再保険について【保険会社の健全性を支える大事な保険】

日ごろ私たちがよく耳にする保険と言えば生命保険や損害保険などですが、再保険というものをご存知でしょうか。あまり聞きなれない単語だと思いますが、実はこの再保険が日本の保険業界ひいては日本経済を影で支えている大事な保険なのです。

再保険とは:保険会社が支払えない時の保険

再保険とは何かを簡単に説明すると、いわば保険にかける保険のようなものです。つまり保険会社が何らかの理由につき多額の保険金を支払うことが出来ない場合に、その保険金の一部もしくは全部を再保険が支払うという形になっています。

保険会社は顧客より預かった保険料を保険金支払い時のために寝かせておく責任準備金と有価証券や不動産などで運用し利差を得るためのお金や経費など事業費に分けていますが、このうち責任準備金については、それがそのままその保険会社の有する保険金ということになり、通常の保険金支払いのみならず大災害等有事の際の保険金支払いもそこから対応しなくてはなりません。

ソルベンシーマージン比率:会社の健全性を示す指標

その保険会社の有する支払い余力をソルベンシーマージン比率と呼び、通常の予測を超えるリスクが発生した場合に保険会社がどれだけそのリスクに耐えうるかの指標となっています。

通常の予測を超えるリスクを100とした場合、何度そのリスクに耐えうるかを数値化したものであり、中堅~大手の保険会社はおおよそ600~1200%のソルベンシーマージン比率を有しています。

この数字が200%を下回ると金融庁より保険会社としての運営に難ありの烙印を押され業務改善命令が下ります。ですが市場に出回っている保険会社であれば大抵はこの200%はクリアしているので問題はありません。低くてもよくないのですが、もちろん高すぎてもいいというわけではありません。保険会社は顧客の保険料の総和と支払う保険料の総和を等しくなくてはならないとする収支相当の原則があり、ソルベンシーマージン比率の値が大きすぎるということは保険会社としては顧客への還元をしていないとも取られかねませんので、1000%くらいが値としてはちょうどいいという話を聞いたことがあります。

このソルベンシーマージン比率は格付け会社の格付け(参考:信用格付けについて)と並び保険会社の健全性を示すうえで重要な指標となってくるものです。しかしそのソルベンシーマージン比率の数字もそうですが、仮に未曾有の大災害とはいえ保険会社が保険金を支払うことが出来ないという状況というのは保険会社の信用に大きく関わることです。

保険会社も倒産する時代:再保険も健全性の判断基準

極端に言うなれば保険会社とは保険金を支払うための会社なのでしっかりと保険金支払い出来ることが言わばその保険会社の価値となり、保険金が支払うことが出来ないということはそのまま保険会社のみならず保険というものへの信用をおおいに失墜させうるものです。

そのリスクをヘッジするための再保険であり、保険会社にとっても顧客にとってもなくてはならないものなのです。

仕組みとしては保険会社が再保険会社に再保険の保険料を支払うことで、仮に保険金支払いが出来なくなった場合に再保険から補てんしてもらうという形になっています。一般の保険契約というよりもたとえば不動産にかけるような保険金額の大きな保険に再保険が利用されることが多いですが、それでもその保険会社の保険契約に加入している顧客にとってはとても重要なことです。

保険会社はつぶれないものだと思っていた時代には再保険というものの認識はまだ浅くバブル崩壊以降保険金が支払えず経営困難に陥って倒産した保険会社は日本にはいくつもあります。

自分の入っている保険の商品内容や契約内容も知ることは大前提として重要ですが、それに加えその保険会社の健全性というものも確認しておくとよいでしょう。それとその健全性を支えている再保険の存在も知っておくといいかもしれません。

           

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