HANATOUR JAPANのIPO評価分析 ~初値は限定的で見送りが賢明か~

外国人観光客向けに日本国内の旅行業を展開しているHANATOUR JAPAN(6561)が東証マザーズに上場します。

想定価格は2580円

BB期間は2017年11月29日から12月5日

仮条件は11月27日

公開価格は12月6日

上場日は12月15日です。

仮条件や追加情報は日本取引所グループのホームページから確認できます。

今回上場するのは韓国の大手旅行会社HANATOUR(日本でいう所のJTBのような会社)の日本法人HANATOUR JAPANです。

同社のWebページを見ていたら、何を思ったか妻がハナトール?と言ってきて、それから同社の社名がハナトールジャパンと脳内変換されてしまいます(涙)

同社は資本・業務両面で韓国大手旅行会社と強く結びついており、日本法人は別法人という形ではなく、国は違えどもほぼ同法人格だと考えて良さそうです。

記録的な外国人観光客の増加を背景に業績は絶好調、驚く程の規模で業績が拡大しています。

今後も東京オリンピックまでは外国人観光客の増加が予想されており、当面の間は同社の業績は堅調に推移するでしょう。

そして、IPO案件として見ると、なかなか悩ましい案件です。

売り出し規模は東証マザーズでは大型案件となる70億規模と厳しい条件ですが、ロックアップは期間でガッチリ掛かり業績も好調であり、東京オリンピックまでの業績も期待できるので一定の買い需要はありそうです。

単体案件として見れば多少リターンを得られる案件だと予想しますが、連日のIPOが続く中での上場ですので不確定要素が多く確実なリターンが出る案件とは言い難いな、というのが率直な気持ちです。

私は投資では何か怪しいと感じたら避けた方が良いと思っているので、今回は避けることをオススメします。

大丈夫。無理をしなくてもIPOは連日続きます。リターンを得られそうな案件に集中していきましょう。

今回のおすすめ指数はリターンを得られる可能性もあるので50です。

普段の単体上場であればおすすめ指数は70でした。

それでは、次項ではHANATOUR JAPANのIPO情報を解説していきます。

是非、貴方のIPOの参加の是非に役立てて下さい。

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HANATOUR JAPANの事業内容

HANATOUR JAPANの事業内容は「訪日外国人向けツアーの地上手配を中心とする旅行事業、貸切バス・免税販売店・ホテルなど施設の運営事業」と有価証券報告書に記載されています。

HANATOUR JAPANは外国人観光客向けに日本国内の旅行商品を提供しています。

外国人観光客といっても、顧客の大半は韓国人が占めており親会社のHANATOUR SERVICEから入ってきています。

その他にもアジア圏の外国人観光客にも事業展開を進めていますが、こちらは近年将来を見据えて始めたばかりの事業とのことで、まだまだ実際には数は少ないです。

事業のキーとなる顧客は親会社に大きく依存しているのが実情のようです。

日本国内の旅行事業の内容自体は良くある旅行会社と変わらず、ホテルやバス、観光地やお土産屋と契約して、ツアーに契約先を当てはめて顧客に提供しています。

簡単に言うと、日本人が外国旅行ツアーに参加しているイメージを、そのまま日本を舞台に外国人観光客が行っているということです。

HANATOUR JAPANの財務情報

売上

2012年12月 単体 377,063,000円
2013年12月 単体 617,425,000円
2014年12月 単体 800,190,000円
2015年12月 単体 1,498,141,000円
連結 4,426,500,000円
2016年12月 単体 1,484,118,000円
連結 5,111,935,000円
2017年9月 連結 5,631,131,000円

経常利益

2012年12月 単体 91,773,000円
2013年12月 単体 268,375,000円
2014年12月 単体 305,999,000円
2015年12月 単体 587,669,000円
連結 1,238,020,000円
2016年12月 単体 732,525,000円
連結 1,405,633,000円
2017年9月 連結 1,380,450,000円

