バリューデザインのIPO評価分析 ~上場後の初値は大きく上昇しないと予想~

ポイントカードの基幹システムを提供している、バリューデザイン(3960)の東証マザーズへの上場が決まりました。

想定価格は1150円
BB期間は2016年9月7日から9月13日
上場日は9月14日です。

仮条件は9月6日
公開価格は9月14日に決まります。

仮条件や追加の正確な情報は、決まり次第日本取引所グループのホームページで確認できます。

小粒の売り出し規模で、大株主にも満遍なくロックアップも掛かっているので、ロックアップの外れる公開価格から50%までは問題なく上昇するでしょう。ただ、それ以上の初値上昇は難しいと思います。

そのため、大きなリターンは難しいかもしれませんが、ある程度のリターンを得ることができる案件だと予想します。

その辺りを考慮した結果

今回参加お勧め指数は60です。

そして、このバリューデザインは長期保有するのか良さそうな銘柄です。

中国を初め、今後人口ボーナスが期待できるアジア圏に進出を始めており、もしかしたら今後大化けする可能性を秘めています。ここまで読んで「良さそうだな、取り合え参加しようかな?」と思った方、ちょっと待って下さい。

是非、自分の目と頭で事業内容や財務諸表を、しっかりと把握してから、参加の是非を決めて下さい。この記事を読んで、参加の検討を進めて頂ければ幸いです。

バリューデザインの事業内容

バリューデザインは、サーバー管理型プリペイドカードシステム「バリューカードASPサービス」の提供による、企業のブランディング、プロモーション支援事業を展開している、と有価証券報告書に記載されています。

簡単に説明すると、バリューデザインは、企業にプリペイドカードシステムを提供し、その後、導入したプリペイドカードを利用した、様々な集客方法を提案する業務をしています。

因みに、日本国内でのクラウド型プリペイドカードシステムの導入実績は、数ある企業の中でもバリューデザインは、ぶっちぎりのNo.1です。

そのため、モスバーガー、コメダ珈琲店といった大企業にプリペイドカードシステムを導入した実績があります。

ハウスプリペイドカード事業

ハウスプリペイドカード事業とは、クライアントの自社ブランドで発行ができるサーバー管理型のプリペイドカードシステムを提供する事業です。

このシステムは、俗にいう電子マネーシステムです。

バリューデザインでは、このプリペイドカードのデータをインターネットを通して自社サーバーで管理しています。

つまり、システムやサーバー自体はバリューデザインが保有しているので、プリペイドカードシステムを導入した店舗は、インターネット回線と端末を用意するだけで、簡単に導入することができます。

導入のし易さ、そして、導入することでの確かな効果によって、年々導入店舗、カード発行枚数を増やしています。

2011年6月
店舗数 5,270店舗
カード発行枚数 1,917,976枚
2012年6月
店舗数 8,302店舗
カード発行枚数 2,627,822枚
2013年6月
店舗数 10,321店舗
カード発行枚数 3,935,353枚
2014年6月
店舗数 12,158店舗
カード発行枚数 7,156,857枚
2015年6月
店舗数 34,149店舗
カード発行枚数 12,557,461枚
2016年6月
店舗数 48,239店舗
カード発行枚数 21,136,561枚

ブランドプリペイドカード事業

ブランドプリペイドカード事業とは、JCB、VISA、MasterCardといったクレジットカードブランドを、プリペイドカードに搭載して発行する事業です。

JCB、VISA、MasterCardといった決算機能をプリペイドカードに持たせることで、プリペイドカードを発行したクライアントの電子マネーに、JCB、VISA、MasterCardの決算機能からチャージすることも、電子マネーが使えない所でも、JCB、VISA、MasterCardのブランドの決算機能を使うことで、普通のクレジットカードとしても使うことができるので、プリペイドカードよりも、幅広い場所で利用することができます。

そして、この事業では、会員管理システムを大日本印刷が、残高管理システムはバリューデザインが担当し協力して事業展開をしています。

このブランドプリペイドカード事業は、2014年に始まったばかりですが、順調にカード発行枚数を増やしています。

累積カード発行枚数
2014年6月 6,019,890枚
2015年6月 6,078,060枚
2016年6月 7,749,656枚

その他の事業

バリューデザインでは、プリペイドカード事業やブランドプリペイドカード事業で得た、カード利用額、入金額、利用店舗などの様々なデータを分析し、クライアントに販売促進などのデータを利用した様々な提案を行っています。

売り物は貴方の売買データ?ポイントカード業界の営業支援サービスをザクッと解説します。

バリューデザインに限らずですが、クレジットカード、ポイントカードを利用することで、その利用データは、クレジットカードやポイントカードの運営企業やそのグループ企業に蓄積され、そのデータを様々なことに利用しています。

バリューデザインでは、ポイントカード利用者のデータを使って、クライアントに販売促進の提案に利用しています。

これは言うなれば、そのデータ、つまり利用者の個人情報で利益を得ているのですが、これは珍しいことではなく、クレジットカード企業、ポイントカード企業、ネット通販企業などの、殆ど全ての企業で行われています。

