2016年も9月に入り、日経平均が17,000円台を回復。投資家心理も好転し、市場に先高期待が台頭しています。
株式市場が上昇基調に転じた時に一番心配なのが、何か突発的な経済変動が生じ、相場が大きく反転すること。
そこで、リスクヘッジの手段として注目されているのが、日経VI先物です。この商品はどんなメリット・デメリットがあり、どのように利益を出すのかをご紹介します。
VI(ボラティリティ・インデックス)って何?
ボラティリティとは、証券などの価格の変動率を表す用語です。ニューヨーク市場ではVIXという略称で、「恐怖指数」と訳されています。これは相場の動きが激しいほど、損失額が大きくなることから、そう呼ばれているものです。
例えば、日経平均が1日で500円も動けば「ボラが高い」、100円程度しか動かなければ「ボラが低い」と表現されます。
日経VI先物とは、今から30日間の相場変動率を、年率換算でどのように動くかを予想する取引です。指数が大きいほど、投資家が相場の先行きに警戒感を持っていることを示します。
逆に先高期待が大きい時は買い安心感が出るので、「恐怖指数」は低下することになります。
2007年~2014年の平均で27.14という数値が出ています。2008年から2009年にかけて相場急落を招いた「リーマンショック」では92.03という異常な高数値を記録していますので、それを除けば概ね20~25ポイントが通常の数値と考えて良いでしょう。
日経VI先物のメリット・デメリット
日経VI先物のメリットは、相場が急落した際にリスクヘッジが効くことです。現物株しか持っていなければ、急落時はただ損失が膨らむだけで、資産の目減りを眺めているしかありません。
しかし、日経VI先物で買いポジションをとっていれば、相場が急落した時はボラティリティが高まるため、下記取引例のように利益を出すことができます。そうすれば、現物株は評価損が増えても、日経Ⅵ先物は上がっているため、リスクヘッジすることができるわけです。
証拠金も日経225先物に比べて10分の1程度の金額で、手軽に始められるのも魅力です。しかもFXと同様にレバレッジを効かせられるので、少ない資金で大きな取引も可能となります。
最大のデメリットは、上記した通り変動率の大きさによる損失リスクの大きさです。
下記チャートは、日経Ⅵ先物の6か月チャートですが、日経平均とは逆の動きをしていることがわかります。この短期間の中でも長いローソク足やヒゲと呼ばれるチャートがかなりの頻度で出現しています。これは利益を上げやすい半面、非常にリスクが高いことを意味します。
読みがはずれて反対方向に向けば、たちまち追加証拠金、いわゆる追証が発生し、現物株を売って手当てしなければならない事態に陥る可能性があります。日経Ⅵ先物はそのようなリスクを十分承知した上で取引する必要があります。
▲日経Ⅵ先物チャート(出典:SBI証券)
日経VI先物の具体的取引例
では、具体的にどのように利益を上げるのか、取引例でご紹介します。
・この先、ボラティリティが高まるとみて、買いポジションをとる場合。
20ポイントで買い、25ポイントで売ったとすると、取引単位が1枚1万円のケースでは、5ポイント×1万円×1枚=50,000円の利益となります。売りポジションの場合は、25ポイントで売りを入れ、20ポイントに低下したところで買い戻せば、同じ利幅なので、50,000円の利益となります。
・逆に20ポイントで買ったものが、思惑がはずれ15ポイントで売った場合は、50,000円の損失となります。
【ポイントの計算方法】
24ポイントの場合は、今後30日間で年率換算24%の変動率を見込んでいるので、2016年9月上旬の日経平均17,000円という水準で考えれば、1年間でプラスマイナス4,080円変動する可能性があることを意味します。
取引には証拠金と手数料が必要になりますが、ネット証券最大手のSBI証券の例では、証拠金 72,000円(2016年9月12日立ち合い分まで)、手数料 432円(税込)という水準です。証拠金は取引代金の一部に充当され、相場によって変動します。
日経Ⅵ先物は変動率が大きいため、リスクも高く主力にするような商品ではありませんが、現物中心の投資家であれば、相場急落時の備えとして一考の価値はあるでしょう。
山あり谷ありは人生も投資も同じ。ならば少しでもその谷を浅くしておくに越したことはありません。そんな時に役に立つのが、日経VI先物なのです。
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