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FX関連書籍 21世紀資本論

トマ・ピケティの21世紀の資本論【貧富の差の拡大がすすむ】

2015/02/22

トマ・ピケティというフランスの経済学者が出した21世紀の資本論という本が、米国で三月に発売されるや爆発的な売れ行きになっているのをご存知でしょうか?とにかくアマゾンのランキングでトップになるなど、この手の経済学書としては異例の販売部数を確保することとなり、ニューヨークタイムズのベストセラー欄にも取り上げられるなど、驚くほどの人気を得ることとなっているのです。


問題は、この本の中身です。同氏のこの本による著作内容をかいつまんで説明すれば、現在が第二のベルエポック、つまりよき時代に入っているというのが大きな論旨となっているのです。19世紀末から20世紀初頭に欧州で展開されていた華やかで平和な時代の再来を示唆しているわけです。確かにウクライナで有名になったクリミア戦争から第一次世界大戦までの期間は大きな戦争もなく、実に平和な時代が続いたのが欧州の状況です。同時に米国も南北戦争後で比較的平和な時代が継続する時期となりました。

このベルエポックの時期には所得と富の集中が加速し、分配の不公平がはっきりとした時代であったことをピケティは統計的に証明していますが、1980年以降の欧米は第二のベルエポックに入り、またしても富の集中がはかられていると指摘しているわけです。

たとえば米国では上位10%の富裕層が1910年には国全体の富の実に8割を占めていた時代があったわけですが、大きな戦争を経て急激に下がったのが過去の歴史でした。ところが2010年にはこれが再上昇して7割近くにまで上がっているのです。

つまり富は持てるものにさらに再配分されるようになり、国民全体には再配分されなくなってきているというのが彼の主張です。マルクスと違ってピケティがこの説を打ち出しているのは統計分析によるしっかりとした過去200年におよぶ裏づけがあるからで、この内容をめぐって経済学者間でも大論争が起こりつつあるのです。

さて、実際にこれが為替にはどのような影響を及ぼすことになるのかですが、所得の特定領域への集中というものは国の安定的な反映をもたらさないことになりますし、所得のさらなる二極化という社会構造は経済にも大きな影響を与えることになり、今後日本でもピケティをめぐる議論が展開されていくことが注目されています。

彼のこの考え方が主流となってくると中央銀行の政策決定にも少なからず影響を与えることになりかねないため、引き続き注目していくことが必要となっているのです。しかし、これだけ狭い金融経済市場なのにも係わらずピケティの名前が日本では全然知られていないのは実に不思議な状況といえます。

>>トマ・ピケティ21世紀の資本論