大江戸温泉リート投資法人のIPOは買いか?堅実に公開価格を上回ると予想

日本各地で大江戸温泉などの温泉施設を運営する大江戸温泉物語株式会社のグループ会社 大江戸温泉リート投資法人が東証リートに上場します。

IPOはSMBC日興証券で受付しています。

大江戸温泉グループのリート法人ということで、温泉施設に投資する基本方針を据えています。これは世界初の投資方針です。

私は何度か大江戸温泉志摩に宿泊しており、同社の温泉施設を利用していますが、リーズナブルでいて、それでいて楽しめ料理も美味しいので、私はかなり気に入っています。

同社の温泉施設なら、長期的に利益を上げ続けられると信じています。

上場時の想定価格は100,000円

BB期間は2016年8月16日から8月19日、上場日は8月31日です。

仮条約は8月15日に公開予定です。

温泉施設という独自性、小粒の上場規模と、微妙な指標、最近のリート市場を考慮すると、今回の参加お勧め指数は60です。大きなリターンは期待でませんが、公開価格付近か少し上げると予想します。(公開価格が大きく引き下げられました。詳しくは記事した追記をご参照ください。)

しかし、同社のファンの私は今回は応援の意味も込めて積極的に応募します。仮条件や追加の正確な情報は、決まり次第日本取引所グループのホームページで確認できます。それでは、大江戸温泉リート投資法人の詳しい内容について解説していきます。

是非、自分の目と頭での事業内容や指標を、しっかりと把握してから、参加の是非を決めて下さい。この記事を読んで、参加の検討を進めて頂ければ幸いです。

大江戸温泉リート投資法人のIPO背景

実は大江戸温泉リート投資法人の背景は少々複雑です。

大江戸温泉リート投資法人の親会社の大江戸温泉物語株式会社は、昨年の2015年に創業一家からアメリカの投資ファンド ベインキャピタルに500億円で買収されました。この金額は、資産も負債も丸ごと含めての500億円です。

ここで、先にアメリカ投資ファンド ベインキャピタルについて説明しておきましょう。

ベインキャピタルの投資方針は、その圧倒的な資金力を武器に、まず、狙った企業を友好的、敵対的に関わらず買収します。そして、その企業が上場している場合には一旦上場を廃止し、非上場企業ならそのまま数年手元におき業績を上げてから上場させて利益を得ます。

これがベインキャピタルの投資スタイルです。

近年では雪国まいたけ、すかいらーくなどがベインキャピタルの案件です。その手法が、良いのか悪いのかは人によって判断が異なりますが、その方法で利益を上げていることは確かです。

そして、そんなベインキャピタルが、昨年大江戸温泉物語株式会社を買収したのです。買収当初は大江戸温泉物語株式会社を上場させると公表していたのですが・・・

その前に、リート投資法人を設立してIPOするのはどうしてなのか?

その理由は私には分かりませんが、ベインキャピタルとしては、今後の目標として親会社の大江戸温泉物語株式会社の公開も考えていると思います。

大江戸温泉リート投資法人の事業モデル

大江戸温泉リート投資法人は、温泉施設や温泉施設関連施設に投資する方針を打ち出しています。

当面は、親会社の大江戸温泉物語株式会社から安定収益を上げられる物件を、買取り運営をしていき、そして、将来的には親会社以外にも収益を上げられる温泉施設を組み込んでいく予定です。

親会社 大江戸温泉物語株式会社の事業モデル

大江戸温泉リート投資法人の将来の業績は、不動産を供給してくれる親会社の運営に大きな影響を受けますそこで、ここでは親会社の大江戸温泉物語株式会社の事業モデルを解説していきます。

大江戸温泉物語株式会社は、大江戸温泉というブランドの温泉施設を運営しています。この大江戸温泉ブランドは、温泉施設、宿泊施設、食事を組み合わせて、安価に高パフォーマンスを提供する事業モデルです。

そして、将来性の有る経営難や売りに出された温泉施設を買収し、大江戸温泉ブランドにして再生する事業も行っています。これは、経営難に陥っている地方の旅館を買収し、星野リゾートブランドにして再生させるという、星野リゾートの事業モデルと似ています。

ただ、星野リゾートは再生後に宿泊価格が再生前の何倍にもなりますが、大江戸温泉は再生前も後も宿泊価格がそう変わっていない物件も多いので、大江戸温泉物語株式会社の業績は、必ずしも順風満帆な訳では無いのではないのかな?と推察します。

大江戸温泉物語株式会社は、非上場企業なので業績の確認はできないので確かなことは言えませんが、親会社がIPOしない所を考慮に入れると、もしかしたら現状は苦戦していて改革の最中かもしれないですね。

大江戸温泉リート投資法人の初期ポートフォリオ

大江戸温泉リート投資法人の初期ポートフォリオは、親会社である大江戸温泉物語株式会社から安定収益か期待できる、9施設を取得してスタートします。

それぞれの物件の詳細を紹介します。

①大江戸温泉物語 レオマリゾート
客室数 241室
取得予定額 10,379,000,000
鑑定評価額 10,700,000,000
鑑定NOI利回り 7.8%
償却後NOI利回り6.5%

