全期前納と一時払いの違いをご存知でしょうか?どちらも、保険の契約をするときに、一括で保険会社に保険料を払い込むのですが、歴然とした違いがあります。全期前納と一時払いのしくみの違いやメリット・デメリットについて、解説していきます。
全期前納とは
保険の契約時に、第1回目の保険料支払いに加えて、保険料払込期間で支払う残りの保険料全てを保険会社に支払うことを、全期前納といいます。
つまり、毎月コツコツと支払うかわりに、あらかじめすべての保険料を保険会社に預けてしまって、そこから毎月保険料に充当していくというスタイルです。
たとえば、かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」を例にとって見てみましょう。
加入年齢30歳男性、保険金額500万円、保険料払込期間が55歳払い済みの場合、月払保険料は16,650円となります。
これを保険料払込期間である55歳までずっと払い続けると、支払保険料総額は、
16,650円x12か月x25年=4,995,000円
となります。
いっぽう、同じ契約内容で保険料を全期前納で支払うと、全期前納保険料は4,846,645円で、148,355円安く済みます。
保険会社としては、預けてもらった分は運用して増やすことができますから、契約者からはその分を差し引いた金額を徴収すれば良いことになります。この差し引いた金額を前納割引といいます。
前納割引はトクか?
前述の例では前納割引が148,355円あるわけですが、果たして前納割引はトクでしょうか?
4,846,645円を全期前納することで、25年(55歳-30歳)にわたって148,355円を得ることができるわけですから、年平均利回りを計算すると、
148,355円/4,846,645円/25年=0.12%
となります。
あなたが、何かの金融商品で、この0.12%を上回る運用ができるのであれば、そちらが有利ですし、そうでなければ全期前納したほうが得だということになります。
一時払いとは
全保険期間に見合う保険料を1回で支払う方法を、一時払いといいます。
1回で支払うとは、たとえば10年払い済みの保険で年払の場合は、保険料を払い込む回数は10回ですが、一時払いの場合は、保険料を払い込む回数が1回ということです。
全期前納と一時払いの違い
・同じ保険で全期前納と一時払いの保険料を比較した場合、一時払いのほうが保険料は安いです。
・全期前納は、保険期間中に死亡した場合、前納保険料のうち未経過分は返還されますが、一時払保険料の場合は、死亡しても返還されることはありません。
・保険を解約した場合、全期前納は解約返戻金と未経過保険料が支払われますが、一時払いの場合は、解約返戻金のみが支払われます。どちらの金額が大きいかといえば、一時払いの保険を解約した場合のほうが金額は大きくなります。全期前納の場合、保険料に充当される金額が一時払いよりも小さく、解約返戻金が増えるのに時間がかかるからです。
・生命保険料控除については、全期前納は保険会社に預けた保険料から毎年保険料にお金が充当されるため、毎年保険料を支払っているのと同じ意味となり、生命保険料控除を毎年受けることができます。
いっぽう、一時払いの場合は、保険料の支払が初年度の1回しかないため、生命保険料控除も初年度の1回しか受けることができません。
全期前納と一時払いの使い分けとしては、死亡保障をメインで考えるなら、死亡時に未経過保険料も戻ってくる全期前納を、貯蓄や返戻率を考えるなら一時払いを選択するのが良いでしょう。
まとめ
保険の契約時に、第1回目の保険料支払いに加えて、保険料払込期間で支払う残りの保険料全てを保険会社に支払うこと全期前納といいます。
全期前納すれば、毎月保険料を支払うよりも、保険料の支払総額は少なくて済みます。
一時払いは、全保険期間分の保険料を1回で支払う方法をいいます。
全期前納と一時払いの違いとしては
- 保険料総額は一時払いの方が安い
- 保険期間中に死亡した場合、全期前納は未経過分の保険料が戻ってくる
- 保険を解約した場合、一時払いは解約返戻金が支払われるだけだが、全期前納は解約返戻金に加えてみ経過分の保険料も返還される
- 全期前納は、毎年生命保険料控除を受けられる
が挙げられます。
死亡保障をメインに考えるなら全期前納、貯蓄性重視なら一時払いがおすすめです。