保険会社はどうやって儲けるのか【不明瞭な付加保険料】

保険会社の収入:収入減は保険料

保険会社にとって主な収入源とは言わずもがな契約者が毎月支払う掛け金、つまり保険料であると言ってよいでしょう。契約者から集めた保険料の中から死亡保険金や入院給付金、満期保険金を支払ったり、また職員の給料を出したり、CMや広告料またその他の経費を賄ったり、そこから利益として儲けているということになります。

収支相当の原則

ただ保険会社には収支相当の原則というルールがあります。一年間契約者から集めた保険料の総和と一年間で支払った保険金の総和がイコールになるというルールです。つまり収入と予定経費がイコールになるように保険料設定をすべきというものであり、これに基づくと収入のすべては保険金となるため、保険会社はいったいどのようにして利益を出しているのでしょうか。

「純と付加」、3種の差益

保険料はまず純保険料と付加保険料の二つに分けることが出来ます。純保険料とは純粋に保険金支払いに充てるための部分で、付加保険料は保険維持のための経費に充てられる部分です。保険会社は保険金支払いとその他必要経費との勘定を分けて保険料を設定しています。そのためかかる経費と利益については付加保険料の部分であらかじめ設定してあるので利益を含めたうえで保険料を徴収しています。よってここから保険会社は利益をあげることが可能です。

また保険料は3種の利率に基づいて設定されています。それが1年間でどれだけ人が死ぬかという生命表に基づいた予定死亡率、1年間にどれだけの運用益を見込めるかという予定利率、1年間にどれだけの経費で抑えられるかという予定事業費率の3種があり、これらは大抵見積った数字よりも若干甘めに設定されています。

予定よりも人が亡くなった人数が少なければ死差益が、予定よりも運用実績が良好であれば利差益が、予定よりもかかった経費が少なければ費差益が発生します。もちろんそれらの差益は配当金という名目で契約者には還元されますが、当然そこには保険会社の利益というものも含まれており、明確にはされていませんがこの3種の差益からも保険会社は利益をあげています。

保険会社のもう一つの顔「機関投資家」としての運用益

保険会社は集めた保険料をただ眠らせておくということはしません。もちろん保険金支払いに必要なお金や必要経費を賄う分はさておき、契約者より集めた保険料を株や債券、不動産に投資することによってそこから利益をあげているという「機関投資家」としての側面を保険会社は有しています。

もちろん保険料は預かったお金なのであくまで安全に安定的に利益があげられるよう定められた一定のルールに則った運用を行っています。ここであげた利益は利差益として契約者には配当金という形で還元しますが、無配当保険である場合はここであげた利益はそのまま保険会社にとって利益ということになります。

株式会社と相互会社

生命保険会社には株式会社と相互会社の二つの異なる会社形態があるのですが、それぞれ保険の利益についての考え方が異なります。株式会社ですとあくまで会社の目的は利益追求ということになりますので、いくら保険が公共性の高いものとは言っても株式会社はあくまで株主のものであり、営利を追求すること自体には問題はありません。

相互会社はどうでしょうか。相互会社は保険による相互扶助を目的としているためあくまで収支相当の原則に則って保険運営を行いますが、どちらも私企業である以上、ある程度の利益の追求は致し方ないところではあると思います。

しかし依然として保険料の内訳などは一般の方には不明瞭で保険会社は儲けすぎというイメージはあると思います。ネットライフ生命が付加保険料の開示を行って業界内から批判を浴びましたが、そういった契約者に風通しのいい試みは保険会社のイメージ改善のためにもどんどんやっていくべきではないかと思います

参考:保険会社の株式会社化【競争が激化する業界事情】

           

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