保険の歴史2【災害、病気、戦争、バブル崩壊・・そして未来へ】

今では世帯加入率90%を誇る屈指の保険大国である日本において、その保険の歴史のはじまりは江戸から明治へと移り変わる新時代の幕開けからでした。

日本初の保険会社:明治21年設立 明治生命

慶應義塾大学の創始者である福沢諭吉によってヨーロッパの保険制度が紹介されてから、明治時代に入り多くの保険会社が設立されています。今の明治安田生命の前身にあたる明治生命が日本で初めての保険会社として明治21年に設立されています。(参考:保険の歴史【時代の生活様式が見えてくる保険のあゆみ】)

その後いくつか現在でも事業を営んでいる保険会社が設立され業績も好調だったことから、保険事業に目をつけた資産家たちにより保険会社に似た事業が乱立しましたが、その経営の乱雑さから保険事業は非難の的にさらされ、この時期に出来た多くの会社が出来ては消えの繰り返しでした。

 スペインかぜの流行、関東大震災:保険の必要性が高まる

しかしその後明治31年には保険業界の発展と秩序の維持のため今の生命保険協会の前身である組織が設立されました。また同時期には法整備もなされ保険会社の経営の規範となる保険業法が制定され現在の保険業界の基礎となる生命保険協会と保険業法の重要な二つがこのころには生まれています。

第一次大戦を終え我が国の経済が活況するにつれ、生命保険業も大きく成長する中で今のかんぽ生命にあたる官営の小口保険がこの頃政府によって営業を開始しています。またさらに保険の必要性・有用性が一般の世帯に広く認識される事件がこの頃起こっています。それが大正のスペインかぜの流行と関東大震災でした。

スペインかぜは大正9年ころ世界的に大流行し全世界で5000万人以上が亡くなっていますが、我が国でも20万人以上の死者を出しました。また関東大震災も大正12年に発生し死者・行方不明者併せて11万人もの犠牲者を出した日本史上最大の災害です。このスペインかぜと関東大震災の2つの大きな被害に対して、保険会社は多額の保険金を支払ったということもありその使命を果たしたということから、保険の必要性と保険業の役割が再認識され、さらに保険業は躍進することとなりました。この頃生命保険営業職員という販売チャネルが確立され、前述の保険業の躍進の波に乗り各保険会社の競争が激化していきました。

 戦争の影響を受ける:戦争参加、物資不足のインフレ

第二次世界大戦・太平洋戦争が始まるとあらゆる産業が戦争に駆り出されることとなりますが、政府は経済統制のもと、国民の消費を抑えることを名目に生命保険の加入を促進したことから生命保険業は政府の協力を受けるという形で戦争参加を余儀なくされました。

終戦すると物資不足からくるインフレにより生命保険業は大きな痛手を被り、一時的にその経済規模は縮小してしまいましたが、しかしこの頃多くの会社が二次会社として再建のスタートを切っています。

 高度経済成長期:生命保険業も発展

日本経済の再興とともに勤労者の数が著しく増加したことから福利厚生としての保険によって保有契約高を回復させていきました。またこの頃から伝統的な拡大家族から現代の核家族へ進展し、生命保険の必要性が再び認識されるようになっていました。この頃から死亡保障が主力商品となり多くの保険会社が死亡保障を販売し高度経済成長時の日本経済の進展とともに生命保険業も大きく発展するに至りました。

 バブル崩壊:保険会社はつぶれない神話が崩れる

しかし保険会社はつぶれないという認識が生命保険業の進展とともに強まっていく中で、バブル経済の崩壊があり、つぶれないと思われていた保険会社が7社も倒産するという事態が起こりました。2000年頃になると長引く不況と低金利により生命保険業も大きな転換を強いられ、しかし保険会社が独自性を発揮するユニークな商品開発を推進するようになりました。また2000年には生損保商品の規制緩和により生損保会社が自由に第3分野の商品を販売できるようになり、再び保険業界は競争が激化するに至りました。

今後は少子高齢化が進みますます保険業界にとっては苦しい時代が到来しますが、保険は決してなくなるものだとは思えません。むしろ大変な時代であればあるほど保険の重要性は増し、保険会社は使命を果たすべき時代が来るのではないかと思います。

           

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