うつ病は精神疾患の一つで、抑うつ気分や絶望感、極端なネガティブ思考など我々が一般的に知るいわゆる「うつ」のことです。厚労省によると日本人の8人に1人がうつ病患者であるといいます。またうつ病は環境により発症することが多く、ストレスのたまりやすい現代社会においてはごくありふれた病気の一つとなっています。
つまり誰もがうつ病になりうるため、ではその治療とそれにかかる費用、さらにその費用をカバーする保険などについて具体的に述べたいと思います。
うつ病の治療と費用:国の保険制度を利用すれば自己負担1割に軽減
では一見治療が難しそうなこのうつ病に対してはどういった治療がなされるのでしょうか。一般的には睡眠等十分な休養と投薬の2つの治療が行われます。前者の十分な休養についてはうつ病の原因の多くがストレスと言われているためまずそのストレスから解放されることで精神的な負担の軽減により治療を行うといったものです。
後者の投薬についてはいわゆる「抗うつ剤」とよばれる薬物を服用します。不安を抑えるのが主な目的の薬物で嘔吐や下痢などの副作用があります。うつ病の治療については長期間にわたることが多く、それにかかる費用もバカにはなりません。投薬での治療がメインとなるため診察代に加え薬代もかかります。
しかしながらうつ病に関しては国の「自立支援医療制度」を用いることが可能であり、長期に渡るうつ病治療の際は治療費の自己負担が1割に軽減される制度です。この制度を用いれば長きにわたるうつ病の治療費はある程度抑えられると思います。
ただその間の収入などはカバーできるわけではありません。そこで保険の登場なのですが、うつ病と保険の関係について述べたいと思います。
うつ病と保険:引受基準緩和型商品
ではうつ病と診断され治療を行っている人は保険には加入出来るのでしょうか。一般的にはうつ病などの精神疾患は通常の他の病気よりも保険加入は難しいと考えた方が良いでしょう。
保険加入の際は必ず健康に関する告知を行うこととなりますが、この告知を受け審査を経てからの加入となるのは他の病気と変わりません。大抵の場合は審査の結果
②保険金が削減となる
③保険料が割増となる
④特定の部位が不担保(保障対象外)
⑤引受を拒否される
このいずれかの扱いになるでしょう。うつ病の場合多いのが⑤の引受の拒否であると思います。保険会社にとってうつ病は加入に際して慎重にならざるを得ないのは、うつ病は自殺につながりやすいからです。
自殺は加入後2年間は支払いに該当しない事由ではあるものの、2年間が経過すれば自然死亡と等しく保険金請求が可能なのです。しかし自殺リスクの高いうつ病患者を健全な保険運営上加入させることはあまり好ましくはありません。またうつ病患者は精神的な症状だけでなく、睡眠不足などの身体症状を催すことから病気にかかるリスクも健康な方より高いと思われます。
したがってうつ病の方にとっては一般的な保険の加入はやはり難しいとみた方が良いでしょう。しかしそんなうつ病の方でも絶対に保険に入れないわけではありません。引受基準緩和型商品という保険があり、一般的な保険よりも医的審査が緩くなっている保険であり、既往症のある方でも比較的容易に保険に加入することが出来ます。
保険料については割高となり、保障も一般的な保険に比較すると十分なものとはいえませんが、それでも無保険というリスクは避けられます。うつ病は現代人にとってありふれた病気となっています。誰にでもなる病気なので出来ることであればうつ病にかかってしまう前に、しっかりと保険などによる備えをしておきたいものです。