生活保護と介護保険の関係性について

生活保護とは憲法25条の「生存権」に基づいて、国に対し最低限度の生活を営む権利を主張し金銭の受給を受けることが出来る制度です。

生活保護には受給要件があり、基本的な考えとしては自分で生計を立てられない特段の事情があり、やむなく受給するという概念に基づいているため、当然生活できる資力ができると判断されるような状況については生活保護受給の妨げとなることがあります。

受給者の保険加入は原則禁止

ただし預貯金などのわかりやすいファクターであればともかく、保険についてはその取り扱いが難しいところであります。しかし基本的な考えとしては、加入している保険については解約をすることとなり、また新たに加入することは困難となります。

それは保険をかけることのできる資力があれば生活保護など受給する必要がないという考えと、生活保護の原資は国民の税金から捻出されており、極端な話他人の税金で保険料を賄い資産を形成できてしまうことは問題であるという考えに基づいています。したがって保険の類の金融商品は原則、加入も継続も不可能であるという考えにたつべきです。

つまり標題にある介護保険についても加入・継続は困難であるように考えられますが、それでは介護保険でも公的介護保険はどうでしょうか。前述した通り民間の保険は加入・継続は困難であり、介護保険においても例外はありません。

民間の介護保険は現金給付であり、生活保護を受けながら保険を掛けることおよび保険金を受け取ることはほぼ不可能なのですが、介護サービスの費用の1割を負担しサービスを受給できる公的介護保険についてはどのような取扱いになるのでしょうか。もっというと生活保護を受けながら介護保険を受給することは可能なのでしょうか。次項においてみていきたいと思います。

生活保護と公的介護保険

では生活保護受給者が公的介護保険のサービスの受給者となりえるのでしょうか。基本的な考えとしては公的介護保険はあくまで保険料を支払った被保険者が受給対象者となることができます。公的介護保険の被保険者となりえるのが40歳以上の方なので39歳未満はまず公的介護保険の制度の枠外です。

40~64歳までは第2号被保険者という位置づけで特定の疾病のみによる介護の場合のみにしか受給対象となりえません。また介護保険料は医療保険からの天引きのため、医療保険に加入しなければなりません。つまり医療保険料を納めることの出来ない生活保護者は当然公的介護保険も対象外となります。

ただし介護状態になっても何も手当がないと言ったらそうではなく、生活保護の中から介護扶助という代替的な給付があるため、介護のサービスはそこから捻出することになります。

また65歳以上の第1号被保険者においては医療保険に加入せずとも、保険料を納めていれば所定の介護状態になれば1割の自己負担をもって公的介護保険のサービスを受給することが可能なのです。保険料についても介護保険料分の上乗せで生活扶助がもらえるため、上乗せ分より介護保険料を支払い、サービスを受ける際は1割の自己負担ということになります。

まとめ

以上のように生活保護者に対しては公的介護保険制度の枠内というシンプルな形ではないにしろ、公的介護保険と同等の扶助が与えられるため、結果的には公的介護保険制度を受けられるということになります。ただ生活保護のもともとの目的は「就労したくとも就労が困難」であるという状態であるため、当然そのような状態には介護が必要な状態も含まれていることをあらかじめ想定して制度が成り立っているため、特段公的介護保険の制度の枠内であるかどうかはあまり考えなくともよさそうです。

参考:生活保護と保険【生活保護を受けても加入できる保険とは】

           

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