神戸天然物化学のIPO評価分析 ~今回は見送りが賢明か~

化合物の研究・開発・量産を請け負う科学研究所 神戸天然物化学(6568)が東証マザーズに上場することが決まりました。

想定価格は2340円
BB期間は2018年2月28日から3月6日
仮条件は2月27日
公開価格は3月7日
上場日は3月15日です。

仮条件や追加情報は日本取引所グループのホームページから確認できます。

今回上場する神戸天然物化学は様々な化合物の研究・開発・量産を企業から請け負っている化学メーカーです。

天然物化学という企業名なのに物資を化合してんじゃん…と思ってしまいましたが色々事情があるのでしょう!

企業の根幹となる研究開発を数多くの大企業から外注で請け負う同社の技術力は非常に高いと推察できます。

業績も絶好調で今後も同様のペースで拡大していけば面白いことになりそうです。

しかし、IPOの案件として見ると参加は見送った方が良さそうです。

業績が好調なのは分かりますが何故これほど強気の想定価格を設定したのかも謎ですし、売り出し規模もマザーズの市場規模を考えると大規模です。

少し前の絶好調市場なら多少怪しい案件でも初値は期待できましたが、何やら不透明な雰囲気に包まれ始めた市場では初値は厳しいものになりそうです。

実力があり業績もついてきているので条件が合えば初値の大幅上昇も期待できたと思うので残念でなりません。

今回のおすすめ指数は35です。

ではでは、神戸天然物化学のIPO情報を解説していきます。

是非、貴方のIPOの参加の是非に役立てて下さい。

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神戸天然物化学の事業内容

神戸天然物化学の事業内容は「有機化合物の受託研究、受託製造・分離精製および技術開発」と有価証券報告書に記載されています。

神戸天然物化学は企業の依頼を請け負い化合物の研究開発、製造、製造過程の短略化といった研究ソリューションの提出などを行っています。

売上の割合は直近のデータによると製造42%開発23%研究34%となっています。

イメージ的には研究開発の方が儲かりそうなのですが同社の有価証券報告書によると、実は製造の方が利益率が高く今後割合を増加させていく予定だそうです。

研究開発技術の詳しい内容が詳細に有価証券報告書に記載されていたのですが内容が専門的で私には同社がどの程度業界で優位なのかは技術的には分かりませんでした。

しかし、国内の数多くの製薬会社・化学メーカーとの長期間に渡って継続した取引を行なっている実績があり業績も順調に拡大にていることから業界内でも技術力は非常に高いと推察できます。

取引先の95%以上が国内の取引先なのが気になりますが、逆に見れば国外の顧客の開拓余地もあると見ることができます。

事業の拡大余地もあり将来的に面白くなりそうな雰囲気を感じます。

神戸天然物化学の財務情報

売上

2013年3月 3,805,000,000円
2014年3月 4,004,000,000円
2015年3月 3,811,000,000円
2016年3月 単体 4,541,000,000円
連結 4,612,000,000円
2017年3月 4,768,000,000円
2017年12月 4,541,000,000円

経常利益

2013年3月 238,000,000円
2014年3月 282,000,000円
2015年3月 217,000,000円
2016年3月 単体 429,000,000円
連結 288,000,000円
2017年3月 743,000,000円
2017年12月1,085,000,000円

純利益

2013年3月 180,000,000円
2014年3月 287,000,000円
2015年3月 182,000,000円
2016年3月 単体 107,000,000円
連結 391,000,000円
2017年3月 464,000,000円
2017年12月717,000,000円

売上をジリジリと上げながら利益は昨年度から爆発的な上昇を見せています。

自己資本比率は4割を超えており財務面で不安はありません。

今後も同様のペースで業績を拡大させていけば早い段階での市場変更もあり得ます。

日本取引所グループに公開されている神戸天然物化学の有価証券報告書

神戸天然物化学のIPOは買いなのか?見送りなのか?

神戸天然物化学のIPOは見送りです。

好調な業績とロックアップの条件は良いのですが、凄く強気の想定価格と大きな売り出し規模は頂けません。

こんな案件でも1ヶ月か2ヶ月前の市場であればリターンが期待できたのですが、2月の頭から株式市場は不透明感に覆われIPOには厳しい時期に入りました。

もう前の市場とは雰囲気が変わりましたので、マイナス要素のある今回のIPOは見送った方が良いでしょう。

買い要因

  • 180日の期間 ロックアップ
  • 業績好調

見送り要因

  • 売り出し規模中規模
  • 強気な想定価格
  • 株式市場の不透明感

神戸天然物化学の関連銘柄

神戸天然物化学の関連銘柄は日本を代表する化学メーカー 東レ(3402)です。

新素材の開発に強味を持つ東レを主要顧客としているところに同社の開発力の強さを感じます。

東レの売上が全体の約20%を占めるているので、東レの研究開発費用の低減は業績・株価に影響を与えることになりそうです。

神戸天然物化学の初値予想は?

神戸天然物化学の初値は強気な想定価格・大きな売り出し規模・不透明な株式市場というネガティヴ三拍子が揃うので公開価格-10%辺りになると私は予想します。

仮に公開価格が想定価格の2340円に決まったとしたら、初値は2106円辺りになるでしょう。

この記事を書いている2/14の段階では株式市場は不透明感が際立っており、少しでも怪しいIPOは初値が低迷します。でも仮に何らかの理由で株式市場が持ち直せばIPOの初値も上昇すると予想します。

セカンダリーが狙えるか?

神戸天然物化学でセカンダリーは狙えます。

割高な想定価格・売り出し規模の大きさ・株式市場の不透明感から短期間で売り抜けるIPO投資でのリターンの獲得は難しいと言わざるおえない今回の案件ですが、長期的に保有するのなら悪くない銘柄です。

先行投資が大きい化学企業の中で同社は自己資本が厚く業績は好調に推移しています。

順調にシェアも伸ばしているようですし上場後の最初の決算で好調を維持できているようならポートフォリオの一角に置いて成長を見守っても良さそうです。

主幹事情報

神戸天然物化学IPO主幹事はSMBC日興証券です。

副幹事はSBI証券とエース証券です。

今回のIPOでネットから参加できるのは主幹事のSMBC日興証券とネット証券No.1のSBI証券です。

今回の案件では上場規模が大きいにも関わらず少数の証券会社で売り出しが行われるので、1社辺りの当選数が増加し当選確率が普段のIPOよりも高くなるでしょう。

当選を狙うのなら主幹事のSMBC日興証券とSBI証券から参加することをオススメします。

まとめ

今回上場する神戸天然物化学は現代の科学研究所という例えがぴったりの企業です。

個人的にはこういった事業が好きなので投資したいという気持ちはあるのですがIPOの条件を色々と検証してみると、今回は利益は望めそうもないので私は参加を見送ります。

もし、同社を保有したい!

という方は上場してから様子を見ながらザラ場で入手した方が安く手に入れられるでしょうからそちらで入手しましょう。