しかし、多くの個人はその事実を知りません。

それは、その利用の同意の説明が、クレジットカードやポイントカードの契約書の凄く小さな字で書かれているからです。そのため、多くの個人が知らない間に自分の利用データを使われているのです。

何だか気持ちが悪い気もしますが、個人を特定する個人情報は開示されないので、気にすることもないと個人的には思います。ポイントカードやクレジットカードを上手く使えば、お得に買い物ができます。

何だかお得で悪いなと思うかもしれませんが、しっかりとお得分の費用は利用情報として支払っていることになるので気にすることも無いでしょう。そして、この利用者データは規模が、大きくなるほど利用価値が上がります。

世界規模で利用者データを集めている企業は、どんな光景が見えているのでしょうか?見ている光景は分かりませんが、そのデータを使えば、非常に強力な営業支援サービスが提供できます。

今後アジア圏に進出するバリューデザインは、将来的には、この利用者データを利用した事業でも利益を上げられる可能性を秘めています。

バリューデザインの財務情報

売上
単体
2011年6月 365,925,000円
2012年6月 473,087,000円
2013年6月 634,417,000円
2014年6月 1,031,892,000円
2015年6月 1,242,905,000円

連結
2014年6月 1,031,892,000円
2015年6月 1,243,663,000円
2016年3月 1,156,000,000円

経常利益
単体
2011年6月 10,535,000円
2012年6月 22,296,000円
2013年6月 64,411,000円
2014年6月 11,501,000円
2015年6月 △146,634,000円

連結
2014年6月 10,786,000円
2015年6月 △187,754,000円
2016年3月 99,000,000円

純利益
単体
2011年6月 8,690,000円
2012年6月 21,795,000円
2013年6月 58,295,000円
2014年6月 21,182,000円
2015年6月 △582,398,000円

連結
2014年6月 20,467,000円
2015年6月 △550,069,000円
2016年3月 93,000,000円

2015年の大きな損益はブランドプリペイドカード事業システム開発費の計上によるものです。

その年だけ大きく減益していますが、それまでは順調に上昇していますし、翌年は大きく利益を戻しているので大きな問題はないでしょう。

恐らくは、上場の前に会計上の憂いを公開して、すっきりさせておきたかったのでは無いかと思います。

日本取引所グループから公開されたバリューデザインの有価証券報告書

バリューデザインの関連銘柄

バリューデザインの関連銘柄は、ポイントカードサービスで提携している、大日本印刷株式会社(7912)東証1部と、私も保有しているクレディセゾン株式会社(8253)東証1部です。

ブランドプリペイドカード事業では、会員管理システムを大日本印刷が、残高管理システムはバリューデザインが担当し事業を協力して展開しています。

そのため、お互いに何か大きな経営的な問題が起こると、片方の株価にも影響を与えます。特に規模の小さくポイントカードサービスに特化しているバリューデザインの方が影響が大きくなります。

クレディセゾン株式会社とは、クレジットカード機能つきポイントカードで提携しており、クレディセゾンのカード発行計画が上手くいけば、バリューデザインもその恩恵に預かれます。

ただ、こちらはお互いの提携先は複数社あるので、お互いに与える影響は限定的です。

バリューデザインのIPOは買いなのか?見送りなのか?

バリューデザインのIPOは買いです。

小粒の上場規模で、大株主には、しっかりとロックアップが掛かっているので、ロックアップが外れる公開価格から50%までは問題なく上昇するでしょう。また、国内のみならず、アジア圏にも進出しており、今後の業績の拡大も期待でき、これから先が楽しみな銘柄でもあります。

買い要因

  • 上場規模が小粒
  • アジア圏に進出しており、将来性は高い

見送り要因

  • 現段階では特にありませんが、突然何らかの理由によって市場に大幅な変動が起こった際には、見送ることを検討する必要があるでしょう。

主幹事情報 主幹事はSMBC日興証券

バリューデザインのIPO主幹事はSMBC日興証券です。

その他の引き受け金融機関は、エイチ・エス証券、みずほ証券、東洋証券、SBI証券、岡三証券、岩井コスモス証券、いちよし証券です。

この中で、ネットから購入の応募ができるのは、SMBC日興証券SBI証券、みずほ証券です。

副幹事の中に岡三証券が入っているので、後ほど岡三か証券のグループ会社の岡三オンライン証券からも応募できる可能性があります。

まとめ

バリューデザインが提供するポイントカードサービスは、今や企業に取って無くてはならない重要なサービスです。

今後も国内で安定した需要が期待できます。そして、バリューデザインでは、これから人口が増え、拡大が見込まれるアジア圏への進出も進めており、これからは、国外の需要の取り込みも期待できます。

IPOとしても良いですが、長期保有にも良い銘柄だと思います。

私は、運良くIPOを入手できたら、上昇後直ぐに売り利益を確保し、その後、半年から1年程様子を見て、国外事業が順調に拡大しているようだったら、割安なタイミングを見計らって、長期保有を前提に購入していこうと考えています。

IPO投資の当選確率を上げる方法 ~おすすめの証券会社SBI証券のIPOチャレンジポイントとは~

追記:予想以上に上場後は株価が上昇しましたね。私のIPO結果は・・・
バリューデザイン(3960)上場後の株価見通し ~今後も上昇していくと予想~

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