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スイスフラン 各国の情勢

スイスの国民投票の行方【ユーロドルFX為替への影響】

2015/03/12

為替市場では、10月末の日銀の予想外の追加金融緩和のノイズレベルが大きすぎて11月に入ってもほとんどの事象がその陰に隠れて目立たぬ状態となっていますが、実はユーロ圏に隣接するスイスでは大きな国民投票が実施されようとしており、この結果が為替と金の市場に多大な影響を与えることになるかどうかが注目されている状況です。この国民投票の内容は以下のようなものになります。

■スイス国民投票の内容

スイスでは11月30日にスイス国立銀行(中央銀行)の金準備積み増しの是非を問う国民投票が行われます。この投票における質問内容は3つで、ひとつはスイス中銀が国外に保管している金をすべて国内の持ち帰ること、またスイス中銀の全資産のうち20%を金準備とすること、さらにスイス中銀は将来にわたってこの金の売却と行わないことについてその是非を問う国民投票となるのです。可決されるための条件は国民過半数以上の同意とともに国内26州において半数以上の賛成がえられることが条件となります。

ただし、国民投票だけで決定されるものではなく、その結果に基づいてスイス議会における批准を必要としています。したがって国民投票の結果だけですぐに金の購入とはならないタイムラグが生じることも予想されます。また議会の判断によっては再度国民投票を実施する可能性もあり、そのプロセスはいまだ不明確なところが残っているのが現状となっています。

■対ユーロドル1.2000の上限設定が撤廃されるかどうかが注目点

このスイス中銀の金保有に伴って、ユーロスイスにおける1.2000のフロアーが撤廃されるかどうかも大きな注目点となっています。2011年の欧州圏ソブリンリスク以来、スイス中銀は自国通貨をデフレに巻き込まないためにも対ユーロで1.2を上限として無制限介入を行う旨を公言しており、実際1.2で介入を果たしています。

しかしこの金保有比率が現実のものとなった場合には、手持ち資金上の問題から介入資金が不足し、結果としてこの上限設定を中止することも考えられます。この判断もスイス議会マターとなっているのです。

■可決時のユーロ、ドル為替へのインパクトについて

実際にこの国民投票が可決され、議会の批准も行われる見通しとなった場合、スイス中銀はおよそ1500トンから1800トン程度の金購入を余儀なくされることとなり、ドルベースでの金価格の上昇が見込まれるとともに、この購入資金としてユーロやドルの大幅な売却も予想されるため、ユーロ、ドルの相場が大きな影響を受けることは間違いありません。またこれに伴って対ユーロ1.2というフロアーが撤廃されれば、ユーロ高が一気に進むこととなり、ユーロ安も加速することが考えられます

こうした政策は向こう5年にわたって行われることになるので、直近での影響は直ぐには現れないと考えるべきですが、市場は噂で買って事実で売るのが基本ですから、かなり前倒しに影響がでることは必死で、金価格に影響がでるということは為替にも少なからず影響がでることを示唆しています。

ただ、金の買い付け資金も直近でそれだけの量が必要ではないことから、この1.2フロアーが残った場合にはまた無制限介入が行われることになり、現状ではこれが大きく注目されることになってきています。現在ユーロスイスは1.2ぎりぎりのところに張り付いて国民投票の結果を待っている状況にありますが、もしスイス中銀が従来どおり1.2を切れたところで介入に踏み切ればユーロが高騰することは間違いなく、ユーロドルにも大きな影響を与えることとなるのは間違いなく、市場の関心はまずこの点にあつまってきているのです。

今年はUKにおけるスコットランドの独立に関する住民投票時でもポンドが驚くほど大きく揺れ動きましたが、ユーロスイスが軸になって年末に向けてひと波乱が起きるかどうかが注目されるところです。

ユーロドルは投資のチャンスか?

引き続きユーロドルチャートは下落し続け、2015年1月には1.17ドルを割り込もうとしています。さらに米国の利上げ、ECBの金融緩和となると、ユーロ安はさらに続く可能性もあります。ですが、ユーロが再び回復すると考えると、ユーロに投資するチャンスとも考えられます。

ユーロドルという外貨預金はないのですが、FX(EUR/USD)は活発に取引がされています。

参考:ユーロドル(EUR/USD)FXにおすすめのFX会社とは

このままさらに下落すると考え、売りから入るのか、もう底打ちしたと考えて買いから入るのか、判断が難しいですが、投資家にとっては見逃せないポイントとなりそうです。