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原油価格暴落が齎す為替への多面的影響について

2014/12/17

2014年以降原油価格の下落に歯止めがかかりません。正確な理由は依然はっきりとはしませんが、一説にはロシア制裁の一貫として米国とサウジアラビアが主導で仕組んでいるのではないかといわれる一方で、サウジアラビアの米国シェースガス潰しと見る向きもいるのが現状です。実際サウジアラビア自体は米国シェールガスに対する宣戦布告を行っている状態ですから、話は穏やかではありませんが、既に1バーレルあたり60ドル台に突入している価格は若干小康状態を保ってはいるものの、さらに下方向を目指すとも言われ、目が離せない状況となっています。しかしこの原油価格の低下は実に様々な形で各国の経済政策や金融政策に影響を与えはじめているのです。原油価格低下

<ロシアは深刻なルーブル安>

まず今回の原油下落で完全にターゲットをされているロシアは対ドル、対ユーロのロシアルーブルの下落が止まりません。

直近では1ドル54ロシアルーブルを超える状況であり、ロシア金融当局が積極的な為替介入で食い止めているようですが、その下落は止まったわけではない状況です。

すでに今年に入ってからの介入で40億ドル近くの外貨準備高が失われているようでトータルで10%近く減少している状況となっています。ウクライナ情勢めぐる欧米諸国との対立なども背景にありかなり厳しい状況になっていること間違いないようです。

また経済的には完全にリセッションに陥っているようで、ルーブル安のため原油価格は下落してもプライス的には救われているようですが、それ以外の輸入品は暴騰することとなることから市民生活に大変な影響がではじめているようです。

実は経済的には1998年のデフォルトに次ぐほどの厳しい状況になっているとの指摘もあり、もし再度破綻といったことが起これば投資が進む欧州経済、とりわけドイツの経済のかなり暗い影を落とすことになりそうです。

このルーブル安を狙い、ルーブルの外貨預金やFXに興味をもっている人も多いようです。ただし、ルーブルの外貨預金は余り取り扱っておらず、FXで対応することになりそうです。

参考:ロシアルーブルの外貨預金をFXでする方法【ルーブル(RUB)のFXができる会社】

<オイルマネーサイドにも異変>

一方中東産油国はとにかく減産をしないことを決めているために原油価格は下げ続けており、サウジアラビア自体は強固な姿勢を貫いているものの個別国で産油に依存している王様たちはかなり資金に困るようになっており、結果として外資系ヘッジファンドへの投資解約やロンドンをはじめとする先進国各国に保有する土地などの資産売却によるレパトリエーションも始まっており、為替がそれに影響を受ける事態にもなりつつあるのです。当然のことながらこれを受けてヘッジファンドの投資行動にも影響が出始めており、外貨の需要が一時的に高まることも予想されているのです。

<米国ではシェールガス事業が頓挫、融資金融機関に影響も>

当然のことながら米国におけるシェールガス事業にも大きな影響がではじめています。まずコスト的に1バレル80ドルを下回るとかなり厳しいのが米国のシェールガスで、事業者がオペレーションを頓挫させると同時にこうした事業者に融資をしてきた金融機関も大きな影響を受けているのは間違いないようで、QE4が必要ではないかとの声も囁かれるようになっています。特に金融機関へのネガティブな影響はかなり深刻なようでシェールガス破綻が一つの新たな金融危機をもたらす可能性も否定できない状況となってきているのです。

<米国政府はこの状況を黙認>

もともと米国政府は対ロシア制裁でやっているという話もありますから、米国政府がこの原油価格の下落を黙認するのは当たり前であるという説もありますが、一つは、ガソリン価格の低下が個人所得の増加を齎す効果があり、ある種の減税措置とほぼ同じ状況を齎しており、年末商戦などにも好影響を与えていることが原油安を止めない大きな理由とされています。

またインフレ指標であるCPIについて日本と欧州はエネルギー価格を入れて計算しているのに対し、米国はガソリンしか入れておらずそもそもインフレ指標に影響を与えていないことも上げられます。さらにこうしたデフレ的状況に対して日本も欧州もさらなる量的金融緩和を進めてくれれば米国が終焉させようとしているQEの肩代わりができることかた好都合と見ていることも指摘されています。

<日本ではさらなるQQEの実施を余儀なくされることも>

日本ではインフレターゲット2%の達成がこの原油価格の暴落でほぼ不能となっており、金融市場では日銀がさらなるQQEの実施へと追い込まれることを期待する向きも出始めています。実際には石油価格の下落が市民生活にとってはプラスのはずなのですが、なんとしても2%の名目物価指数を維持したい日銀にとっては新たな金融政策履行の判断をせまられる要因ともなってきているのです。

このように原油価格の暴落は現象的には対ロシア制裁から始まっていますが、実は世界規模で先進各国にも大きな影響を与え始めており、新たな世界的な経済危機のドアオープナーになることも危惧されているのです。特に為替相場への影響はこうしたことから重層的に生じてくることが考えられ、非常に注意が必要な状況となっています。