配当金について【払い過ぎた保険料を還元】

配当金と聞くと株式の配当金をイメージされるかと思います。株式における配当金とは企業が出した利益の一部を株主に還元するという類のものです。配当金額は保有している株式の株数によります。

保険の配当金とは?

株式投資による利益の上げ方としては株価の値上がり益によるキャピタルゲインとこの配当によるインカムゲインがメインとなってくるため、配当とは投資家が投資を行うにあたっては重要なものとなってくるのです。保険にも配当というものがありますが、それは一体どのような性格を持っているのでしょうか。

保険においての配当とは一言で言えば保険料の事後精算の性格を帯びています。保険会社は収支相当の原則というルールに基づいて保険事業を運営しており、保険料収入と保険金支払のバランスがイコールになるように運営するよう定められています。

3つの予定率: 保険料の算出

保険料は予定死亡率、予定利率、予定事業費率という3つの予定率を元に算出されています。予定死亡率とは性別、年齢別に算出した死亡する確率を表したもので、予定死亡率が高くなればそれだけ保険料も高くなります。予定利率とは保険会社が行っている資産運用の運用利益の見通しを表したもので、運用利益が高く見込める場合はこの予定利率も高くなります。

予定事業費率とは保険会社が保険事業運営にあたりどれだけ経費がかかるかの見通しを表したもので、経費を削ればこの予定事業費率は低くなります。

つまり3つの予定率とはあくまで予定であり、おおよそ例年から比較しこれくらいになるだろうという見通しのもの算出されています。

つまり年度が終わった時にはその見通しと乖離しているということがあり、この乖離が保険においての配当を生み出すものなのです。

配当金の 事例:剰余金を契約者に還元

たとえば予定死亡率よりも亡くなった人が少なく保険金支払いが想定よりも少なかったり、予定利率よりも高い運用益を上げることができたり、予定事業費率よりもコスト削減出来た場合など予定と実態の乖離によって剰余金が発生した場合にそれは配当として契約者に還元することになります。(ちなみに逆に予定よりも保険金支払いが多かったり、予定より運用益が少なかったり、予定よりコストがかかった場合損失は保険会社が被ることになり、これを逆ざやといいます。)

つまり保険においての配当金はいわば払いすぎた保険料を還元するという、いわば税金の年末調整や確定申告のような性格を帯びています。

ただしすべての保険に配当金があるわけではありません。

加入時の注意点: 配当金の有無だけでは判断しない

保険加入時に注意したいのがこの配当金の有無であり、配当金がある場合はどの予定率に基づいているのかということや、何年毎に支払いがあるのか、払い方の方法などの取り扱いを確認しておくとよいでしょう。

また配当金がない場合には保険料割引がなされているのかなどを確認しておくべきです。配当金の取り扱いについては商品毎に異なる扱いをしていることも多いので、配当がない場合でもどういった取り扱いによって配当がないのかまでしっかり詳しく確認しておいたほうがよいでしょう。

配当がある商品を選んだ方が良いのかと言われると決してそうではなく、配当は予定率にもとづいて算出されるため、会社の業績がよければ必ずあるといった類のものではありません。必ずしも毎年あるというわけではないし、また年によってはないということもあるでしょう。

つまり有配当の保険でも配当はあてにできないし、あてにしてはいけないものだと思います。それならばいっそもともと配当の支払いをせずに保険料を割り引いている無配当保険の方が結果的にコストパフォーマンスに優れた保険であることも多いです。

従って配当金があるから得でないから損と決め付けるのは注意が必要です。
参考:保険会社の株式会社化【競争が激化する業界事情】

           

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