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アメリカ ブエルトリコ 各国の情勢

プエルトリコのデフォルト危機でわかった米国人のジャンク債好き

デフォルトの危機に直面している米自治領プエルトリコは、支払期限が2015年7月1日に迫っていた債務について、支払いを完了したと明らかにして、なんとか一旦はデフォルトを回避することができたようです。ブエルトリコ

しかしこの国が長年放置されてきたリスク満載の状況には何の変化もなく、米国に直轄統治されてもまったくいいところなしであることが改めて明確になった次第です。

1900年から米国の直轄統治下

1800年代、つまり日本の江戸時代末期にはかなりの独立闘争が盛んに行われたのがプエルトリコですが、結局闘争もむなしく米国に制圧され、1900年から今日に至るまで米国の直接統治下となっている国なのです。

プエルトリコ人はニューヨークなどでタクシードライバーをやたらとしており、英語を話せない人間も多いことから、国としては有名ですが、その位置や人口、概要を粒さに理解している日本人はごくわずかではないでしょうか。

プエルトリコ人は合衆国市民であることが認められており、合衆国領内を自由に旅行することが認められていいます。ただ、地方の州とは別の存在であり、合衆国の大統領に投票する権利もなく、その権利はかなり限定的になっているのが特徴です。

常に貧しい国

プエルトリコはカリブ海に浮かぶ小さな島で、人口は350万人。面積的にも日本の中規模な県レベルと同じレベルです。島のほとんどが山に覆われておりこの国の1人あたりの所得は年間6000ドルあまり(80万円相当)というかなり少ない状況です。なにより驚かされるのは島民の実に3分の2近くがフードスタンプ(食料券)を支給される生活保護世帯なのです。

大きな産業はなく、失業率は年間を通じて15%を超えています。したがって米国本土への出稼ぎが主たるビジネスであり、生活保護に依存しないほとんどの家庭はこうした出稼ぎの収入でなんとか暮らしているのが実態です。

なぜかハイイールドボンドだけが流通し人気

今回のデフォルト騒ぎにより、プエルトリコ関連で急激にクローズアップされたのが、ハイイールドボンド、つまりジャンク債の存在です。1日に債務不履行になりかかったものの、返済が行われたのは、一般財源債約795億円と、経営危機に陥ったプエルトリコ電力公社(PREPA)関係の約512億円の債務、さらに銀行からの短期借入金約302億円とのことですが、これですべてが解決したわけではなく、プエルトリコの債務総額は700億ドル(約8兆6300億円)で、今後も多くの債務が返済期限のたびにリスクがやってくることなりそうです。

プエルトリコ債は、いわゆるジャンク債にあたり、一般的に信用格付けが低く、元本割れが発生するリスクが高い分、利回りは高く設定されており、米国ではかなりの金融機関がこのジャンク債を投資信託に組み入れたりしているため、まさかの破綻となると株式市場にも飛び火しかねない状況となっているのです。

なにより国内の証券会社もこうしたジャンク債を組み入れた高利回りの投資信託を多数販売しており、日本人もよくわからずに購入していますが、寸でのところで大損をこきかねない状況であったことを考えますと、ジャンク債バブルがはじけると中国とはまた別にかなり大事になりそうな状況であることを改めて痛感させられる次第です。

しかし、本質的なプエルトリコに対する経済や市民生活向上のための救済策や発展策が講じられないままジャンク債だけがいいように流通する米国というのも実にいかがなものかという印象を受けます。ギリシャ破綻の話に目を奪われがちですが、その混乱に乗じて他国からもさまざまな問題が噴出してくるようになると、ちょっと当分金融マーケットのリスクは高まりっぱなしの状況になりそうで、それに輪をかけて迫ってきている中国株式バブルの崩壊がなにかの引き金にならないことを祈りたい状況です。