FX初心者のための役に立つブログ

FXに関するブログです。FX初心者向けのわかりやすい解説ブログを目指しています。

FXブログ

安倍首相の訪問で話題のウクライナはAIIB以降大きく変化

2015/06/09

安倍首相のドイツサミット参加に伴う訪問で再度注目が集まるウクライナですが、欧州メディアではこのウクライナ問題は最近ほとんど報道されず、しかも金融市場では話題にもならなくなっています。

欧州におけるウクライナへの関心と緊張が大幅に低下した背景には中国の動きが関係していると見る向きが増えているのが直近の状況となっています。そのきっかけとなっているのが米国の想定外の各国のAIIBへの出資関係問題なのです。

AIIB以降国際的なパワーバランスが変化

つい最近米国のケリー国務長官がロシアを訪れ、プーチンと4時間にわたる会談を行っています。その内容のほとんどはこの6月末にイランとの核保有に関する合意を事前にロシアに伝えたものだと言われ、ウクライナ、クリミア問題についてはまったく話し合われていないといわれています。

6月末にこの合意が出ればイランは石油の増産を再開することとなり、原油価格に影響がでることなども議題にあがってものと思われます。つまりAIIBの問題がでてきてから、米国はロシアとの対立に手を打ち、中国との対峙に集中する構えを取ってきていると見ることができるのです。ECBの量的金融緩和以来欧州株は大きく上昇しましたが、その影でそれ以上に回復したのがロシアの株価市場なのです。ウクライナ1

一旦は80を超えるところまでドル高となったドルルーブルも5月には50を割るレベルにまで落ち着いており、様変わりを明確に示す状況となっています。

ドルルーブル

米国は中国のギリシャ進出に神経を尖らせる状況

ところで、一向に解決に向かわないギリシャの債務問題ですが、ギリシャ最大のピレウス港の民営化に絡んでその入札に中国の国策企業が名乗りをあげ、最終入札にも残っている状況となっていることに米国もドイツも非常に神経を尖らせている状況です。

つまりこの混乱に乗じて中国がギリシャの港を戦略的拠点として押さえることになると、北アフリカとの連携やギリシャへのAIIBを使った資金投入など、これまでにはなかった安全保障上の問題が大きく生じることになるからで、すでにギリシャ債務問題は経済問題から安全保障所上の問題へと変化してきているのです。

ある意味で、ウクライナよりもギリシャの動きのほうが大きな政治問題化していることが伺われ、ドイツを含めてEUサイドは簡単にギリシャをデフォルトに追い込んだりEUから離脱されられない状況になってきているといえるのです。6月5日のギリシャのIMFへの返済期限も結局6月末まで期限が延長されることになっていますし、かなりクリティカルと思われたポイントでも事態は決定的な状況にはなっていません。

むしろ為替相場はそれを見通すかのようにユーロドルを中心にしてまた戻りのトレンドが発生しかかっている状況となっているのです。どうやら今後はAIIBを基点としての中国とそれに対するアメリカの動きに注目することが必要な状況となってきているようで、この視点でギリシャを見たときにAIIBの資金がギリシャにでも入るようなデフォルトをなんとしても起こさせない特別な緩和策が登場してくることも予想されます。

実際ドイツにとっては現在残っているギリシャに対する債権をすべて失っても自国のGDPの約0.4%に過ぎないため、実は感情的な部分を除けば物理的にはそれほど大きな痛手ではないという見方もあります。

ただ、勢いでデフォルトもまだ残されている

ギリシャのチプラス首相はここへ来てかなりエキセントリックな発言をしはじめており、既に国民投票を実施する時間的余地も残されていないため一旦勢いでデフォルトに向かう可能性もかなり残されています。為替の取引ということで考えれば、両方の方向を常に想定し、決めうちしないことが重要になりそうな6月から7月にかけての相場状況ということができそうです。