団体信用生命保険について【住宅ローンを保障する保険の弱点】

住宅購入時には住宅ローンを組むのが一般的であると思いますが、その際団体信用生命保険に加入されることがあるかと思います。ほとんどの民間の金融機関では住宅ローン借り入れの条件としてこの団体信用生命保険の加入が義務付けられています。

団体信用生命保険:ローン借入時に加入が義務付け

住宅ローンは何千万という尺入金額になり、20~40年という長期のスパンに渡っての返済のため、返済期間中に万が一ということでもあればローンの返済は滞ってしまい金融機関としても残された家族としても良いことはありません。

団体信用生命保険は本人がローン返済途中に死亡または高度障害になった際に生命保険会社がローンの残額を支払うといった保険です。もちろん生命保険契約なので一般的な生命保険と同様に健康に関する告知があり、健康な状態によっては加入出来ない場合もあります。

前述のとおりほとんどの民間金融機関ではローン借入の際はこの団体信用生命保険の加入を義務付けており、たとえば健康状態に問題があり団体信用生命保険に加入出来ない場合はすなわちローン借入も出来ないことになりますが、フラット35に関しては任意での加入となります。

 借入残高が減れば保険料も減る:きちんと返済しましょう

この団体信用生命保険ですが、生命保険とはいうものの定期保険ではなく逓減定期保険(参考:おすすめの逓減定期保険について【年金支払型の逓減定期保険】)という保険商品に分類されます。つまり毎年の保険料は一定ではなく、毎年少しずつ保障の減少とともに保険料も減少していきます。この団体信用生命保険における保障額とはローンの借入残高のことであり、残高に一定の料率を掛けて保険料が算出されます。毎年しっかりと返済していけばその分ローンの残高が減り、ローンの残高に基づいて計算される保険料もまた減っていくという仕組みです。

 団体信用生命保険に加入しているから安心?:就業不能の場合

しかしこの団体信用生命保険にも弱点があります。本人が死亡もしくは高度障害の場合にローン残高を生命保険会社が支払うこととなりますが、それ以外の場合ではどうでしょうか。たとえばケガなどで長期間就業不能となった場合ではもちろんこの団体信用生命保険では支払い対象外なので、通常通り自力でローンを返済していかなければなりません。

もしくは高度障害にまで至らない介護状態ではどうでしょうか。高度障害状態での保険金支払いは非常にハードルが高いため介護状態くらいでは同様に保険金支払い対象外です。またはガンや脳卒中に罹患してしまった場合はどうでしょうか。

こちらも同様に長期間の就業不能を余儀なくされ、就業による収入がないことと治療費などでかさむ費用に加えて通常とおりのローン支払いとなるため非常に厳しい生活となってしまいます。団体信用生命保険にはがん・脳卒中・心筋梗塞に罹患し、一定の状態が継続した場合に保険金を支払うという三大疾病の特約等がありますが、ローン返済中という費用のかかる時期に予測されるリスクを想定すると団体信用生命と各種特約だけでは少し物足りないような気もします。

 ローンと治療費が一気にのしかかる:就業不能時の保険が必要

一番恐ろしいのは死亡時ではなく、介護状態やがんなどの長期療養によって就業が出来ない状態が一番恐ろしいのです。それに対応する保険というものは団体信用生命保険とは別個で用意すべきでしょう。というのも当然ながらローン返済時にも月々の生活費はかかり、また子供の教育資金などライフイベントは訪れることになり、ローンとは別個で費用がかさむことを考えなければなりません。

そういった意味では最も恐ろしい介護状態とがん等の三大成人病をカバーできる保険は、住宅ローンをかかえ子供の教育資金等をかかえる責任世代にとっては加入が必須であると思います。

ただもちろん無駄な保険は一切必要ありません。住宅ローンを組む際は一度家計を見直すチャンスだと思います。お入りの保険の無駄な分は切り捨て不足分は新たに追加するという整理を含め、ローンと生活費のバランスを考えたうえで良い保険に入ることを検討すべきだと思います。

           

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