10月31日英国EU離脱は延期が濃厚、ここまでの流れと今後の見通し

英国EU離脱の影響

今月、というか2016年からずっとドタバタ劇を繰り広げているイギリスのEU離脱問題ですが、ここで現在の位置を再確認し、今後の展開等についても私見を述べさせて頂こうと思います。

ここまでの簡単なあらすじ

議会の否決を受けてにっちもさっちも行かなくなったメイ首相が退陣し、ボリスジョンソン氏が首相になったわけですが、彼は当初、かなり強硬に「10月31日には合意が有ろうと無かろうと絶対に離脱する!」と主張をしていました。

ですが、結果メイ首相と同様、彼も議会のEU離脱反対派の動きに手を焼き、10月31日の離脱は絶望的で、かつ離脱期限の延長をEUに申請する事を余儀なくされました。

そうして3ヶ月、つまり1月末までの延長がほぼ確定的となった(フランスも同意したそうです)訳ですが、当然その3ヶ月間でどうするかが焦点となります。

そこでジョンソン首相は12月12日の総選挙を議会に提案しましたが・・・

イギリス首相には解散権がない!?

先程議会に提案と書きましたが、実はイギリス首相には解散権がなく、総選挙には下院の3分の2の賛成が必要となります。

で、総選挙の可決は現在絶望的となっています(笑)

まだまだ情勢が変わる可能性もありますが、基本的には

EU離脱期限延長→ボリス「じゃあその猶予期間で総選挙だ!」→議会「それは嫌だ」

と、なっており、何がしたいんだかさっぱり分からない構造となっております。

そもそも首相に解散権が無いってどゆこと?って感じですが、別にイギリスで伝統的に無いわけではなく、2011年に「議会任期固定法」というトンデモな法律が制定されてこうなっています。

これまでも伝家の宝刀として、事あるごとに機能してきた解散権のありがたみを実地に学ぶ事が出来たのは収穫かもしれませんが、歴史をかじっとけばそんな事最初から分かるだろうにとしか思えません。

ちなみに議会の任期は5年で、前回の総選挙は2017年に行われました。流石に後3年もEUが待ってくれる事はないでしょう(笑)

なんでここまで何も決まらないのか?

これに関してですが、やはりEU離脱反対派が根強い勢力を誇っているからでしょう。

彼らの党是は「絶対に離脱させない」なので、いくら首相が離脱案でバックストップ等の問題をどうこうをしても、それが離脱を決める法案である以上は見る聞くなしに反対なわけです。

とにかく時間稼ぎをしてグダグダになる事を狙い、最終的には再国民投票で離脱そのものを撤回させたいという勢力がかなり強いのわけですね。

まあ、当然他にも色々と事情はありますが、とりあえずは保守党が過半数を持っていないため、何も決まりそうにないというのが現状のようです。ちなみに仮に総選挙をしても保守党が過半数を獲得するのは微妙とされています。

その割には楽観的なポンド。その理由は?

結局今まで通りの袋小路にいるイギリス情勢ですが、ポンドに関しては意外なほど楽観的な値動きをしています。

英国EU離脱の影響

一時は1.2が割れるほどでしたが、そこから怒涛のショートカバーで、高値は1.3を付け、現在もその付近で推移をしております。1月で1000pips上がったわけですが、この理由に関してはこう言える事が出来るでしょう。

「EUとイギリスで合意なき離脱はしない事を合意した」

この部分が非常に大事だったのでしょう。当初は10月31日までにケリをつけると騒いでいたジョンソン首相ですが、結局EUとは譲歩して離脱案をまとめ、イギリス議会では離脱反対派によりストップがかけられた状態になったため、当初懸念されていた合意なき離脱の可能性が一気に遠のいたわけです(また、本音では離脱させたくないであろうEUが期限の延長を蹴る可能性はほぼないでしょう)

「まあなんとかするだろう」という楽観的な見方が市場を覆っているようです。

今後のポンドはどうなる?

今後に関しては事態の推移によるでしょうが、再び合意なき離脱リスクが再燃しない限り、下値は非常に堅い動きが予想されそうです。

ですが、今のところ今後の展望が見えないのも事実ですので、上値がそこまであるかと言われれば微妙に思います。

個人的には、ここから「やっぱり離脱は無理」という展開を織り込みに行くような気もします。6対4ぐらいで上だというのが私の見解です。

まとめに変えて

10月の暴騰でちょっと火傷したので、ポンドはもう顔も見たくないというのが私の本音です(笑)

いい思いも少ししていたので若干舐めていたらガツンと持っていかれました。ポンドはやはり危険性を秘めているんだなぁと強く思った次第です。

これからもブレグジット関係で乱高下が起きる可能性はかなり高いため、ある程度ギャンブル的な要素がある事を胸に刻んでいた方が良さそうです。皆さまもお気をつけください。

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