定期保険は、掛け捨てで保険料が安いため、コストをあまりかけずに大きな保障が必要な場合重宝する保険です。
しかし、解約返戻金がある定期保険が存在するのはご存知でしょうか?ここでは、解約返戻金がある定期保険のしくみや特徴、用途に焦点をあてて、ご紹介します。
そもそも定期保険とは?
定期保険は、あらかじめ保険の終期が決まっている保険で、満期保険金がありません。
そのかわり、養老保険や終身保険といった貯蓄性のある保険に比べてかなり割安な保険料になっています。
このため、用途としては、安く大きな保障を一定期間確保したい場合に、もっとも重宝します。
たとえば、30歳男性が60歳満了の定期保険3000万円に加入した場合、60歳までの間に万が一のことがあった場合は、死亡保険金として3000万円が支払われますが、途中で解約しても解約返戻金はありませんし、60歳を無事迎えた時には、保障は終了し満期保険金もありません。
ただし、月払保険料は5,649円(*)で、同じ1000万円の保障の60歳払い済み終身保険の月払保険料64,920円(*)と比べて10分の1以下です。※オリックス生命の場合
解約返戻金がある定期保険
解約返戻金がある定期保険とは
- 長期平準定期保険
- 逓増的保険
の2つの種類があります。
1.長期平準定期保険
保険期間が90歳や100歳といった一般的に販売されている定期保険と比べて長いものを言います。
定期保険の特徴のひとつとして、保険期間が短ければ解約返戻金はありませんが、保険期間が長くなればなるほど、解約返戻金が発生し、金額も大きくなるという傾向があります。
たとえば、オリックス生命の長期平準定期:
30歳健康体、保険期間98歳、死亡保障3000万円、月払保険料36,300円
を例にとると、解約返戻率は、初年度で50%を超え、10年後は90%を超えます。
ただし、75歳をピークにその後は減っていき、98歳の満期時にはゼロになります。
では、同じ定期保険なら解約返戻金のある長期平準定期保険のほうが良いのではないかと思う人もいると思いますが、月払保険料が、60歳満了で6,000円以下であるのに対し、98歳満了の場合36,300円と6倍以上高いので、安く高額な保障を確保したい人には向いていません。
いっぽう、貯蓄も保障も同時に行いたいという人にとっては、長期平準定期保険は選択肢の一つとなります。
2. 逓増定期保険
逓増定期保険は、定期保険同様、あらかじめ保険の終期が決まっていて、満期時には満期保険金はないものの、死亡保障が毎年逓増していく保険です。
もっとも、逓増定期保険に加入する人は、逓増する死亡保障を求めて加入するのではなく、高い解約返戻率に魅力を感じて加入します。
ひとつ逓増定期保険の加入例を挙げて、ご説明します。
55歳男性加入
死亡保険金:1億円(初年度)
年払保険料:878万円
解約返戻金は、5年後で3,320万円(返戻率75.6%)、10年後で8,732万円(返戻率99.5%)です。10年経過以降はだんだん下がっていき、満期時にはゼロになります。
ピークの10年後でも返戻率が99.5%というように元本割れしているのに、貯蓄性において何がメリットなのかというと、この保険を法人で加入した場合、保険料を損金算入することができ、節税効果が生まれ、それを加味すると実質返戻率が100%を超えるところにあります。つまり、この保険は法人で加入することを想定していると言えます。
参考:経営者の退職金づくりにおすすめの逓増定期保険のメリット
まとめ
定期保険は、一般的に保険料が安く、解約返戻金や満期保険金がありませんが、保険期間を長く設定した長期平準定期保険や、保険金が逓増するタイプの逓増的保険は、解約した場合かなり高い返戻率で解約返戻金を受け取ることができます。
逓増的保険は法人向けですが、長期平準定期保険は、死亡保障と貯蓄を同時に行いたい個人の方にとっては、十分選択肢になります。保険の見直しをする際、一度見積りをとってみることをおすすめします。