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日本の格付けが下げられてもドル円が売られる不思議

12月、師走に入った相場に突然激震が走りました。ムーディーズが日本の格付けを1ノッチ下げることを突然発表したのです。前々からフィッチが消費増税を実施しない場合格下げがありうる旨を公表していましたので、格下げ自体はそれほど驚くべき話ではなかったのですが、常にフィッチの後塵を拝する位置にあったムーディーズが先行して格下げを発表したことは市場でも大変話題となりました。

発表後の格付けは以下のとおりですが、多くの日本人投資家の方にとっては、韓国、中国よりも下でしかもエストニアやチェコと同レベルであることに納得のいかない方も多いことでしょう。

2014年12月現在の格付け各社のランク状況格付け

ただ、日本の場合多くの国債を日銀が買い集める状況になっており国債自体が流通しない状況であるため、格下げでも市場では価格が上がるという実に不可思議な状況が続いています。

実際に格下げがどれだけの影響を及ぼすのかについては、リーマンショックも当てられなかった格付け会社だけに格付けする側の信任が問われる状況となっていることから、最近では何の意味があるのかよくわからなくなりつつあることも事実です。

<なぜ格付け発表後に円高になったのか?>

12月1日の夕刻の突然の発表ではドル円がきわめて最近の市場を象徴するかのような典型的な動きを見せることとなりました。まず、初動で反応したのはアルゴリズムで、一種にして119円15銭レベルまで買上げることになります。

しかしながら、その後日経先物の価格が下落しはじめたことを受けてドル円も連動して売られることとなり、一転して急落、結果118円07銭まで急落しさらにWTIの原油価格が急騰するとさらに売り込まれて117円86銭にまで落ち込むこととなったのです。

本来であればアルゴリズムのドル買い円売りが正しい反応のはずですが、結果としては株価に為替が連動することとなり、しかもこの時期になぜコモディティがポジション調整をしたのかは不明ですが、こうした周辺材料のほうが格下げ自体よりも大きくドル円に影響を与えるという極めて不思議な状況を作り出したのです。

東日本大震災の後にも被災国であるにも係わらず日本円買いとなり一時的に猛烈な円高に相場が動くことがありましたが、これも地震の発生によって企業を中心に海外資産のレパトリエーションが進むのではないかとの思惑から外資系のファンドが一斉に円を買上げたことに起因する動きであり、初動だけでは理解できないことというのが結構為替の世界では起きることがあるのです。

したがって、本来のセオリーどおりに動いても市場の反応が異なるケースがあるということだけはあらかじめ認識しておく必要がありそうです。こうした相場では飛びついて結構やられた投資家の方も多いと思いますが、特に市場の判断で反対方向に動きはじめると、多くのプレーヤーがそれについていこうとしてさらに動きが増幅されることもあるため、まずは市場の動きを見極めることも重要になります。飛びついて売買した場合にはあくまでも適切なタイミングで勇気をもって損切りすることも重要になってくるのです。

特に指標の発表でもないのに大きく相場が動いた場合には要人の発言などのケースも多く、ほどなくしてもとに戻ることもありますので、動き方やタイミングからその中身と類推してみるというのも有効な手段となります。

この格下げ上昇から一転下落となったケースでは118円台に機関投資家の買いが入っていたようで、また相場を戻す展開となりました。まさに行って来いの展開といえますが、後追いすると二度三度と損切りをさせられるリスクもあるのです。何が正しいかよりも動いた方向が相場の判断であるということを肝に銘じなくてはならない出来事であったといえます。