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テーパータントラム再来か?不気味なハイグレードファンドの下落開始

2015/06/11

テーパータントラムという言葉をご存知でしょうか?これは米国が量的金融緩和の縮小へと政策変更をおこなった際に金融市場に生じた動揺や混乱のことをさす呼び名です。2013年5月23日にバーナンキ前FRB議長が突然切り出して市場は大きく揺れ動くこととなりました。

タントラムとは癇癪のことで、市場がこれにより癇癪をおこしたとして使われた言葉です。しかし、ここへきて、今回の米国の利上げを前にさらにこのテーパータントラムと同様の動きが債券市場で加速するのではないかという見方が広がり始めているのです。

6月4日に米国ブルームバーグに掲載されたバンクオブアメリカのストラテジストの予想には債券市場大量殺戮の予感といった猛烈なタイトルが添えられることになり市場で話題になっています。http://bloom.bg/1HKGZnX

通常、債券市場が大きく崩れ始めるときにはジャンク債ではなく優良債券から崩れるのが定石とされていますが、このストラテジストの指摘によると、米国の投資適格債の価格は6月に入ってたった2日で1.1%下落しているとしています。

これはFRBが債券購入の縮小に動くとの思惑から2ヶ月で5%急落した2013年の状況を彷彿とさせるものとなりはじめているのです。BOAメリルリンチのストラテジストであるハンスミケルセン氏はハイグレードファンドのフローが全般的にマイナスに転じると予想されると自らのレポートに分析を発表しています。

この社債価格の下落ペースはかつての経験に不気味なほど類似しているとも指摘しており、ペーパータントラム再来の見方を示しているのです。今後米国の10年債利回りが2.6%程度まで上昇した場合、最上級格付け社債から2013年のテーパータントラムに匹敵する資金流出が発生する危険があるとの見通しも発表しており、今後の債券市場の動きが注目されます。

債券金利上昇は確実に株価の下落を招く

こうした動きが加速した場合には必ず訪れることになるのが株価の大幅下落ということになります。金利上昇ですからドル円で見た場合にはドル高がさらに進むことも考えられますが、欧州債の金利も上昇局面にあるため、一方的にドルインデックスだけが高くなるとは限らず、しかもこうした流れからリスクオフの動きが加速すれば、2013年5月を思いかえせばわかるとおり円高に戻る可能性もあるのです。

このテーパータントラムのことについては日経新聞をはじめとして国内メディアはほとんど触れておらず、三菱UFJモルガンスタンレー証券の投資情報部長藤戸氏だけが自社の週刊レポートの中で触れているだけですが、今回の米国の利上げ見込みは単なる利上げではなく、大きな流れのなかでの政策転換にあたるものだけに、その影響は想像以上となる可能性がきわめて高いといえるのです。

しかも4月からの欧州債券の下落と金利上昇は想像以上に金融機関に損害を与えており、債券市場の変化というのはわれわれの予想をはるかにこえるほどの規模の損失を生み出すネガティブな可能性をもっているということを肝に銘じておく必要がありそうです。QEの終焉だけでもテーパータントラムと呼ばれるぐらいさまざまな問題が生じているわけですから、この利上げがきっかけになって市場で想定外の巻き戻しが発生することも考えられ、予断を許さない状況が続きそうです。

すでにドイツの債券金利が世界的に株と為替の動きに影響を与え始めていることだけを見ても債券相場と金利の動きは常にチェックしておく必要のある時期にさしかかってきています。これまでドイツの国債金利などだれも気にするものはいなかったわけですが、相場状況は大きく変化しようとしているのです。

ドイツイールド

一旦落ち着きを取り戻したようにみえるドイツ債券相場も損失は膨らんでおり、6月末の外資系金融の半期決算にむけてもうひと波乱あってもおかしくない状況が続いています。