純利益

2012年12月 単体 181,993,000円
2013年12月 単体 190,710,000円
2014年12月 単体 192,726,000円
2015年12月 単体 431,992,000円
連結 903,109,000円
2016年12月 単体 472,444,000円
連結 942,345,000円
2017年9月 連結 912,913,000円

驚異的な業績を上げています。

思わず私も外国人観光客向け事業を始めたいと思ってしまった程です。

自己資本も厚いので財務面で問題は見られません。

日本取引所グループに公開されているHANATOUR JAPANの有価証券報告書

HANATOUR JAPANのIPOは買いなのか?見送りなのか?

HANATOUR JAPANのIPOは見送りです。

売り出し規模は大規模ですが、業績も今後の見通しも良好、ロックアップ条件も悪くありません。

通常期の上場であればリターンを得られる案件だと思うのですが、今回の上場は連日IPOが続く過密スケジュールの中での上場です。

そんな中で、リターンを獲得できる程の魅力が同社にあるかは非常に怪しいです。

変に欲を出すよりも手堅く見送ることをオススメします。

買い要因

・業績◎

・当面の間の業績期待◯

・ロックアップ条件良好

見送り要因

・売り出し規模は75億円規模と大規模

・連日のIPOの中での過密スケジュール

HANATOUR JAPANの関連銘柄

HANATOUR JAPANの関連銘柄は、韓国で上場している親会社のHANATOUR SERVICEです。

HANATOUR JAPANの大株主にはズラッと韓国の方が並んでいますし、資本関係でも親会社とは深い関係にあります。

同社と親会社は一蓮托生の関係にあり、お互いの業績がお互いの株価に大きな影響を与えます。

HANATOUR JAPANの初値予想は?

HANATOUR JAPANの初値は売り買いが交錯する展開になり、連日のIPOの疲れが市場に出なければプラスリターンに、疲れが出ればマイナスリターンになると予想します。

どちらにしてもレンジ幅は狭く公開価格+10〜-10%辺りになると予想します。

仮に公開価格が想定価格の2580円に決まったとしたら、初値は3168円〜2322円辺りになるでしょう。

セカンダリーが狙えるか?

私はHANATOUR JAPANの案件でセカンダリーは狙えると考えています。

有価証券報告書を見る限りHANATOUR JAPANは業績は好調で実力は充分有ります。

この業績が続くのなら、将来的には株価の上昇は見込めるでしょう。

セカンダリー狙いで上場直後のドタバタを狙い参戦するのも良いと思います。

主幹事情報

HANATOUR JAPANのIPO主幹事はみずほ証券みずほ証券です。

そして、副幹事は岡三証券、岡三オンライン証券、SMBC日興証券、SBI証券、岩井コスモ証券、エース証券、極東証券、マネックス証券です。

今回のIPOでは、みずほ証券岡三オンライン証券SMBC日興証券SBI証券岩井コスモ証券マネックス証券からネット応募することができます。

この中で今回の参加オススメ証券会社は、口座数が少なく相対的にライバルが少なくなって公平な抽選を行う岡三オンライン証券岩井コスモ証券です。

とは言っても、売り出し規模も大きく人気になるとは考え辛いので、今回はどこから応募しても大差は無く当たりやすい案件だと思います。

まとめ

今回は日本では珍しい韓国系の流れを組む企業の上場案件です。

企業としての業績や背景は悪くないのですが、いかんせん時期が悪いです。

誰も彼もが、今年上場しなければ損だと思っているかのような連日のIPOが続きます。これだけの過密スケジュールになると案件に多少のマイナス要因が含まれるだけでも公募割れの可能性が高まり企業側にとっても損です。

率直に上場時期をズラせば良いと思うのですが難しいのでしょうか?上手く調整すればみんながハッピーになれると思うんですけどね。

私は今回の案件はリターンが怪しいと感じたので見送ります。

次のチャンスを見極めていきます!