例えば重病などで治療の施しようがないかもしくは治療しても治る見込みのない場合に、病院の医者から残りどれだけ生きられるかという余命宣告をされることがしばしばあります。余命宣告をされたあとの患者さんの心理や行動というものは人によりまちまちだとは思いますが、概ね意外にも残りの人生に対して前向きであることが多いそうです。
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生きることに前向きになれる:いかに充実した時間を過ごすかが重要
自分の納得いくまで治療を継続するか治療を充実させたいという思いや、もしくは残りの人生を有意義に過ごすために、例えば家族と思い出を作ったり、例えばかねてより実現させたかった夢を叶えたりという、そういった余命宣告をされた方の前向きな思いを後押しする保障があります。
それがリビングニーズ特約です。
リビングニーズについて:余命半年の宣告で受け取れる保険特約
リビングニーズ特約は余命半年と宣告された場合、付保されている保険金額において3000万円の範囲内で被保険者の希望する金額を請求できるという特約です。
もちろん請求し保険金を受け取った後に亡くなった場合はリビングニーズ特約で受け取った分の保険金は控除されますが、死亡しなければ受け取ることのできない死亡保険金を前払いで受け取ることの出来る特約です。
このリビングニーズ特約はほとんどの生命保険会社の生命保険商品に付加することが可能で、保険料は一切かかりません。保険料はかからず、医師より余命半年と告げられた段階で保険金を受け取れるという素晴らしい特約であるといえます。
しかし医者の余命宣告も絶対ではないので、幸いにも余命宣告が外れてその後長年生きるということもあります。そういった場合のリビングニーズ特約の保険金はどうなるのでしょうか。
リビングニーズによる保険金ですが、受け取った場合はもちろん余命宣告が外れても変換する必要はありません。医者に余命宣告を受けた時点で支払い要件を満たすため、その後余命宣告が当たっても外れても契約に影響はありません。
リビングニーズ特約の注意点:本人に余命が悟られてしまう場合も
このリビングニーズ特約を利用するにあたっては注意が必要となる場合があります。医療保険などにおいて基本的には被保険者が生存している場合の給付金の請求者は被保険者ですが、近年の保険には指定代理人請求制度があります。
何らかの事情で被保険者本人が給付金請求ができない場合あらかじめ指定しておいた家族などが本人に代わって給付金を請求できる制度です。このリビングニーズ特約も余命宣告を受けた被保険者本人のみが保険金を請求出来るというわけではなく、指定代理人による請求が可能です。
インフォームドコンセントが主流となっている昨今においてもいまだに病状の不知というものがあり、たとえば本人は余命を知らずに家族のみに明かされるということがあるため、指定代理請求人がリビングニーズ特約の請求を行うことが可能です。
しかしこういった場合においても保険会社とは何らかの形で書類のやり取りを行い契約内容にも変化が生じるため、慎重に手続きを行わなければ本人に余命がバレてしまうことがあるためデリケートな取り扱いが必要です。
気になる税制面は?:基本、非課税(亡くなった時点で相続財産になる)
また生存時に保険金を受け取ることの出来るリビングニーズ特約は税制面においてはどのような扱いをするのでしょうか。実はこのリビングニーズ特約に基づいて受け取った保険金は非課税となるのです。(参考:保険の税務について【知って得する税のお話】)
ただし使い切れずに亡くなった場合は相続財産となり、他の相続財産と合算され相続税の対象となります。遺族に相続税の負担を残さぬよう、あらかじめ目的をしっかり決めて必要な額のみ請求することが好ましいでしょう。
まとめ:残された時間を悔いのないように生きる
以上のようにリビングニーズ特約は保険料もかからず誰でも付加できるということもあり、余命宣告された方にとっては悔いのない余生を過ごすための便利な特約であると言えるでしょう。
もちろん余命宣告されたときのことを考えたくはないものですが、もちろん自分のためでなく家族のためにもなる特約です。生命保険に加入する際はしっかりとこの特約を理解し付加しておいたほうがよいでしょう。