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ECBドラギ発言でクローズアップされる2015年からの輪番制について

最近先進主要国の中央銀行の政策決定会合後の記者会見の中でもっとも為替が激しく身動きするのがECBドラギ総裁の会見です。12月4日も理事会が開催され、その後のドラギ総裁の発言をめぐって為替は大きく乱高下することになりました。

ドラギ総裁就任直後は、ECBは欧州安定化のために出来ることは何でもするとかTrust Meといった発言で大きく相場が動くことが多かったのですが、最近ではECBの理事の中からドラギ総裁は必ずしも理事会で話し合われたことを正確に記者発表で答えておらず独断の見解が多いといった批判の声がでてきていることから、現在懸案となっている量的金融緩和、つまり各国の国債をどのように購入するかについて市場の注目が一段と高まる状況となっているのです。

12月4日の理事会後の会見でも、バランスシートについては理事全員の賛成を得ているわけではない、と同時に全員の賛成がなくてもQEの実行は可能であるといった発言をされたことから、市場ではドラギ総裁がドイツ連銀でQEに反対するヴァイトマン氏などを無視して実施に移すのではないかとの憶測が飛び交いはじめているのです。

<2015年からはじまる輪番制に市場は注目>

そこで注目されているのが2015年からスタートするECBの輪番制です。これは2015年にリトアニアがEU加盟国入りすることからユーロ加盟国総数は19カ国になってしまうため、主要5カ国から4票、残りの14カ国の中から11票が投票されることで理事会が運営されることになるのです。つまり年に何回かは投票権が与えられない国がでてくることが決められているのです。このうちQEに猛反対のドイツは現状のスケジュールでは来年5月と10月にこの理事会に出席できない回があり、そこでこのQEを無理やり決めてしまうのではないかという憶測も飛び交いはじめているのです。

もちろん強硬突破をすれば非難はかなり高まることが予想されていますが、4日の記者会見の席上、ドラギ氏は全員の理事の賛成が必要ではない旨の発言をしており、強行突破の可能性も示唆する言い方をしているため、またもやこの輪番制の理事会に大きな関心が集まってきています。

<一つの国ではないところがECBの難しいところ>

ECBはご存知のように欧州のリージョナルな共同体の中央銀行として機能する存在ですが、各国に政権があり、しかも国ごとに中央銀行も存在するため、新しいことをはじめるのには一国で実施するのに比べてかなり時間がかかるのが特徴となっています。

それだけに不協和音がでる政策の場合、なかなか前に進まないことが多く時間もかかるため、欧州版のQEが本当に実施されるのかどうかについては非常に市場の関心も高く、思惑で売りが入ることも多く、どのような決着を見ることになるのかが、そのプロセスを含めて注目されることから、それに連動して相場も大きく動くようになってきているのです。

<総裁辞任ならイタリア首相の座も>

ドラギ総裁はなかなか温厚そうに見えて、結構色々仕掛けるタイプで、単にMITで博士号を取得したたけの学者というわけではない存在で、もともとゴールドマンサックスに勤務していたことから考えてもかなりの戦略家であることがわかります。

したがって、ドラギ総裁はこの件でECB総裁を辞任に追い込まれてもイタリアで首相になるという話もあるようで、ある意味では余裕綽々の状況であり、必ずしもECBに固執することなく辞任覚悟で大胆な方針を打ち出してくる可能性もあるため、2015年は1月から3月あたりまでの理事会の決定内容とその状況がたいそう関心を持たれることになりそうです。市場のQEへの期待度はかなり高く、またデフレも鮮明になってきていることから、ドラギ総裁のこの決定のタイミングも非常に重要な要素となってきているのです。

今後のECBのQEに関する取組みと決定はユーロをはじめとして為替市場に大きな影響を及ぼすことになりそうです。