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この秋原油価格再上昇でインフレ率2%達成すると日銀はQQEをどうするのか?

2015/07/01

昨年秋口から一貫して下落を続けてきた原油価格が一転上昇し始めており、秋口には70ドル近辺を上回る世界まで上昇するのではないかという見通しがでていますが、現在の1ドル124円レベルの為替レートで石油価格が上昇することになれば、日本の実質インフレ率2%が達成してしまう可能性も出てきており、日銀が今後どのように対応するのかに注目が集まり始めています。

そもそも今回のQQEは実質物価目標2%達成を大きな旗印にして進めてきたもので、この原油価格の再上昇であっけなく2%に届いてしまえば、事実上日銀がQQEを継続する大義名分を完全に失うことになるのです。これにより日銀が国債の購入を中止した場合、市場の反応次第では国債価格が急落する可能性も考えられ、かなりクリティカルな状況が想定されはじめています。仮に買入れを続けても円安とインフレ加速のスパイラルは免れず、本格的な日本売りが始まることも考えなくてはならない状況となってきています。

政府が新たに示す財政健全化計画は財政規律が甘く、しかも高度成長との2頭を追う内容

政府が去る2015年6月22日の経済財政諮問会議に示した経済財政運営の指針となる骨太の方針の素案によりますと、財政健全化目標として2020年度のプライマリーバランスの黒字化を明記してはいますが、成長重視による税収増を財政再建の柱とし、明確な歳出削減目標を示していないことに金融市場はかなり懐疑的な見方を始めています。

その一方、2018年度までの3年間に一般歳出の増加を1.6兆円に抑制する目安を盛り込むことを決めており、到底これが実現できるとは思えない状況となってきています。しかもこのプライマリーバランス黒字化は金利が今のまま低く推移することが大前提になっており、この調子ですと消費税が上げをはじめる2017年まで日銀はQQEをまったくやめられない状態が続く可能性もでてきているのです。

むしろ安倍内閣は日銀の金融緩和を継続的に続けることを前提に考えている節もあり、今後日銀と政権との間でどのようなやり取りがされることになるのかも注目されるところです。財務省の試算によれば、仮に2016年度以降にインフレの示現により長期金利が想定よりも2%上昇した場合、国債費は同年度に2兆円、17年度に44.8兆円、18年度に8兆円も増加。消費増税3%分が吹き飛ぶ計算となっており、金利が上昇したらすべての財政再建計画も増税も単なる利払いに使うだけになりかねない状況となっているのです。

海外の投資家からは日銀の行動は典型的な財政ファイナンスと揶揄される状態

このまま日銀がなんの大義名分もなく量的金融緩和を続けた場合、市場の懸念が高まることは間違いなく、為替はドル高に上昇し、株は大幅下落、国債金利は暴騰するという典型的な日本売りのステージにシフトしていくことも予想されています。

安全保障や戦争に著しい興味をもち、全力をあげようとしている安倍内閣が、このクリティカルな状況をどこまで把握して政策を考えているのか甚だ疑問な状況ですが、少なくともハイバーインフレのような状況に至らないとしても国債金利が応分の利上げに動く可能性はかなり可能性が高くなっており、状況は予想以上に深刻になりつつあります。特に原油価格の再上昇局面では、貿易赤字が加速度的に再拡大することが考えられ、実需ベースで円安に突き進むことも十分に考えられます。

これに米国の利上げが重なれば130円方向にぶち抜けるのもそれほど驚く話ではなくなっているといえ、今後の政府の対応、とりわけ、それを受けて日銀が一体どうするつもりなのかが俄然注目される状況になってきているのです。黒田総裁が果たして政権のいいなりにQQEを継続することになるのかは見ものといえそうです。