アカウント型という耳慣れない名前がついた保険があります。
以前「アカウント型保険のメリット・デメリットについて【自由度が高そうで、実は落とし穴が!】」の記事で書きましたが、改めてアカウント型保険のデメリットを取り上げたいと思います。
2000年以降、主要国内生保が主力商品として販売している保険の種類ですが、評判が悪かった定期特約付き終身保険を上回るほど評判が良くありません。アカウント型保険の何が良くないのか、また、気をつけるべき点についてまとめました。
アカウントとは
アカウントとは、口座のようなものです。アカウント型保険に契約すると、契約者は保険会社に作ったアカウントに、保険料を入金することになります。
従来保険料は、月払なら毎月、年払いなら年1回、保険会社に支払うのが通例でしたが、アカウント型は、たとえばまとまったお金がある場合は、毎月の保険料に加えて、払い込むこともできます。また、お金が必要な時にはアカウントから引き出すこともできます。
さらに、毎月の保険料の金額を変更することができます。支払いが厳しい月は、いつも2万円払っているところを1万円にすることができるということですね。
このように、まるで銀行口座のように、お金を入出金したり、入金の金額を変えたりすることができるのが、アカウントということです。
アカウント型保険のしくみ
日本生命「みらいのカタチ」、第一生命「堂々人生」、明治安田生命「ライフアカウントL.A.」などは、アカウント型保険の代表格です。
アカウント型保険は、自由設計型保険とも言われています。それは、保険料の支払いがフレキシブルであるだけでなく、保障も自由に設計することができるからです。
アカウント型保険は、その構造上、主契約と特約の組み合わせになっていますが、主契約はアカウントというお金を積み立てる部分なので、保障については特約が主役となっています。保障の形としては、定期保険特約付き終身保険の終身保険部分がアカウントになったと考えればイメージしやすいと思います。
支払った保険料は、いったんアカウントに積み立てられて、その後、アカウント型保険の積み立て部分や掛け捨ての特約部分に振り分けられます。そして、保険料の払込期間が満了した後は、積み立てられた金額をもとに終身保険となります。
アカウント型保険の問題点
アカウント型保険の特約部分は、基本的に更新型です。10年や15年経過すると、同じ保障内容で自動更新されますが、やっかいなのはその際保険料が上がってしまうことです。
たとえば、アカウント型保険の保険料として、月払保険料を2万円払っているとします。アカウントに2万円はいった後、定期保険特約や入院特約などの特約部分に18,000円割り振られ、残りの2,000円が積み立てに回るとしましょう。
定期保険特約が10年経過し、5,000円保険料が上がったとします。こうなると特約部分の保険料が23,000円となり、毎月支払っている月払保険料の2万円を超えてしまいます。その超過分3,000円は、それまでアカウントの積み立て部分に貯まっていたお金から充当されます。
つまり、掛け捨て部分の特約の保険料が更新のために値上がりし、月払保険料ではまかないきれなくなると、せっかく貯まっていた積立額を食いつぶしてしまうということです。
これが保険提案書にはっきりと明示されていればよいのですが、多くの保険提案書は、特約部分が自動更新しない前提での積立額が表示されていて、老後を迎えた時には数百万円積み立てられているといった表示がされていることが多いので、注意が必要です。
まとめ
アカウントとは、保険料を払い込む口座やお財布のようなもので、従来の保険では保険料を払い込むだけだったのが、アカウント型ではお金を引き出すこともできます。
いったんアカウントに入金された保険料は、積み立て部分と保障部分に振り分けられます。さらに保障や保険料を自由に設定することもできます。
このため、従来よりも格段に魅力的な保険であるはずなのですが、実際の契約では、その実力を発揮するどころか、特約自動更新による保険料値上がりで、実際には積立金がなくなってしまうといったケースが多いのが現状です。
よほどアカウント型に熟知している方以外は、アカウント型への加入は避けたほうが賢明です。