相続税対策の失敗例5選~アパート経営等典型的な注意点をチェック!~

「相続税対策って失敗して損をすることもあるの?」

「できれば相続税対策したいけど、、、どうしたらいいの?」

「相続税対策のリスクや注意点を知っておきたい」

このように感じている方はいませんか?

正しく相続税対策を実施すれば、なんら対策しなかった場合に比べ、確かに大きな利益を得ることができます。

ところが、注意点やポイントを理解しないまま相続税対策をすると、節税効果がなかったり逆に損をすることもあります。

ある程度、過去の失敗事例に学んでおくことが重要なのです。

そこでこの記事では「多くの人が体験した、相続税対策の失敗例」を5つ紹介させていただきます。

典型的な失敗例を集めていますので、ぜひ参考にしてください。

失敗例① 全て無効!?生前贈与が「贈与」と認められない

よくある度  ★★★★★
金額インパクト★★★☆☆

「生前贈与」は最も基本的な相続税対策で、簡単な割にある程度の節税効果も期待できるため多くの方が実施しています。

特に、1年間に1人110万円までの贈与は贈与税がかからないため、計画的に生前贈与をして将来の相続税を節税している方は多いですね。

ところが税務調査において「この生前贈与はそもそも贈与と認められない!」と否認されるケースが頻繁にあります。

贈与と認められなかった典型的な事例
◆子ども名義の口座に預金を移し替えているのみで、管理は親がしている
◆子ども名義の口座の取引印を親の印鑑にしている
◆現金で贈与しており証拠がない
◆贈与契約書がない
◆毎年同じ時期に同じ金額を贈与している

贈与と認めてもらえないということは「贈与がなかったものとみなされる」ということです。

つまり、せっかく長年かけて計画的に実施してきた生前贈与は全て無効。

生前に贈与したはずの財産全てに相続税がかかってしまい、節税効果はゼロになります。

生前贈与の注意点とその対策方法はコチラ
>>「生前贈与の注意点~効果的な相続税対策とするために~」

失敗例② なんでこんなことに。。賃貸アパート経営の失敗

よくある度  ★★★☆☆
金額インパクト★★★★★

「賃貸アパートの建設・経営」はとにかく相続税の節税効果が高いため、「節税」を重視する多くの方がチャレンジする相続税対策です。

相続財産として建物の評価額は、現金で持っているよりも30 %価値が下がります。
例えば5,000万円で賃貸アパートを建設すると、相続税の税率は10%~55%ですから、
5,000万円 × 30% × 10%~55%の税率 = 150万円~825万円が節税できるのです。

建物だけではなく、アパートを建てた土地の評価も下がるためさらに節税効果は増します。

しかし、いくら相続税の節税になるとはいっても「不動産経営」をするわけですから当然リスクがあります。
特に借金をしてアパートを建設する場合はなおさらです。

賃貸アパート経営の典型的な失敗事例
◆入居率が下がり資金繰りが苦しくなる
◆アパートの管理が面倒
◆修繕、メンテナンス費がだんだん膨らんでくる
◆借金してアパートを建てると元利の返済に追われる
◆老後の安心した生活を奪われる

賃貸アパートの経営は相続税を節税できるだけではなく、家賃収入で儲けることもできるため、成功すれば一石二鳥の効果です。

逆に、アパート経営の失敗が相続税の節税効果を上回り、結果として大損することもあります。

「賃貸アパート建設・経営」はリスクとリターンを全て把握してから取り組むことが重要です。

失敗例③ 意外と多い!?税理士選びのミス

よくある度  ★★★★★
金額インパクト★★★★☆

税理士に依頼したからもう安心と思ってしまう方は多いでしょう。

ところが「相続」に関しては、税理士選びのミスがものすごく多いです。
相続税を専門としている税理士は数少ないですが、「相続」はものすごく専門性の高い分野のため、担当する税理士によって計算される相続税額が大きく変わるのです。

怖いのは、自分が税理士選びでミスをしたことに最後まで気付かない方も多いことです。

最近では「相続税のセカンドオピニオン」という言葉が流行ってきており、他の税理士に相談すれば払い過ぎた相続税が返ってくることもよくあります。
>>「相続税が高過ぎると思ったら~相続専門税理士によるセカンドオピニオン~」

