保険営業の資格制度について

保険営業社員にも生保業界統一の資格制度があるのをご存知でしょうか。資格を持っていることが優秀な営業社員の十分条件とは言えませんが、自分を担当してくれる営業社員の優秀さを見分ける一助にはなり得ます。一般にはあまり知られていない業界統一の資格制度についてまとめました。

業界共通教育課程

生保業界には統一の教育資格制度があり、以下の4つの過程からなっています。

一般課程

一般課程試験は、生保業界に入った営業社員がまず最初に受ける試験です。合格すると初級資格が与えられます。
これに合格しないと、生命保険を販売する資格がありません。
ただし、難易度はかなり低く設定されていて、合格しない人はまずほとんどいません。
運転免許の筆記試験のレベルをイメージしていただくと良いと思います。

難易度もその程度ですから、この初級資格しか持っていない営業社員に保険の相談等を行うことは到底おすすめできません。

専門課程

一般課程で得た基礎知識に加えて、専門知識や保険の周辺知識をマスターすることを目的としています。専門課程試験に合格するとライフ・コンサルタントの称号が与えられます。

応用課程

ファイナンシャルプラニングを行うにあたって必要な基礎知識の習得を目的としています。応用課程試験に合格するとシニア・ライフ・コンサルタントの称号が与えられます。

生命保険大学課程

ファイナンシャルプランナーに匹敵するレベルのファイナンシャル・プランニング・サービスを提供するのに必要な総合的な知識を身に着けることを目的としています。生命保険大学課程試験は全部で6科目あり、2科目ずつ2年にわたって受験します。試験に合格するとトータル・ライフ・コンサルタントの称号が与えられます。

外資系生保の営業社員は、入社後2年間で生命保険大学課程まで修了することが義務になっている会社が多いのですが、国内生保の場合は任意になっていて、トータルライフコンサルタントを持っている人の数はかなり限られます。この辺にも保険営業という職務に対する取り組み姿勢の差が垣間見えます。

ファイナンシャルプランナー資格

ファイナンシャルプランナーの資格には2種類あります。
ひとつは国家資格であるFP技能士、もうひとつは民間資格であるAFP・CFPです。
国家資格のほうが上のような気がするかもしれませんが、実際のファイナンシャルプラニング業務で重要視されるのはAFP・CFPのほうです。

というのが、AFP・CFPは日本FP協会が認定する研修を受講することで、資格を更新する必要があり、より業務に即した実践的なスキルが身に着くと言われているからです。

生保業界の資格ではありませんが、ライフプランをたてるスキルや生命保険の設計能力、顧客への対応能力等、優秀な保険営業社員になるために不可欠な知識とスキルであることは、間違いありません。

保険の話を聞くなら、できればFP資格を持っている保険営業社員から聞きたいところです。

MDRT

Million Dollar Round Tableの略で、日本語では百万ドル円卓会議と訳されます。
ひと言で言えば、世界でも一握りのセールスパーソンの会員組織です。
一年間に販売した保険の契約高で入会基準が決められていて、MDRT日本会には約5000名が入会を許されています。
そのうちプルデンシャル生命・ジブラルタ生命・ソニー生命で全体の半分を占めており、国内生保では200名を超える会社はありません。

MDRTのメンバーであることは、保険営業社員のいわばステータスであり、優秀なセールスパーソンの証でもあります。
ただし、MDRTのメンバーになる基準は保険の契約高ですから、営業成績が優秀である証明にはなりますが、本当に顧客にとって有益なセールスパーソンかどうかは、また別の話です。

まとめ

資格を持っている保険営業社員の名刺には、その資格の名前が記載されていることが多いので、その資格を見てどのレベルの営業社員なのか、ある程度見当はつきます。初級しか持っていないのは論外ですし、できればトータルライフコンサルタントは持っていてほしいところです。

また、ファイナンシャルプランナーの資格取得は、生保業界統一資格取得とは比較にならないほど難易度が高いので、保険の仕事への取り組み姿勢、お客様に対する質の高いサービスを提供する意思の表れとして、この資格を持っている保険営業社員は信頼度が高いです。

MDRTは、営業成績が優秀な営業社員である証ではありますが、必ずしも顧客にとっても有益な担当者であるとは言い切れません。

保険営業担当者を資格だけで100%見極められるわけではありませんが、かなり大きな判断基準にはなりますから、名刺をもらったらぜひ確認してみてください。

           

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