②大江戸温泉物語 伊勢志摩
客室数 83室
取得予定額 3,656,000,000
鑑定評価額 3,770,000,000
鑑定NOI利回り 6.2%
償却後NOI利回り3.4%

③伊東ホテルニュー岡部
客室数 73室
取得予定額 2,657,000,000
鑑定評価額 2,740,000,000
鑑定NOI利回り 6.1%
償却後NOI利回り4.3%

④大江戸温泉物語 あたみ
客室数 76室
取得予定額 2,997,000,000
鑑定評価額 3,090,000,000
鑑定NOI利回り 6.6%
償却後NOI利回り4.5%

⑤大江戸温泉物語 土肥マリンホテル
客室数 64室
取得予定額 1,910,000,000
鑑定評価額 1,970,000,000
鑑定NOI利回り 6.3%
償却後NOI利回り3.5%

⑥大江戸温泉物語 あわら
客室数 95室
取得予定額 1,901,000,000
鑑定評価額 1,960,000,000
鑑定NOI利回り 7.3%
償却後NOI利回り5.2%

⑦大江戸温泉物語 かもしか荘
客室数 60室
取得予定額 1,222,000,000
鑑定評価額 1,260,000,000
鑑定NOI利回り 6.3%
償却後NOI利回り4.3%

⑧大江戸温泉物語 伊香保
客室数 40室
取得予定額 1,299,000,000
鑑定評価額 1,340,000,000
鑑定NOI利回り 6.3%
償却後NOI利回り4.4%

⑨大江戸温泉物語 君津の森
客室数 41室
取得予定額 819,000,000
鑑定評価額 845,000,000
鑑定NOI利回り 6.4%
償却後NOI利回り4.7%

9施設で

総額取得予定額

26,844,000,000円

総額鑑定評価額

27,675,000,000円

鑑定NOI利回り

7%

償却後NOI利回り

5.1%

こうして指標を見ると、不動産の利回りの基準となるNOI利回りは決して高くは有りません。

しかし、温泉施設という特殊性を考慮すると、将来の需要の増加による利回りの向上は期待できます。

日本取引所グループから公開された大江戸温泉リート法人の不動産投資信託証券の発行者等の運用体制等に関する報告書

大江戸温泉リート投資法人のIPOは買いなのか?見送りなのか?

大江戸温泉リート投資法人のIPOは買いです。

指標面では決して良いとは言えませんが、世界初の温泉施設に投資する特殊性は人気が出るでしょう。そして、高齢者が増えていく日本では将来的に温泉施設の需要は高まり、業績も期待できます。

また、今は未定ですが株主優待の新設を検討しているそうなので、もし。株主優待が新設されれば株価の価格上昇も期待できます。指標の面とこれらの期待面を総合すると、公開初日は公開価格付近か少し上げる辺りの価格で落ち着くと予想します。

そして、公開までに株主優待が新設されれば、公開価格からある程度は上がるでしょう。

買い要因

  • 温泉施設に投資する特殊性
  • 将来的な需要が期待できる
  • 株主優待の新設が期待できる

見送り要因

  • 現段階の指標だけを見ると、決して良いとは言えない
  • ベインキャピタルが関わっている
  • 主幹事情報

主幹事情報 リートIPO取扱証券会社

大江戸温泉リート投資法人のIPO主幹事は野村証券です。その他の引き受け金融機関は、SMBC日興証券です。

今回ネットから購入の応募ができるのは、SMBC日興証券だけです。

大江戸

SMBC日興証券IPO取扱銘柄一覧)

まとめ

大江戸温泉リート投資法人は温泉施設に投資する特殊性を持った、リート投資法人です。そして、温泉施設には将来的な需要も見込めます。指標としては微妙ですが、将来的な期待も込めて買いにいって良いでしょう。

ただ、1つ気になるのはベインキャピタルです。

私は外資系ファンドが必ずしも悪いとは思いませんが、彼らは自分達が儲けることを第一に考えています、、、もしかした、今後何か起こるかも?勿論今の段階では分かりません。

この思いが杞憂に終わり、お互いがwin-winな関係になるようになることを願っています。

⇒リートIPO受付中 SMBC日興証券

また、リートIPOについて、初心者から上級者の方まで役立つまとめ解説記事を書きましたので参考にしてください。

リートIPO投資の基本、買い方、当選確率アップの方法など全てのノウハウを書きました。

追記:2016年8月23日 公開価格が大きく引き下げられました

ベインキャピタルを危惧してか、需要が弱かった為に、公開価格が大きく引き下げになりました。

ここまで大きく引き下げられるケースでは、過去の経験からいうとリターンを上げることが難しい事が多いので、今回の大江戸温泉リートの参加は見送った方が良いでしょう。同社のファンの私も参加するか迷っています。特別な思い入れが無いのであれば、見送った方が無難です。

上場後の株価分析

上場後の株価分析、今後の見通しについて書きました。
大江戸温泉リート投資法人の上場後株価分析

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