PERやPBR指標を用いて割安株を探す方法

市況好転!割安株を発掘する銘柄選びのポイントは?

英国のEU離脱問題の影響も落ち着きを見せ、ニューヨーク市場は最高値更新。東京市場も反騰局面入りしています。政府の新経済対策も発表され、日銀も追加の金融緩和を打ち出すなど、株式市場にとっては追い風が吹いています。

今回は好転する市場環境の中で割安株を見つけるためのコツをお伝えします。

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(出典:Wikipedia)

日経平均は英国のEU離脱問題で一時15,000円を割り込み、先行き不透明感が漂っていました。それが、ここへきて離脱がかなり先になる見通しとなったことや、ニューヨーク市場が最高値を更新するなど外部環境が好転したことで先高期待が台頭し、17,000円台の回復も視野に入ってきました(2016年8月9日現在)。

ところが、こういう市場環境が好転した時に、えてして人気株に飛び乗って高値掴みをしやすいのも事実です。むしろまだ買われていない割安株を発掘する方が大きなリターンを期待できます。

そこで割安株を発掘するために有益な指標や、株価の位置を判断する方法をご紹介したいと思います。

割安を判断する基本3指標とは?PBR、PER、配当利回り

割安株とは、単に株価が安いという意味ではありません。株式投資に重要な指標に照らし合わせ、実体以上に安値に放置されている株を割安株といいます。代表的な株式指標には以下の3つがあります。

・PER(株価収益率)=多くの投資家が重要視する代表的な指標です。

1株利益に対して株価が何倍まで買われているかを判断します。1株利益が20円の銘柄が400円の株価で買われていれば400÷20でPERは20倍となります。大型株や評価が定まっている老舗企業の多い東証1部より、小型株が多い新興市場の方が高く買われる傾向にあります。前記の実績(以下同)では、東証1部の平均が15.53倍に対し、ジャスダックは23.35倍と高く買われています。

・PBR(株価純資産倍率)=企業の持つ資産価値に対して何倍まで買われているかを示す指標です。

1倍が正当な評価ですので、1倍以下なら割安と考えられます。こちらは東証1部の平均で1.14倍、ジャスダックで1.16倍となっています。

・配当利回り=デイ・トレーダーや短期勝負型の投資家が求めるのがキャピタルゲイン(売買によって得る利益)に対し、長期投資を基本として債券の利息や株式の配当などで得られる収入をインカムゲインといいます。

その場合重要になる指標が配当利回りです。市場別では東証1部が1.90%、ジャスダックが1.95%となっています。平均値もけっこう高いので、3%を超えていればかなりの割安といえます。

PERとPBRは業績によって毎年変化しますが、配当は必ず増減するとは限りません。配当政策には「安定配当型」と「業績連動型」の2通りあります。安定配当型とは、業績の増減に関わらず一定の配当を出すタイプ。これに対し業績連動型は、一定の配当性向を決め、業績の増減によって配当の金額を決めていく方式です。

安定配当型の中にはイメージダウンや株主からの反発を嫌って減益でも配当を維持するところも少なくありません。その判断に必要な項目が配当の原資となる利益剰余金です。いわゆる内部留保と呼ばれているもので、この項目が手厚ければしばらくの期間は一定の配当が見込めると考えられます。

一例を挙げると、武田薬品工業(東証1部・証券コード4502)は2016年3月期の1株利益が102.3円にも関わらず、180円の配当を実施しています。続く2017年3月期も予想1株利益が120.6円に対し、配当は180円を維持する方針です。

武田の利益剰余金は約1兆5,000億円でおよそ10年分の配当原資に相当することから、このような配当政策が可能なのです。

この手の企業は安定した配当が見込める反面、業績が良くても増配しないため、あまり面白味はありません。やはり、業績に連動して連続増配を実施する企業の方が夢があり、投資家の人気は高いようです。

重要なのは前期よりも今期の業績変化率

さて、株式指標を参考にする場合、注意すべき点があります。通常株式専門新聞やマネー雑誌などに掲載されている指標は決算が終わった前期の業績を元に算出されています。例えば2016年8月時点の3月決算企業で言えば、2016年3月期の数字で割り出されることになります。

一方、今期の業績予想を元に算出する指標を予想PER、予想配当利回りなどと呼びます。投資家は業績の変化を見据えて投資しますので、この数値を把握しておけば、割安度をより的確に判断することができます。その注目の数値は以下の表のようになっています。

●市場別今期予想指標一覧(日本経済新聞社調べ)

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予想指標を参考に判断する場合は、大雑把にいってPER14倍以下、配当利回り2%以上なら割安と判断して良いでしょう。

株価の位置と自己資本比率で安全度をチェック

さて、指標によって割安株を見つけたとして、次に重要になるのがその銘柄の株価位置です。

いくら指標的に割安だとしても、すでに年初来高値圏まで買われている場合は下落リスクが伴います。そこで、高値掴みをしないために確認したいのが年初来高値・安値から割り出した株価位置です。

例えば、年初来高値が1,200円で安値が800円なら、中間地点は1,000円ですので、それ以下であれば買われすぎの状態ではないと判断できます。もちろん、高値圏でもさらに新値を追うケースもありますし、新安値の場合もさらに安値を更新するリスクはあります。

あくまでも一般論ですので、個別の銘柄の業績動向を見極めて判断しなければなりません。増益予想なのになぜか安値に放置されている場合などに有効です。

そして、最後にチェックしたいのが破綻危険度。毎年上場企業の何社かは経営破綻していることを思うと、その会社の投資先としての安全性を確かめることは欠かせません。その判断に参考になるのが自己資本比率です。

自己資本比率とは、総資産に占める株主資本の割合を示す指標です。例えば、自己資本比率が60%なら、残り40%は借入金や買掛金で構成されていることがわかります。おおむね50%を超えていれば合格点を付けて良いでしょう。

中には自己資本比率が1ケタというかなり危険な企業もあります。自己資本より借金の方が多いと「債務超過」となり、上場廃止予備軍と呼ばれるようになります。たいてい株価は100円以下で時折マネーゲームの対象になり、急騰することがありますが、手を出さない方が無難です。

なお、金融機関の場合は資産構成のほとんどが現預金や債券類、貸出金などで、有利子負債が存在しないことから自己資本比率が1ケタでも問題ありません。

指標や株価位置から見たおすすめ銘柄は?

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▲7494 コナカチャート(出典:SBI証券)

では具体的にどんな銘柄が割安なのでしょうか。上記にあげた要件をすべて満たしている銘柄に紳士服販売大手のコナカ(東証1部・証券コード7494)があります。業績に大きなブレがないのが特徴で、株価が安定しているため、いつでも割安の状態で買える安全性の高さが魅力です。

●コナカの株価指標

  • 現在株価=490円(2016年8月9日現在)
  • 予想PER=8.97倍
  • 実績PBR=0.29倍
  • 予想配当利回り=4.08%
  • 自己資本比率=62.47%
  • 年初来高値・安値株価位置=マイナス14.7%(高値682円・安値466円)

予想PERが8.97倍という低い数値で割安感が極まっています。大きく伸びるような業種でないことや、インバウンド需要の恩恵が少ないことで、人気のカヤの外におかれているようです。ただ、自己資本比率は62.47%と優秀ですし、配当利回りが4.08%あるので、仮に値上がりしなくても利回り採算が十分とれ、キャピタルゲインとインカムゲインの両方が期待できる銘柄です。

以上「割安度」と「安全性」の両面から割安株を発掘する方法をご紹介しましたが、これを参考にしていただき、あなた独自の割安お宝株を見つけてみてはいかがでしょうか

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