典型的な税理士選びのミス事例
◆昔から付き合いのある税理士にお願いしてしまった
◆家から近い税理士事務所を安易に選んでしまった
◆税理士事務所は大きいが担当の税理士は若手で経験が浅かった
◆相続税が高過ぎると思い他の税理士に依頼すると安くなったが、期限に遅れて延滞税を支払うことになった
◆依頼した税理士が土地の現地調査をしてくれなかった
◆依頼した税理士が年間数件しか相続税案件をしていなかった

自分の担当の税理士に不安や不満があると、もう誰に頼っていいのかわからなくなりますね。

「相続」に関して税理士を探すときは必ず「相続に関する専門性の高さ」を基準に選ぶようにしましょう。

相続税専門税理士を見つける方法はコチラ
>>「相続税専門税理士の探し方5選」

失敗例④ 思ってたのと違う!生命保険選びの失敗

よくある度  ★★★☆☆
金額インパクト★★★☆☆

生命保険の活用は今では相続税対策の定番となっています。
>>「もはや鉄板!生命保険を活用して相続税対策をする方法 まとめ」

なぜなら、遺族が受け取る死亡保険金には非課税枠(500万円 × 法定相続人の数が設定されており、現金や預金として相続するよりはるかに相続税を節税できるからです。

また、あらかじめ受取人が指定されているため相続争いも防げますし、遺族は受け取った保険金でそのまま相続税を納付できるため「納税資金準備効果」もそなえています。

ところが、メリットだらけの生命保険も商品の選び方や契約の体系によって対策の効果が失われる場合が多いのです。

生命保険選びの基本的な失敗事例
◆定期保険に加入していて60歳で保障が終わってしまった
◆養老保険に加入していて自分が満期保険金を受け取ってしまった
受取人を妻(配偶者)にしていて対策の効果がなかった
◆受取人を孫にしていて節税効果が得られなかった
◆保険選びを営業マンに言われるがまま契約してしまい保険料が高い

死亡保険金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)は、相続税の節税のために必ず確保したい枠です。

しかし、安易に保険契約をすると効果が得られなかったり、高い保険料を支払うことにもなり得ます。

失敗例⑤ 家族がバラバラに。遺産相続争い

よくある度  ★★★★★
金額インパクト★★☆☆☆

相続税対策というと「節税」というイメージが強いですが、相続争いが起こらないよう準備しておくことは、節税以上に大切なことです。

家族の死をきっかけに、家族が不仲になったりバラバラになるなんて想像したくもないですよね。

相続争いがおこりやすい例
◆相続財産のほとんどが不動産の場合
◆家族で相続について話したことが一度もない場合
◆被相続人(亡くなった人)に借金がある場合
◆遺産は多いが正式な遺言がない場合
◆特に、生前に被相続人から口頭でのメッセージはあったが正式な遺言がない場合

自分の死後、家族が争わないように正式な遺言を残すことは重要な相続税対策です。

そしてそれ以上に大切なことは「できるだけ早くから家族で相続について話をする」ことです。
その際、税理士も交えてみんなで相談できればより良いでしょう。

相続争いは遺産の規模に関わらず、それまで相続について何にも考えていなかった家族に起こりやすいのです。

まとめ~相続税対策の失敗例~

以上、「典型的な相続税対策の失敗例5選」を紹介させていただきました。

あらためて5つを並べてみます。

  1. 生前贈与が贈与と認められない
  2. 賃貸アパート経営の失敗
  3. 税理士選びの失敗
  4. 保険選びの失敗
  5. 準備不足による遺産相続争い

いかがでしたでしょうか。
読んでいただければ、みんなが相続税対策でどんな失敗をしているかわかっていただけたと思います。

繰り返しになりますが、今回紹介した5つはどれも典型的な失敗例です。

逆にいえば、同じ種類の相続税対策をするなら誰もが注意しなければいけないポイントが詰まっています。

同じ轍を踏まないよう、効果的に相続税対策を実施するためには早めから税理士とタッグを組むことが重要です。

もちろん、ここでは失敗例③に学び「税理士選び」に失敗しないよう、必ず相続に関する専門性の高い税理士を選ぶようにしましょう。

このサイトは「相続や税金について詳しくない方が、相続税対策のスタートを切れるように」という目標をもって作成しております。

少しでも皆様のお役にたてれば幸いです。