FX初心者のための役に立つブログ

FXに関するブログです。FX初心者向けのわかりやすい解説ブログを目指しています。

FXブログ

円安になると景気は本当によくなるの?

アベノミクスと呼ばれる経済政策で脱デフレへの挑戦が続いていますが、この経済政策は、首相の名前までつけている割には中身は日銀が実施している未曾有の量的金融緩和の実施のみであり、財政再建と新たな経済成長戦略はなんら手がついていないのが実情となっています。

過去2年間の日銀による株高と円の切下げは、確かに各民間企業の株価を押し上げ、バランスシートを改善させるとともに内部留保金を増やすことに貢献したことは間違いありません。また輸出系の企業で国内生産を中心としているところにとっては円安による利益の確保ができるようになったことも間違いない状態です。

ただし、日銀は円安を利用して無理やりインフレを引き起こすことからデフレ脱却を目指しており、ある意味で国民の円資産の価値を大きく損なう動きに出ているともいえ、かならずしも国民生活が円安で豊かになるとはいえないのが実情です。

<国内のGDPの約6割強が個人消費>

日本は加工組み立て産業を中心とした貿易立国というイメージが強くGDPに自動車生産やその他の機械工業生産が大きく寄与していると思われがちですが、実際にはGDPの約6割以上が個人消費にもとづくものであり、個人消費が支えなければGDPは大きく飛躍しない、米国型の経済になってきていることがわかります。

したがって、円安で個人の可処分所得が増えるのであればなんら問題はないのですが、必ずしも円安誘導は個人の生活にプラスになっていないものも多く、特に輸入品コストの上昇は個人消費に大きな影響を与えています。また4月に値上げされた消費税率も可処分所得の減少に拍車をかける状況となっており、厳しい状況が続いています。

<円安を享受できない海外生産企業>

製造業は過去の円高で主要企業がかなり生産を海外にシフトしてしまっているので、利益のレパトリーエーションの部分では確かに円安が日本円ベースでの利益を増やすことにはなっているのですが、国内で生産を行っている輸送用機器メーカーなどを除けば現地生産系の企業は思いのほか利益が伸びないのが実情です。

すでに国内の年間の貿易赤字額は13兆円を超えていますので、明らかに円安が企業の輸出販売機会を大きく伸ばしているわけではないこともわかります。

<円安によるインフレ形成は景気回復にならない>

とくに地方の企業や国内ディフェンシブ系の企業にとっては、円安による資材調達コストやエネルギーコストの上昇は死活問題であり、価格に転嫁できないケースも出始めており、円高とはまた別の意味で景気を後退させる要素にもなってきているのです。現状ではタイミングよく原油価格が暴落していることから市民生活への影響は限定的ですが、長年円高で利益を出せるように仕組みを変えてきた企業にとっては円安がすぐに利益に結びつかない状況になってきているのです。

<日銀の狙いはインフレによる債務の帳消し?>

今回の日銀の量的金融緩和は明らかに株高を狙っており、円も中央銀行自ら切り下げに奔走する形となっています。これは最終的にはインフレを作り出して債務も減らしていくことが日銀の大きな狙いにも見えます。インフレで債務帳消しなどできるのか?という疑問がわきますが、実は日本は戦後インフレを利用して債務を大幅に帳消しにした経験をもった国でもあり、こうした発想もわからないものではありません。ただし、国民は円以外の通貨での資産をもち、国内の固定資産以外のものを持たなくてはこうした円安とインフレには全くメリットがなくなってしまいます。その点だけは十分に注意していくことが必要になるのは言うまでもありません。

結論からいいますと、現状の日本における円安は必ずしもストレートに景気を回復するドライバーにはならないと考えられます。