ストックオプションが無ければ、悪くない案件だったと思います。よく見なければ一見良さそうに見えるので、ちょっとした罠じゃないか?と思ってしまいました。IPOの参加を検討する際には、ストックオプションや大株主など、当日の売出し規模が大きくなる要因はシッカリと確認しましょう。
見送りですが、SBI証券で当選しなければIPOチャレンジポイントが増やせますのでとりあえず申し込んで、当選すれば辞退という作戦でいきたいと思います。
参考:IPOの当選確率を上げる方法 ~IPOにおすすめの証券会社SBI証券のメリット~
上場後株価分析を書きました。
イントラスト上場後株価分析と見通し ~ストックオプションが行使され下落も堅調か~
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