MS-JapanのIPO評価分析 ~マザーズ上場売出規模が大きく見送りが賢明か~

弁護士や会計士などの専門性の高い知識を持つ人材を派遣する派遣会社MS-Japan(6539)が東証マザーズへ上場します。

想定価格は1960円

BB期間は2016年11月29日から12月5日

仮条件は11月28日に1960円〜2080円に決定

公開価格は12月6日

上場日は12月15日です。

仮条件や追加情報は日本取引所グループのホームページから確認できます。

主幹事は野村証券です。

その他、SMBC日興証券も狙い目です。

MS-Japanは専門性の高い知識や資格を有する人材を企業に派遣する、高級人材派遣業を営んでいます。

初めて見た時は、そんな専門知識を持つ人材が派遣で働くのだろうか?と疑問に感じましたが、高齢者が増える今後の日本にはそういった専門知識を持った人材が企業を離れて派遣として働くということも充分想定できます。

これは、今後の少子高齢化の日本では良い事業モデルかもしれません。

IPOに関わる内容を見ると、売出し規模が大きいことが気になります。マザーズで約36億円の売出しは、ちょっと厳しいです。

ただ、業績面を見ると悪くは無いので、参加して大きく損することは無いでしょうが大きくリターンを得られることも無く、公開価格辺りをふらふらして初日を終えると予想します。

正直ここは見送りで良いでしょう。

そのため、今回のおすすめ指数は30です。

以下では、MS-JapanのIPOに関わる情報を解説していきます。

是非、IPOの参加の是非に役立てて下さい。

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MS-Japanの事業内容

MS-Japanの事業内容は「企業の管理部門及び弁護士、公認会計士、税理士等の士業に特化した人材紹介業及び同領域におけるインターネットメディアの運営」と有価証券報告書に記載されています。

具体的な業務内容 専門家の人材派遣事業

MS-Japanの具体的な事業内容は、簡単に言えば、専門知識を持つ士業などの専門家の人材派遣事業です。

MS-JapanはMS-Japanという専門知識を持つ人材に特化したサイトを運営しており、このサイトを通して求人登録した人材にカウンセリングを行いキャリアや希望をヒアリングして、MS-Japanに求人を依頼している企業とマッチングして人材を紹介派遣しています。

そして、マッチングが成功して無事に採用が決まれば、MS-Japanに企業から手数料という名の成功報酬が支払われます。成果報酬型のビジネスモデルなので、企業としては導入の敷居が低いので取り入れやすいでしょう。

また、専門知識を持つという高知識層の派遣になるので、普通の派遣会社よりもMS-Japanの利益率は高いと考えられます。これは、良いところに目をつけたなと思いました。

また、このMS-JapanはMS-Japanのサイト以外にも、会計事務所&法律事務所の検索サイト「J-ing」税理士&会計士向けや転職サイト「KAIKEI FAN」士業に特化した転職サイト「LEGAL NET」の3つのサイトを運営しています。

これらのサイト規模はMS-Japanに比べれば小型ですが、どのサイトも他には無い専門特化したサイトなだけに、今後の拡大が期待できます。このようにMS-Japanは、専門知識を持った人材に関わる総合的な人材ビジネスを展開しています。

これからは専門知識を武器に生きていける時代になる可能性は高い

テレビドラマでは現場からの叩き上げのスキルと資格やライセンスを武器に、企業に派遣された派遣社員が大活躍するストーリーもありますが、そんなドラマが現実の物となる世界は近づいているようです。

今回上場するMS-Japanは、専門家である士業の人材派遣を行っており、それはもはやテレビドラマのようなスペシャリストの人材派遣です。

少子高齢化が進み労働人口が減少していけば、有用となる専門知識を持つ人材は何が何でも確保したい!と考える企業はこれから増えてくるでしょう。

これからの時代、専門知識を持つ人材は歳を取っても活躍できる場はあるようです。今回のMS-Japanの事業内容を見て、人の働き方の多様性が富む社会になってきたな、と実感しました。

MS-Japanの財務情報

売上
2012年3月 936,625,000円
2013年3月 1,061,726,000円
2014年3月 1,259,179,000円
2015年3月 1,607,055,000円
2016年3月 2,013,502,000円
2016年9月 1,187,942,000円

経常利益
2012年3月 123,462,000円
2013年3月 322,407,000円
2014年3月 479,528,000円
2015年3月 653,098,000円
2016年3月 813,092,000円
2016年9月 460,112,000円

純利益
2012年3月 65,211,000円
2013年3月 187,126,000円
2014年3月 296,972,000円
2015年3月 411,604,000円
2016年3月 535,285,000円
2016年9月 349,014,000円

年度を追う毎に業績は順調に拡大を続けています。財務諸表からは不安になる要素は見当たりません。そして、既に配当も実施されているので、成長企業というよりも成熟企業と考えた方が正しいでしょう。

また、自己資本比率は80%を保持しているので財務安定性は高いです。

日本取引所グループに公開されているMS-Japanの有価証券報告書

MS-JapanのIPOは買いなのか?見送りなのか?

MS-JapanのIPOは見送りです。売出し規模約36億円はマザーズでは大型の部類であり、それだけの供給に対する買いが入るとは考え辛いです。リターンを得られるかどうかギリギリのラインになるので、ここは危ない橋を渡らずに見送りが妥当でしょう。

買い要因

  • 自己資本比率は高い
  • 業績良好

見送り要因

  • 大きな売出し規模

MS-Japanの関連銘柄

MS-Japanの関連銘柄は、主な派遣先となるGSユアサ(6674)シリコンスタジオ(3908)川崎汽船(9107)です。

MS-Japanは、これらの企業に対して多くの人材を派遣しています。

もし、これらの企業の業績が傾き派遣の打ち切りを進めれば、MS-Japanの業績にネガティヴな影響を与えます。

MS-Japan 初値予想は?

MS-Japanの初値は、公開価格から-5%から5%辺りで落ち着くでしょう。仮に想定価格の1960円で公開されたとしたら、初値は1862円〜2058円になると予想します。

売出し規模が大きいので、買い需要と売り需要が拮抗して、初日は公開価格辺りをふらふらして終えると予想します。

主幹事情報 野村證券

MS-JapanのIPO主幹事は野村証券です。

副幹事は、三菱UFJモルガンスタンレー証券(カブドットコム証券)、SMBC日興証券SBI証券みずほ証券です。

この中でネットから応募できる証券会社は、カブドットコム証券SMBC日興証券SBI証券みずほ証券です。

まとめ

MS-Japanは、業績良く、更に将来性もある事業モデルです。

それだけに、大きな売出し規模であることが残念です。また、売出しの主要持ち出し大株主が社長というのも、何だか先行きが不安になります。

今回のIPOはリターンが得られるとしても大きくは無く、場合によっては損をする可能性もあるので、私は見送ります。

年末に掛けてIPOが怒涛のように続くので、リターンが怪しいIPOは見送って、大きなリターンが期待できるIPOに注力されることをオススメします。

上場後の株価の見通しを書きました。
MS-Japan上場後株価の見通し ~長期的には安定上昇株か~